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昭和五十五年二月七日提出
質問第四号

 筑波大学の学則と学生の自治に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十五年二月七日

提出者  竹内 猛

          衆議院議長 (注)尾弘吉 殿




筑波大学の学則と学生の自治に関する質問主意書


 筑波大学は、ひらかれた大学として茨城県の筑波研究学園都市の中心的な存在として昭和四十八年に東京から移転した。この筑波大学において、昭和五十三年十二月の県議会議員の選挙に百三十七名の学生が書類送検された事件が生じ、明らかに公選法違反であるにもかかわらず、教育的処置として口頭厳重注意ですませ、学則による処分には及ばなかつた。これに対して、学園の自治を求めて学園祭を開くという学生の計画には今日まで再三にわたつて抑え付けてきた。
 私は、五十四年二月二十八日衆議院予算委員会第二分科会にて、筑波大学の学生規則が開校の精神に反し、更に日本国憲法第十一条の基本的人権、第十四条の法のもとにおける平等、第十九条の思想及び良心の自由、第二十条の信教の自由、第二十一条の集会・結社・表現の自由、第二十三条の学問の自由の保障の各条項に反し、まさに大学の理事者に管理され拘束された管理大学であると内藤文部大臣に質問した。すなわち管理者である副学長や教授は堂々とある宗教を引き込み、宣伝、激励し、また、ある集会では政治的発言をしている。その管理者が学生を抑え付けるのはどうか。これに対し大臣は「教師が生徒たちに禁止するなら、自分がちやんとしなければいかぬ。自分は政治活動をし、あるいは宗教活動をしていて、生徒はおまえはしてはいかぬというのは、私はいかぬと思う。やはり教師みずからが生徒の模範でなければいかぬと思うので、そういう教師であつてほしいと思いますし、また私も筑波大学へ行つて御指摘の点はよく研究さしていただきたいと思います。」と答弁した。また、佐野大学局長は筑波大学のような学校規則をもつている他の大学がありますかとの問いに対し、「筑波大学が定めている学生の学内における団体活動なり集会なり掲示等について加えている制限というのは、一般の大学において行われている制限よりも厳しいものがございます。」と答えている。
 このような経過があつたにもかかわらず、何ら検討もされず改正もされてないまま、五十四年の学園祭をめぐり大きな問題が生じている。
 学生の自主的な文化活動である学園祭でいくつかの企画が建学の理念にそわない等の理由で大学当局によつて一方的に禁止された。(五十三年の学園祭においても家永三郎氏を講師に含めた講演会と三里塚・辺田部落の映画上映が禁止されている。)学園祭実行委員会を中心とする学生は自主管理、自主運営を具体化した八項目の要求(企画内容審査の撤廃等)を提出したが無視され、あくまで大学の運営方針に従わせ、企画内容審査を求められた。
 昨年十月二十三日、学生は大学の態度に抗議し、学生主体の学園祭実現の全学生確認集会を行おうとしたが、大学側は不許可にしたため、やむなく無許可のまま集会を行わざるを得なかつた。そして学園祭の一週間前になつても当日の教室等の使用さえ認められず、できるかどうかさえわからない状況になつた。
 昨年十月三十日、こうした状況を打開し、教室使用の確約を求めるため学長との直接的交渉を求め、本部棟に出向いた学生に対し、大学側は本部棟をロックアウトし、事務職員がピケットをはり暴力をふるつてまで学生の要求を拒み続けたため、学生の座り込み抗議行動を引き起こし、更に警察官の出動を要請し、学生を排除しようとした。
 学生をしてこのような行動に追いやつた原因は大学側にあり、その責任が問われるゆえんである。
 そして更に大学側は学園祭後、こうした背景を全く無視して学園祭にかかわつた中心的学生七十数名に対し、学則、学生規則違反として処分のための調査を行い、昨年十一月二十日には定期試験をも防害してまで強制的呼び出し調査が行われた。学生は調査に抗議し、釈明を求めたが再び拒否された。しかも大学側はこの抗議を「暴力事件」としてデッチ上げ、処分を行おうとしており、また、警察の介入を要請し刑事事件にまでしようとしている。
 昨年十二月十四日には第二学群、第三学群の学生の処分が発議され(第一学群は教員会議の反対を押し切つて副学長が処分を発議している。)、二月中には学生の処分が発表される予定だと言われている。以上の経過により次の事項について質問をする。

一 昨年二月二十八日以降今日まで、国会における私の質問に対して文部省は、どのような誠意をもつて筑波大学の学生規則を検討したかについて報告されたい。
二 五十四年の紛争の根源は、昨年二月二十八日に質問した憲法に違反していると思われる学生規則にある。これは表現の自由を求める学生の声を無視し続けた大学の行為を一切不問にしたままの不当なものである。一月十六日に「厳重注意」という処置で済んだはずの体育専門学群の二名の学生に対し、その後更に不当に重い「三ヵ月停学」の処分が発表されたが、この処分は教育の名の下に大学執行部の都合によつて学生をあたかも物のごとく処分しようとするもので、著しく不当な処置であると思うがどうか。
三 また、たとえ大学側に教育上の処分権があるにしても、一昨年の県議選買収事件では、明確な法律違反であるにかかわらず教育的処置と称し、学則による学生処分がなされなかつたのに比し、今回の一連の処置は著しく公平の原則を欠く処分権の乱用と言わざるを得ないがどうか。
四 筑波大学の教育方針をさまざまの方面から問い直す時と考えるが、再検討する意思があるか否か表明されたい。

 右質問する。





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