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昭和五十四年十二月四日提出
質問第一号

 難病対策に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十四年十二月四日

提出者  渡部一郎

          衆議院議長 (注)尾弘吉 殿




難病対策に関する質問主意書


 昭和四十七年、政府は原因不明・治療法の判明しない難病を初めて国の特定疾患に指定。以来、六十二疾患が情報の収集・調査研究の対象になつている。このうち、スモンやベーチェット病など二十一疾患は治療研究も対象となり、医療費の公費負担が適用されている。
 しかるに、こうした難病・奇病に辛苦する患者は全国に相当数存在すると言われながら、いまだに、その実態は捕捉されていない。のみならず、難病の総合的な対策は全く不十分である。特に、政府の対策は逐次拡大の方向に向かつているとはいえ、その対策は個別的・部分的であり、難病の総合対策は、患者やその家族から強い不満の声とともに政府の対策強化を望む要請が強く聞かれている。
 物価騰勢の強まる中で、いわゆる難病に罹患している患者及び介護する家族の経済的・精神的な負担は想像を超えるものがあり、家庭存立の危機に直面している事例が少なくない現状から、施策の拡充強化が緊要となつている。従つて、次の事項について質問する。

一 政府は、いわゆる難病の種類・患者数の実態についてどのように把握しているか。また、調査研究班の設置及び調査方法を含め、今後の実態調査計画の有無について明らかにされたい。
二 難病の早期発見のため、患者や障害者の相談施設を設けるべきである。福祉事務所・児童相談所と同じような機能を持ち、潜在患者の発見、予防対策の確立を目指すべきであると考えるがどうか。
三 各種の難病の総合対策として、調査・研究・検診・治療・リハビリテーション・社会復帰に至るまで一貫して機能できる難病ごとの専門のセンター設置が緊要であると考えるが所見を承りたい。
四 難病の患者の中でも、全国的に発病者のごく少ない“希少患者”に対しては、研究や公費補助の対象になりにくいという差別がみられる。また、一部の地方自治体が独自で難病患者に対し、「生活援助金」「見舞金」などの支給制度をとつているが、難病に対しての定義があいまいで医療問題か福祉問題かで検討課題となつている患者もおり、公平を欠いている。こうした問題に対し、どう対処していくのか。
五 昭和五十五年度予算において、新たに治療費補助対象に指定追加する疾患について明らかにされたい。
六 現在、難病患者の受療に対応可能な国立病院・国立療養所及びその保有する専門病床・要員の配置状況について明らかにされたい。また、当面、難病のための特定ないし専門病院の整備を促進すべきであると考えるがどうか。
七 医療費が高額化する傾向の中で、従来の保険医療、公費負担医療の在り方では、保険外負担や介護負担の重圧があつて患者の要望に十分こたえられない状況にある。特に、難病患者に対しては、医療費の公費負担制度があるにもかかわらず、入院時の差額ベッド料、付添婦料、その他雑費など保険外医療費が、毎月、数万円から十数万円も患者の自己負担となつている。また、痛みをやわらげるためにハリやマッサージに通つている患者も多く、漢方治療に頼る患者もいる。しかし、こうした医療費は保険が適用されないため、制度上は無料のはずの医療費でさえも現実では患者や家族の高負担を招いている。難病については、行政の一元化を図るとともに、治療・看護は国の責任に基づく財政措置で対策を講ずべきであり、そのための特別立法措置が必要であると考えるが見解を承りたい。
八 難病患者の中には、ネフローゼ疾患のように治療費公費負担制度が年齢制限により打ち切られる場合がある。同じ患者が二十歳以上になると入院・通院の治療費が認められないということは、患者救済制度の主旨に矛盾している。早急に検討、改定すべきであるがどうか。
九 現在、公費負担に関して国・都道府県の負担率は折半であるが、自治体にとりその負担は年々過重になつており行政サービスも限界に達している。負担率の改善及び在宅訪問看護など福祉サービスの強化を図るべきだと考えるが見解を承りたい。
十 難病専門の病院が少なく、患者の住む県内に専門病院がない場合、患者は隣県又は近県の専門病院へ通院又は入院を余儀なくされている。しかも、他県の病院のため国保の三割負担分は患者の一時立替えで、後日、県内で申請して払戻しを受けなければならない。患者にとつてこの一時的立替えは重い経済負担となつている。例えば、国保の払戻しは時には半年後になることもある。各県に病院を最低限建設すること及び難病患者に対してほ国保の三割負担分はどこの県でも通用するよう改正すべきであると思うがどうか。
十一 ネフローゼ等の疾患は学童に多くの患者がみられ、家庭療養のため進級・進学が大変困難となつている。特に、治療のため週二〜三回しか登校できない学童や、仮に登校しても運動が制限されている学童は、出席日数、体育修得時間の不足から進級・進学が不可能となつている。このため、訪問教育の充実、体育課目の評価、高校入試時の配慮など、難病児童に対しては十分な教育が受けられるよう対策を検討されたい。
十二 難病患者の就職は新規雇用も職場復帰も非常に困難である。特に患者は、いつ再発するかも知れない疾患と闘いながらの職場であり、事業者の深い理解が当然必要となつてくる。こうした難病疾患者の就職に対して、政府は生涯補償の精神にのつとり事業者の教育、雇用の促進を図るべきであるがどうか。具体的措置を問う。

 右質問する。





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