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昭和五十八年四月七日提出
質問第一八号

 浜岡原子力発電所3号炉の敷地地盤の安全性に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十八年四月七日

提出者  栗田 (注)

          衆議院議長 福田 一 殿




浜岡原子力発電所3号炉の敷地地盤の安全性に関する質問主意書


 去る四月初めに、日本科学者会議の調査グループ(藤井陽一郎茨城大学教授(測地学)、伊藤通玄静岡大学教授(地学)、林弘文静岡大学助教授(物理学)ら)による静岡県御前崎地域の地質調査が行われた。その結果、「白羽(しろわ)断層」の露頭が地質学的に初めて確認された。また、同露頭は、基盤の相良層(新第三紀層)を約七十八センチ切つている断層が、その上位の御前崎礫層(第四紀層)を約六十八センチも一目りよう然に切つていることが確認された。このことは、中部電力.浜岡原子力発電所の3号炉の増設を許可した政府の安全審査結果に、重大な疑惑を直接的に投げ掛けている。
 3号炉敷地内の基盤である相良層には、三本の断層(H ― 1、H ― 2、H ― 3断層)があり、このH断層系の評価は、3号炉敷地の地盤の安全審査上の決定的ポイントになつているものである。中部電力は、「浜岡原子力発電所原子炉設置変更許可申請書(3号炉増設)」の「一部補正」の中で、H断層系について「少なくとも第四紀後期における活動はなかつたものと推定される」と結論付けている。その根拠としたのは、御前崎地域の十数箇所の相良層などを切つている断層露頭を観察したところ、「いずれも上位の第四紀層に変位を与えていない」、「少なくとも御前崎礫層に変位を与えていない」からだということであつた。
 また、政府は、H断層系の評価としてこれをそのまま認め、「この断層は少なくとも最近の活動がないと判断して差し支えない」(通産省)、「H断層系の最近の活動性はないものと判断され、繰り返して活動する性質を持つ活動層とは異なり、地震を引き起こすような断層ではないものと判断する」(原子力安全委員会)としたのである。
 このほど、日本科学者会議の調査グループが確認した「白羽断層」の露頭では、基盤の相良層を切つている断層が明確に上位の御前崎礫層に変位を与えており、このことは3号炉敷地内のH断層系が活断層である可能性を示唆しており、3号炉の敷地地盤と地質の安全審査結果に重大な事実誤認の疑いがあることを示している。
 さらに問題なのは、「一部補正」で「御前崎町白羽の露頭では……ここでの相良層には、断層が認められるが、上位の御前崎礫層に変位を与えていない」と書き、「御前崎白羽の露頭スケッチ」を添付していることである。この文章は、なんの注釈もなく書かれており、これを素直に読めば「白羽断層」の露頭についての調査が行われ、問題がないという評価がされたと誰もが思うであろう。「白羽断層」は、「日本の活断層」(東京大学出版会)の中で「確実度1」の活断層として記載されており、原発敷地周辺の地盤、地質調査の重要な対象であるはずであるからである。東海大地震の来襲が騒がれている御前崎地域ではなおさらのことである。ところが、「一部補正」でいう「白羽の露頭」とは、「白羽断層」のことではなく、実は白羽地区にある全く別の露頭であることが添付資料をみると明白となるのである。こうした記述の仕方は欺まん的である。
 以下、浜岡3号炉増設問題について、これまで述べた部分に限つて質問する。

一 3号炉敷地の地質、地質構造の調査に当たつて、日本科学者会議の調査グループがこのほど確認した「白羽断層」の露頭を調査・検討したのかどうか。
二 「日本の活断層」に、御前崎地域の活断層として記載されている「白羽断層」を始め一連の活断層を調査・検討したのかどうか。
三 「一部補正」で「相良層、掛川層にみられる断層と第四紀層との関係については、一〇数ケ所の露頭で観察した」とあるが、その露頭の位置を地名番地で明確にされたい。
四 「一部補正」でこれら「一〇数ケ所の露頭」では「いずれも上位の第四紀層に変位を与えていない」とあるが、そのように評価した根拠を具体的に示されたい。
五 これら敷地周辺の地質調査の時期、調査人員、調査内容等について明らかにされたい。また、コンサルタント会社が中部電力に出した資料は安全評価の上で極めて重要なので、その全容を明らかにされたい。
六 3号炉敷地のH断層系の安全評価は重大な事実誤認の疑いがあるので、全面的な見直しをすべきであると考えるがどうか。
七 また、その見直しに当たつては、3号炉建設に反対又は批判的な住民、学者などの意見も反映されるべきと思うがどうか。

 右質問する。





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