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昭和五十八年三月十日提出
質問第一二号

 中小業者への強権的税務行政に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十八年三月十日

提出者  林 百郎

          衆議院議長 福田 一 殿




中小業者への強権的税務行政に関する質問主意書


 いうまでもなく申告納税制度の下における税務行政、とりわけ税務調査においては、国税当局が「税務運営方針」(昭和五十一年四月一日)で自ら戒めているように、「社会通念上相当と認められる範囲内で納税者の理解と協力を得ておこなうものであることに照らし、一般調査においては事前通知の励行に努め、また現況調査も最小限にとどめる」こと、「納税者との接触に当つては、納税者に当局の考え方を的確に伝達し、無用の心理的負担をかけないようにする」ことなどが当然守られねばならない。この点では、中曽根総理も本年二月十八日の本会議で小沢和秋議員の質疑に対し、「税務行政につきましては……納税者の理解と協力を得ながら、適正な執行に努め」、「懇切丁寧に御指導申し上げる」と同趣旨の答弁をしているところである。
 また第七十二回国会の衆議院大蔵委員会では、「税務調査にあたり、事前に納税者に通知するとともに調査の理由を開示すること」という内容の請願も議決(昭和四十九年六月三日)されてきている。
 しかるに最近、右の趣旨に著しく反すると思われる国税当局の中小業者への不当な税務行政が全国的に多発している。
 一、二の例を挙げると、京都市の中京税務署(浜部節雄、谷内栄一両署員)は、昨年四月二十四日、同市中京区聚楽廻西町一八四のオバタケ工房店舗兼作業所を事前通知もないまま訪問し、経営主である小畠信吉氏や従業員二人が留守している間に、鍵を外して玄関から作業場まで上がりこんだというもの。
 仙台国税局(大城修、秋場耕明両調査官)も、昨年十月十九日に、塩釜市新富町の鮮魚仲卸業者の高橋三男氏が入院中で留守の間に訪問し、看病のため病院に行こうとする妻ひさ子さんに対して、「三十分ぐらいで終る」といつて上がりこみ、「現在、一万円札が何枚あるか、千円札が何枚あるか」といつて、机の引出しから書類を取り出すなど約二時間にわたり、ひさ子さんを不当に引き止めた。翌日には、「嫁にきたときは、いくら金をもつてきた。どこの郵便局からおろしたか」など二人がかりで犯罪者扱いをしたというものである。
 右のような強権的な税務調査が横行する中で、今年の一月、長野県伊那市で左記のような不当な税務調査が行われ、当該納税者はじめ近隣納税者の怒りを買つている。
 同事件の経過は、今年の一月二十四日午前十時ごろ、伊那税務署(新井、橋場両調査員)は、上伊那郡大字伊那一九三四の吉野屋(精肉店、食堂)を突然訪ねた。
(一) 両調査員は、経営者である武田長一郎氏に税務署員である身分証明書をチラリと見せたうえで、「営業形態をみたい」といつて「店のレジをあけろ」、「金庫の中の金を数えろ」と命令した。驚いた武田氏は、いうがままに金を勘定した。
(二) 次に両調査員は、「他の金庫をみせろ」と強要し、武田氏が店の奥へ金庫を取りに入つて行くと、「どこへ行つた」と大声で騒ぎ出し、店内をウロウロ歩きまわつた。
(三) 次に両調査員は「貯金通帳をみせろ」といい、武田氏が食堂の調理室の奥にある事務所兼仮眠用の寝室へ通帳を取りに行つたところ、調査員が無断で後からついてきて同事務所兼仮眠用寝室に上がりこみ、勝手に書類ケースの引出しを開けはじめた。驚いた武田氏は「止めてくれ」という抗議をしたが、まつたくこれを無視して、この書類ケースのすべての引出しを開け、印鑑をはじめ中に入つているものを引つ張り出した。
というものである。
 このような高圧的かつ行き過ぎた税務行政は余りにも看過できない重大問題なので、例示三事件に関連し次のとおり質問する。

一 令状等に基づく強制調査と所得税法第二百三十四条の質問検査権による任意調査とは性質、対応が異なると思うが、政府はどう考えるか。
二 右の三事件はいずれも任意調査の際に行われたものであるが、かかる行き過ぎたことが許されるのかどうか。任意調査の限界如何。
三1 先に述べた国税当局の「税務運営方針」、総理の答弁及び第七十二国会での請願議決の趣旨は、行政に十分反映させるのかどうか。
 2 そうだとすれば右三事件について直ちに厳重に調査したうえ、納税者に対して謝罪させるかどうか。
 3 従来の税務大学校及び税務署における質問検査権の行使についての教材及び教育内容を報告されたい。
 4 今後かかる事件を起こさないよう、税務職員にどのような教育、指導を行うか。

 右質問する。





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