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昭和五十七年二月十二日提出
質問第三号

 「国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律」の運用の実態に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十七年二月十二日

提出者  土井たか子

          衆議院議長 福田 一 殿




「国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律」の運用の実態に関する質問主意書


 先に、成田空港建設事件(東京地方裁判所昭和四十五年(行ウ)第四八号及び同昭和四十六年(行ウ)第一〇五号)に関連して、標題を同じくする質問主意書(昭和五十四年十一月十六日付)を提出し、行政権と司法権との関係に係る諸点を質したが、「国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律」等を誠実に執行しなければならない被告指定代理人らの応訴態度や、右事件が係属する東京地方裁判所民事第二部(行政部)との関係に疑義があるとのことなので、同事件に係る行政事件訴訟法や民事訴訟法の解釈をも含め、前回と同様の趣旨の下に、以下、鈴木善幸首相の御見解を賜りたい。

一 昭和五十六年十二月十七日の第四八回口頭弁論において、被告指定代理人らは、昭和五十六年十二月十日付乙第四七号証訂正書を乙第六三号証として提出したが、乙第四七号証自体については、(1)昭和五十一年四月八日付で空港公団がその責任において、成田空港に係る「用地買収の経過と収用手続に関する業務資料」として内部的な事務処理の必要上作成したものであり、(2)収用手続の経過と概要を立証する資料としては、全体として適当な内容であると被告指定代理人らが、判断し、被告建設大臣の処分の適法性を立証する書証として提出したものである ―― とすでに答弁されていた(内閣参質九一第一一号、同九二第三号)。そこで、
 1 被告指定代理人らは、乙第四七号証を書証として提出する際にすでに、乙第六三号証で訂正された「誤記」の存在を承知していたのか。
 2 空港公団は、右「誤記」の存在をいかなる契機によりいつ承知するに至つたのか。
 3 空港公団は、業務の参考に資するため、右「誤記」の訂正をどのような手続によりいつ行つたのか。
 4 乙第四七号証訂正書の作成は、被告指定代理人らの要請によるのか。その他どのような契機によるのか。
 5 ところで、乙第四七号証には、もはや「誤記」は存在しないのか。
 6 例えば、昭和四十七年六月十七日付第七次明渡裁決申立は、三件九筆について行われたのではないのか。当該申立に係る事件番号(46)、(47)及び(48)の各々の対応する筆数を示されたい。
 7 その他乙号証全体を通じて、「誤記」ないし虚偽表示は存在しないと言えるのか。乙第三六号証や同三七号証についてはどうか。
二 同じく右口頭弁論において、被告指定代理人らは、事業認定及び特定公共事業認定に係る本件各起業地の位置を明らかにするため乙第六四号証として、空港公団作成に係る「本件事業認定及び本件特定公共事業認定に係る起業地位置図」を提出し、同図面作成の年月日については、前日の「十二月十六日にしてもらう」と開陳し、また、事業認定申請書及び特定公共事業認定申請書の添付書類たる「起業地及び事業計画を表示する図面」については、本件各認定処分の適法性を立証する書証として提出するつもりはないと述べたという。そこで、
 1 乙第六四号証として提出された右図面の作成は、被告指定代理人の要請によるのか、それとも空港公団独自の目的のためか。独自の目的であれば、それは何か。
 2 右図面は、本件特定公共事業認定申請書に添付された新東京国際空港第一期建設事業の区域位置図の単に標題を変更したものに過ぎないのではないのか。とすれば、何故、標題を変更する必要があつたのか。
 3 本件各起業地の範囲については、どのようにして立証するのか。
 4 本件各起業地の範囲の適否が、本件各認定処分の適法性とは関係がないというのであれば、その理由を示されたい。
 5 建設大臣は当時、本件各認定処分に当たり、本件各認定申請書添付書類たる「起業地及び事業計画を表示する図面」によることなく、その適法性を判断したのか。また、「起業地及び事業計画を表示する図面」が申請書添付書類とされている理由のすべてを示されたい。
 6 必要的添付書類である「起業地及び事業計画を表示する図面」を欠く本件各認定申請書により、本件各認定処分の適法性を司法権に判断させようというのか。とすれば、その理由は何か。
 7 ところで、昭和五十三年五月二十日開港に必要となつた事業施設は、そのすべてが、本件特定公共事業認定申請書添付の新東京国際空港第一期建設事業の区域平面図に記載された事業計画に係る事業施設と同一のものか。同一でない事業施設があれば、その変更又は新設の時期(年月日)及び理由を事業施設ごとに示されたい。
三 同じく右口頭弁論において、被告指定代理人らは、訴え却下申立書を提出・陳述し、その中で、駒井野団結小屋を共有していた故戸村一作氏は、同団結小屋が緊急裁決に基づく第二次代執行により除却され当該敷地が成田開港以降四千メートル滑走路用地として供用されているので、本件各訴訟における原告適格を有しなくなつたと言うべきである等の主張をなしているという。そこで、
 1 右団結小屋が緊急裁決に基づく第二次代執行により除却され、当該敷地が成田開港以降四千メートル滑走路用地として供用されていることを、どのようにして立証するのか。
 2 故戸村一作氏に本件各訴訟における原告適格を有しなくさせた第二次代執行や四千メートル滑走路の供用開始は、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」と規定した憲法第三十二条に違背しているということなのか。第二次代執行や四千メートル滑走路の供用開始は、故戸村一作氏の原告適格を有しなくさせていながら、なお、故戸村一作氏の裁判を受ける権利を侵害していないというのであれば、その理由を示されたい。
 3 本件各訴訟の確定判決に至るまで原告適格を有し続けるために、故戸村一作氏は何を為すべきであつたのか、御教示賜りたい。
 4 第二次代執行でその生活・生存の場を追われた故小泉よね氏についても、故戸村一作氏同様、本件各訴訟において原告適格を有しなくなつているのか、理由を付して明らかにされたい。
 5 例えば、四千メートル滑走路用地として供用されている土地の従来の所有者も、故戸村一作氏同様、本件各訴訟において原告適格を有しなくなつているのか、理由を付して明らかにされたい。
 6 右訴え却下申立書は撤回しないのか。とすれば、その理由は何か。
四 同じく右口頭弁論において、被告指定代理人らは、昭和五十六年七月十六日付原告代理人ら申立に係る訴訟参加申立に対する意見書を提出し、異議を申立てたが、そのうち一についてのみ陳述したという。そこで、
 1 時岡泰裁判長は、被告指定代理人・川勝隆之氏に右陳述を求めた上、二の補助参加の申立については、「陳述しませんね」とたたみかけ、川勝代理人は即座にこれに従つたという。右「一部陳述せず」については、事前に時岡裁判長と川勝代理人の間に直接・間接はともかく打合せがあつたのか。
 2 川勝代理人は書面を作成して主張までしていながら、何故、時岡裁判長の言に「呼応」して陳述を行わなかつたのか。
 3 ところで、川勝代理人はすでに前回の昭和五十六年十月八日付第四七回口頭弁論において、時岡裁判長の求めに対して、訴訟参加の申立については特に意見はないと開陳し、調書に記載させているという。「特に意見はない」から異議申立の意見書提出へと大きく変更したのは、時岡裁判長からの指摘によるのか。その間の経緯・事情を明らかにされたい。
 4 異議権の喪失を規定する民事訴訟法第六十七条によれば、川勝代理人は異議を述べる権利を第四七回口頭弁論において放棄していたのではないのか。放棄したことにならないのであれば、その理由を根拠を付して示されたい。
 5 同時進行中の審査請求事件において、建設大臣は当該同一人の審査請求人の地位の承継を認めている(昭和五十六年七月二十日付建設省計総発第一五六号)。川勝代理人の「特に意見はない」との開陳は、これを受けてのことだつたのではないのか。
 6 成田問題の一体的解決という観点に立つならば、建設大臣同様、法務大臣も被告指定代理人らをして当該訴訟参加を認めさせてもよかつたのではないのか。
 7 当該訴訟参加をむげに排除することが、本件各訴訟に一体いかなる意義・価値をもたらすというのか。
 8 右訴訟参加申立に対する意見書は撤回しないのか。とすれば、その理由は何か。
五 民事訴訟法の解釈等について
 1 民事訴訟法の維持・管理は、法務省民事局の所管ではないのか。その他同法を所管する事務局名を示されたい。
 2 民事訴訟法第三百八十七条にいう判決の手続とは、同法第百八十六条から同百九十一条に規定されるものではないのか。その他どの条項を指しているのか示されたい。
 3 判決の手続の一つである民事訴訟法第百八十七条第三項は、昭和二十三年に追加されたものであるが、追加を必要とした理由及び立法の趣旨を示されたい。
 4 右追加条項は、訓示規定か、効力規定か。その他いかなる効果を有する規定か、根拠を付して明らかにされたい。
 5 民事訴訟法第三十七条は、裁判官の忌避について規定するが、裁判の公正を妨ぐべき事情という忌避の要件を具体的に示されたい。
 6 第一審の判決又は結審前の段階で、民事訴訟法第三百八十七条にいうがごとき、判決の手続が法律に違背していることが明白な場合、右忌避の要件が成立していることになるのか、根拠を付して明らかにされたい。
 7 民事訴訟法第百八十七条第三項にいうがごとき、合議体の裁判官の過半数が更迭した場合に従前訊問した証人に付当事者が更に訊問の申立を為した時、それでも訊問が行われなかつた場合、右忌避の要件が成立していることになるのか、根拠を付して明らかにされたい。
 8 民事訴訟法第六十七条にいうがごとき、異議権を喪失した当事者に異議を述べる権利をなしくずし的に回復・行使させることは、右忌避の要件が成立していることになるのか、根拠を付して明らかにされたい。
 9 ところで、時岡裁判長は、昭和四十年四月から同四十九年三月まで法務省民事局に在職し、翌四月から本件各訴訟が係属する東京地方裁判所民事第二部の裁判官となつたと聞くが、事実か。
六 内閣答弁書(内閣衆質八九第四号)別表で、本件各訴訟の提訴以前に提訴され、東京地方裁判所民事第二部に係属中の事件として番号40から52のものが示されていたが、このうち現在もなお係属中のものの番号を示されたい。

 右質問する。





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