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昭和五十六年十一月二十六日提出
質問第一八号

 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づく地方交通線の選定に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十六年十一月二十六日

提出者  野間友一

          衆議院議長 福田 一 殿




日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づく地方交通線の選定に関する質問主意書


 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(国鉄再建法)及び同法施行令(政令第二十五号)に基づき、政府及び国鉄は、旅客輸送密度が一定基準値以下の営業線(国鉄再建法第八条によつて「地方交通線」と称されている。以下「地交線」と略す。)につき、特別割増運賃の導入の準備を進めている。
 特別割増運賃の導入線区は全国で百七十五営業線とされ、一日平均約二百万人が利用していると言う。現在言われているように、昭和六十年度までに幹線の運賃の五割増し以内の特別運賃が適用されるとすれば、これを利用する地域住民に特別の高負担を強い、また、地域の発展にとつても重大な影響を与えることは必至である。
 旅客輸送密度が一定基準値以下の営業線に特別割増運賃を適用すること自体、容認できるものではないが、それをおくとしても、どの線区がこれを適用され、あるいはされないかの選定は、公平かつ厳正になされなければならない。
 しかし、地交線の選定方法に重大な疑義があるので、以下のとおり質問する。

一 地交線に関する基準について
  地交線の基準は、政令第二十五号(以下「政令」という。)において、昭和五十二年度から昭和五十四年度までの間の旅客輸送量について算定した旅客営業キロ一キロメートル当たりの一日平均旅客輸送人員、すなわち旅客輸送密度(政令第一条第一号)が八千人未満である営業線(政令第二条)とされている。
  しかし、政令第一条第一号に関し、「必要な事項は、運輸大臣が告示で定める。」(政令第五条)としているだけで、これ以上詳細な規定はない。
 政令第一条第一号ロにいう「旅客輸送密度」は、当然のことながら、実際の旅客輸送人員、すなわち実人員が算定の対象になると考えるがどうか。
二 無人駅を有する営業線の旅客輸送密度の算定方法について
  前項の質問のように、政令でいう旅客輸送密度は実人員を算定対象とするものであるならば、以下和歌山線を例に具体的に述べるような無人駅を有する営業線に関し、同密度の算定方法には、重大な問題があると考える。
  和歌山線(王寺 ― 和歌山間、八十七・九キロメトール)は、地交線と選定された営業線のうちでは、越後線、七尾線、日光線及び播但線に続いて、全国で五番目に利用客の多い線区であり、国鉄の調べでは、旅客輸送密度は七千七百八十三人で、基準値に二百十七人不足しているだけである。他の多くの地交線同様、和歌山線も多くの駅員無配置駅(いわゆる無人駅)を抱えている。全線三十二駅のうち九駅が無人駅である。
  無人駅の乗車客については、原則として乗務車掌が車内で改札することになつている。しかし、現在車掌は一人体制であり、すべての無改札乗車客をカバーすることは到底不可能である。そればかりか和歌山線においては、車内改札率は一〇パーセント未満ではないかとみられている(「割増運賃に反対し和歌山線を守る住民の会」の昭和五十六年十月調べ。以下「住民の会」と略す。)。現に、終点の和歌山駅の和歌山線からの精算は、一日平均二百九十六名で、うち定期券、原券両乗越し精算分は合わせて二十一名(七・一パーセント)で、残り二百七十五名(九二・九パーセント)すべてが無改札の乗客であつた(昭和五十六年十月二十三日から十一月一日までの平均値。天王寺鉄道管理局調べ。)。
  ところが、運輸省及び国鉄当局は、定期券などの乗越し精算を旅客輸送密度の算定に計上しないばかりか、こうした無改札の着駅精算分をも同密度の算定に計上していない。
  さらに、旅客輸送密度の算定において、無改札の着駅精算分だけでなく、ある駅での券売機による金額式乗車券を複数の営業線へ逆按分する場合も、無人駅を有する線区は、同様の理由から低く見積もられている。
  また、一つの営業線内各駅はもとより、無改札で通過できる接続線が多数あれば(和歌山線の場合は、関西本線、桜井線、阪和線、紀勢線等)、以上の事情は拡散し、旅客輸送人員の算定上もれている分がかなりあると考えられる。
  そこで、
 1 以上述べたような実情及び政令に即して考えれば、定期券乗越し精算分などを旅客輸送密度の算定に計上しないばかりか、無人駅乗車の無改札の着駅精算分などをも算定に計上しないことは、なおさら不当な算定方法であると言わざるを得ない。
   当然、これらの無改札の着駅精算分などを旅客輸送密度の算定に計上すべきであると考えるが、どうか。
   もし、こうした無人駅を有する線区での無改札の着駅精算分などを旅客輸送人員の算定に計上しないとすれば、国鉄再建法及び政令上どのような根拠でそうしないのか、明らかにされたい。
   政府が、中小民有鉄道に関して実施している予算補助の基準である旅客輸送密度の算定の場合は、実際の旅客輸送人員を算定対象とした数値を前提としているのであるから、国鉄の場合にそうしないのは、これとの関係でも道理がないと言わざるを得ない。
 2 政令第五条に基づく運輸省告示第百三十七号で、旅客輸送密度の算定方法として、「発売乗車券を基礎として……算定する」(同告示第二条)と定められているが、
 イ ここにいう「発売乗車券」とは何か。
 ロ 無人駅を有する営業線の実情及び政令に照らしてみれば、旅客輸送密度の算定対象を「発売乗車券」のみに限定している同告示は誤りであり、早急に改めるべきであると考えるが、どうか。
三 無人駅を有する営業線の実態調査について
  運輸省及び国鉄当局は、無人駅は乗降客が微少であり、車内改札が原則であると言うが、先に具体例として挙げた和歌山線の場合、「住民の会」の調査によると、無人駅乗降客を含めるなどすれば、実際の旅客輸送密度では八千人を超過していると言う。
  従つて、和歌山線をはじめ無人駅を有する営業線の実旅客輸送人員の実態調査を早急に行うべきであると考えるが、どうか。

 右質問する。





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