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昭和五十八年七月二十日提出
質問第一号

 米国海軍所属戦艦ニュージャージーの日本寄港と非核三原則に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十八年七月二十日

提出者  (注)崎弥之助

          衆議院議長 福田 一 殿




米国海軍所属戦艦ニュージャージーの日本寄港と非核三原則に関する質問主意書


 米国海軍所属戦艦ニュージャージーに装備されている20mm高発射速度機関砲(ファランクスCIWS)の砲弾(劣化ウラン弾)と我が国是たる非核三原則との関係について左の項目に対し、政府の統一見解を明らかにして回答されたい。

一 ファランクス(Vulcan Phalanx)CIWSについて
 各種資料によれば、ファランクスCIWSとは以下のような装備であるが間違いないか。
 1 昭和五十六年五月七日の衆議院内閣委員会で確認しているとおり、ファランクスは巡航ミサイル又は低高度航空機による攻撃から水上艦艇を防護するために設計されており、射撃指揮装置も砲架も一つの構造物内に結合されている。
   その構造物は三つのセクションからなり、上部レドームは精密捜索用(捕捉用)のパルス・ドプラー・レーダー及び追尾用レーダーが収納されており、中部セクションには六銃身のガトリング銃及びマガジン、そして基底部にはモジュール化された電子機器がそれぞれ収納されている。
   システム全体の高さは一五フィート、重量は一一、〇〇〇ポンドで、据え付けるためには五八フィート四方の甲板上のスペースを必要とする。
 2 ファランクスの捕捉用レーダーが飛来する目標にロックオンすると、直ちに追尾が開始され、20mm機関砲は追尾中ずつと目標に追従し、目標が射程内に入つたとき、自動的に射撃を開始する。
 3 ファランクスの使用する砲弾は貫徹力の高い、自燃性と低放射能を持つ劣化ウラン弾(U ― 二三八弾)であり、弾丸が銃身を離れる際、施転力を増すため、ナイロン製の装弾筒が付いていることが特色である。弾頭部は空気抵抗を減ずるため、プラスティックの風防で覆われ、この弾はその密度と高速と自燃性の故に、いかなる目標でも命中すれば貫徹するように設計されている。
二 劣化ウラン弾(U ― 二三八弾)は核兵器の一種であると思うが、日本政府の見解はどうか。
 1 劣化ウラン弾(U ― 二三八弾)は以下のような弾丸に問違いないか、回答されよ。
  a 劣化ウラン(U ― 二三八)は密度が非常に高く、比重が鋼鉄の一・五倍、鉛より六〇%重く、同比重のタングステンより価格は1/8位で安値であり、弾芯材料としては最適の金属である。
  b U ― 二三八は天燃ウラン中〇・七%あり(九九・三%は核兵器の原料となるU ― 二三五)、濃縮精製する際生じる副産物(濃縮精製でU ― 二三五は約三%、U ― 二三八は約九七%)であり、またU ― 二三五が燃焼した使用済の核燃料でもある。
    従つて、自国でウラン濃縮のできる国は大量のU ― 二三八の備蓄を有しており、米国は現在一〇億トンにのぼるU ― 二三八の備蓄があるといわれ、その処理に困つているほどである。
  c U ― 二三八は増殖炉でプルトニュームに変換ができ、将来、燃料として使用される可能性がある。
  d このU ― 二三八と他の金属との合金を徹甲弾の弾芯に応用した砲弾がいわゆるウラン(U ― 二三八)弾である。勿論U ― 二三八そのものも数ミリレムの低放射能を持つ。
 2 この劣化ウラン弾が核兵器の概念に包括されるかどうかについての米上・下院における論争は結着がついたのか。
   米国陸海空軍では一九七八年に各種「ウラン弾」を開発して翌年から「ウラン弾」百十数万発の生産にとりかかつたという報道がすでにあるが、同時に外信によれば、同年に米上・下院及び米政府の食品医薬品局などの専門家は、狭い戦車や軍用機あるいは艦内に積み込まれた大量の「ウラン弾」にさらされれば、乗員兵士は毎日レントゲン撮影を受ける位の放射能の影響はある筈と述べているし、下院の委員会ではロジャース下院議員(民主)が「低水準放射線の人体に及ぼす危険」を警告し、上院本会議ではドール上院議員(共和)が「国防総省は米将兵を新たな放射線の危険にさらそうとしている」と非難の応酬をしている。確かにこのウラン砲弾を撃ちこまれた場合、高熱のため毎時二百数ミリレムの放射能が発生するといわれているが、この米議会における論争は結着がついたのかどうか。ついたとすればどうついたのか、調査の上回答されたい。
 3 前述五十六年五月七日の衆議院内閣委員会において、「非核三原則の核、これは放射能を利用する核兵器のことでしよう。これは放射能の濃淡によつて区別しない、つまり放射能を利用する核兵器は全部非核三原則の核であると私は理解しておりますが、よろしゆうございますか。」との私の質問に対し、当時の中曽根総理大臣臨時代理は「非核三原則に関しまする限りは(注)崎委員と同じようなものではないかと私は記憶しております。」と答弁されている。
   従つて、日本政府としては劣化ウラン砲弾も核兵器の概念に包括したものと解釈されるが、改めて確認したいので統一見解を回答されたい。
   なお、海上自衛隊艦船も「くらま」はじめ続々とCIWS装備の予定であるが、砲弾についてはウラン弾でなく、同比重のタングステン弾を高価であるにもかかわらず使用検討研究中であるということは、劣化ウラン弾が非核三原則に抵触する恐れがあるからと思われるが、併せてその理由を明らかにされたい。
三 劣化ウラン砲弾装備蓄のニュージャージー(十月寄港予定の米最新鋭空母カール・ビンソンもファランクスCIWS及び劣化ウラン弾装備蓄)の日本寄港は、以上の諸疑問が解明されない限り非核三原則に抵触すると思われるので、日本寄港を拒否すべきであると思うがどうか。ニュージャージー日本寄港前に回答されたい。

 右質問する。





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