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昭和五十五年十月十四日提出
質問第七号

 薬価基準の改定に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十五年十月十四日

提出者  草川昭三

          衆議院議長 福田 一 殿




薬価基準の改定に関する質問主意書


 医療保険において支払われる薬剤費は、年間およそ四兆円に達するものと考えられる。他方、現行の薬価基準と実際の医療機関が購入している医薬品の実勢価格とは著しく乖離し、各種の不適正販売とともに大きな社会問題となつている。
 いま仮に、現行の薬価基準を一五パーセント引き下げるならば、年間およそ六千億円にも及ぶ医療費の節約を可能とし、それが医療保険制度の改善に役立つと同時に、国民の医療に対する不信を払拭する重要な第一歩となりうることも明らかである。
 従つて、私は、薬価基準の改定とその不合理の解消を図ることが焦眉の急務であると信じ、本年二月の予算委員会においてこの問題についての質疑を行い、その際の政府の答弁を踏まえて、更に本年五月には「薬価基準改正等に関する質問主意書」(昭和五十五年五月七日提出、質問第一四号)を提出し、これに対する政府の答弁書(昭和五十五年五月十六日受領、答弁第一四号)を受領したところであるが、これら一連の経過に沿つて、ここに改めて次の事項につき質問する。

一 現行の薬価基準の改定のための薬価調査は、昭和五十三年七月に実施された。じ来今日まで二十七ヵ月の歳月を経過している。
  前述のとおり年間六千億円の医療費の節約という視点からすれば、この二十七ヵ月間に実に一兆三千五百億円の無駄遣いが放置されていると言つても過言ではない。
 1 なぜ、このような長期間にわたつて薬価基準の改定が遅延されているのか。さきの政府の答弁書によれば、「本調査以外に特別調査及び五回にわたる経時変動調査の結果を基に行つているため、従前に比べ相当の期間を要している」ためであるという。これは、さきの予算委員会とこれに引き続く社会労働委員会における政府の答弁とも照合すれば、政府の一貫した見解であると考えられる。従つて、薬価基準改定の遅延理由は、当然のことながら、さきの答弁書に述べられている見解のとおりと解してよいか。
 2 政府は、さきの予算委員会において、薬価調査の集計作業が本年四月二十日前後には終了する旨を答弁している。このため、私は去る五月にさきの質問主意書を提出したのであるが、政府は「現在、全力を挙げて作業を進めて」いるとのみ答弁し、結果的には、第五回の経時変動調査の実施からすでに一年を経過しようとしている。そればかりか、仄聞するところによれば政府は、本年九月、更に第六回目の経時変動調査を開始したという。従つて、この際、第六回目の経時変動調査の目的、内容及びその進捗状況並びに集計終了時期を明らかにされたい。
 3 薬価基準の改定が、「……五回にわたる経時変動調査の結果を基に行つているため」遅延しているという現在、この第六回目の調査の集計についても「全力を挙げて作業を進め」、更に一年を経過させるとすれば、薬価基準の改定はまさに百年河清を待つに等しいか、薬価基準の改定を実施しないために薬価調査を行つているか、いずれかの結論に到達せざるをえない。この点について政府の見解を改めて示されたい。
二1 薬価基準の改定の実施時期についてさきの答弁書は、「この作業が終了した段階で早急に薬価基準の改定を実施したい。」と述べている。そして政府は、現在「この作業」即ち薬価基準の算定作業の、終了しない状況又は終了させない状況を意識的に現出させていると言うことができる。このような状況は、誠に遺憾であると考えているが、実施時期についての政府の見解自体は、当然のことながら、さきの答弁書に述べられている見解のとおりと解してよいか。
 2 薬価基準の改定の実施時期について、さきの答弁書に述べられている政府の見解とは異なつて、診療報酬の改定の実施時期と連動するかのごとき説が存在している。この説の根拠は、昭和四十七年一月の中央社会保険医療協議会の建議書のうち「第二薬価調査」の後段の部分のみを切り離して強調し、前段の部分を無視する点に求められている。
   私は、現行の薬価基準と実勢価格との差益が、低い技術料の穴埋め的な作用を果たしている事態を認めるが、それが好ましいこととは考えていない。その点について、建議書もまた、診療報酬体系の適正化を阻害している現行薬価の適正化を図れと指摘しているところでもある。従つて、まず薬価基準の改定を早急に実施しなければならず、その結果生じた余裕を医師の技術料等に上積みすべきであつて、実施時期の連動によつては薬価の適正化は図れないと考える。この点について、政府の見解を明確に示されたい。

 右質問する。





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