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昭和五十八年十一月二十八日提出
質問第三三号

 沖縄県における雇用及び失業問題に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十八年十一月二十八日

提出者  (注)長亀次郎

          衆議院議長 福田 一 殿




沖縄県における雇用及び失業問題に関する質問主意書


 沖縄県における雇用・失業問題は、極めて深刻な状況にあり、一刻も早く現状を打開し、問題解決を図ることが緊急の課題となつている。
 総理府統計局が十月二十八日発表した沖縄県労働力調査は、沖縄県内の失業者三万千人、完全失業率は前月比〇・四%の上昇で六・五%と極めて深刻な実態を示しており、過去最悪水準に近づいている。
 沖縄の失業問題の解決をすべて沖縄振興開発計画に基づく産業振興に解消し、何ら有効な具体策を講じてこなかつた政府の責任は重大である。
 従つて、沖縄県における雇用及び失業問題のいくつかの点に限つて以下の項目について質問する。

一 政府は、一九八〇年代経済社会の展望と指針」で完全失業率について、昭和六十五年度の目標値を「二%程度」としている。
  ところが、沖縄県の沖縄振興開発計画関係資料(昭和五十七年十月)の「人口・所得フレーム関係資料」によると第二次沖縄振興開発計画の目標年次である昭和六十六年度の沖縄県の完全失業率は三・四%となつている。
 1 第二次沖縄振興開発計画の目標年次である昭和六十六年度の沖縄県の完全失業率を「展望と指針」の目標年次である昭和六十五年度の全国値の「二%程度」としなかつたのは何故か。三・四%とした根拠と理由を明らかにされたい。
 2 完全失業率を三・四%まで引き下げることを目標としているが、どのような施策によつて達成するつもりか。
二 政府は第二次沖縄振興開発計画で、「産業振興と有機的な連携のもと沖縄の実情に即した雇用機会の創出を図るなど、総合的に雇用対策を進める」としている。
  ここでいう総合的な雇用対策とは何か。その内容を具体的に明らかにされたい。
三 沖縄県の産業振興を図るうえでも、大きな問題となつているのが沖縄県に広範囲に集中している米軍基地の存在である。昭和五十五年八月の沖縄県の「沖縄振興開発計画総点検報告書」は、「産業構造、都市形成、交通体系に多大の影響を及ぼし」また「基地から発生する騒音や公害が、県民生活上大きな障害となつている」と指摘している。
  米軍基地の存在が、産業振興を図るうえでも重大な障害となつていることは周知のことである。昭和五十四年六月十四日の私の「沖縄県の雇用及び失業問題に関する質問主意書」に対する昭和五十四年七月十日の政府答弁書で、米軍施設、区域の整理統合について、「その推進に努めていく考えである」と答弁している。
  以後どう推進したのか。
四 沖縄振興開発特別措置法第三十八条は、労働大臣が沖縄県知事の意見を聞いて「就業の機会の増大を図るための事業の実施その他必要な事項に関する計画を作成し、その計画に基づき必要な措置を講ずるものとする」と定めている。
  私は、同法第三十八条に基づく失業対策事業について、法制定後これまで一度も発動されたことがないことを再三指摘し、実施を求めてきた。
  しかるに政府は、「失業対策として、特別の事業を起こして一時的に失業者を吸収する方式については、これまで必ずしも再就職の促進につながらなかつた経緯があるため、実施することは考えていない」(前記答弁書)と拒否しているのである。
  政府は、「本土との格差是正」、「自立的発展の基礎条件の整備」を掲げて、これまで十一年間沖縄振興開発を行つてきたにもかかわらず、沖縄の失業率は、復帰前では一%前後であつたのが、今日では六・五%(本年九月度)と深刻の度を増しているのである。
  しかも、「新規工業の立地が必ずしも計画において期待したようには進んでいない等によつて県内の雇用機会が不足している」(前記答弁書)というのが実情である。
 1 産業の振興によつて雇用機会の増大を図るといつても「早急にその効果を期待するのは困難」(昭和五十八年六月「沖縄県経済の概況」沖縄開発庁、沖縄総合事務局)であり、現実には見通しが立たない状況にある。とりわけ深刻な沖縄の失業問題解決のため、公的就労事業を国の責任で興してでも就労の場をつくつていくことが重要だと考えるがどうか。
 2 政府は、現行の特定地域開発就労事業が就労者の滞留を招いてきたと称して、これを改善するためとして昨年十一月から改善特定地域開発就労事業を試験的に実施している。
   沖縄においても、改善特定地域開発就労事業と同趣旨の事業の実施について検討すべきではないか。
五 沖縄県においては、若年層の失業者が多いこととあわせて、復帰に伴う制度変更による離職を余儀なくされた者や、駐留軍離職者が多く、かつ中高年層がその多くを占めていることが特徴となつている。
  このため若年層の失業対策と同時に、再就職困難な中高年層の失業・雇用問題の解決のため特別の対策が必要である。
  しかし、沖縄県については、沖縄振興開発特別措置法第四十七条の規定により、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法(以下「中高年雇用促進法」という。)第二十一条及び第二十二条の規定の適用が除外されている。
  政府は適用除外について、私の昭和五十三年五月十三日の「沖縄県の雇用及び失業問題に関する質問主意書」に対する政府答弁書(昭和五十三年五月三十日)で、「措置の対象を中高年齢者に限定することなく、広く沖縄県内の失業者を対象としていることによるもの」と答弁している。
  しかし、政府の答弁は、沖縄振興開発特別措置法第三十八条に基づく「就労の機会の増大を図るための事業」についてはこれまで実施してきていないことからみても、法律の趣旨を無視したものにほかならない。
  中高年雇用促進法第二十一条、第二十二条の沖縄県への適用除外を規定している沖縄振興開発特別措置法第四十七条は撤廃し、中高年齢者の雇用が特に困難な地域として「特定地域」指定を行い、積極的な措置を講じるべきと考えるがどうか。
六 沖縄の失業対策の一つとして、雇用保険や駐留軍離職者などに対して支払われる「就職促進手当」などによる経済的援護策が講じられている。
  雇用保険の場合、沖縄県の「労働経済指標」(昭和五十八年三月)によると昭和五十七年三月現在、常雇二十九人以下の加入は、事業所数で全体の一四・五%、加入者数で全体の二七・三%と少なく、完全失業者の中で失業手当等を受けている者の割合が極めて低いということが問題となつている。
 1 政府はこの実態を承知しているのか。
 2 政府は零細規模の事業所が多い実態にかんがみ、雇用保険加入促進のため対策を講じるべきではないか。
 3 加入促進対策の一つとして公共職業安定所の職員の増加を図るべきと考えるがどうか。
七 政府は第二次沖縄振興開発計画において、職業の安定と労働者福祉の充実について、「沖縄の実情に応じた各種の施策を積極的に講じる必要がある」としている。
  ところが全体の九六%(昭和五十六年七月一日現在、沖縄県の「事業所統計調査報告」)を占める常雇規模二十九人以下の事業所については、賃金や労働時間などの労働条件の実態すら十分明らかになつていない。
  政府は、沖縄の実情に応じた施策を講じるためにも常雇二十九人以下の零細事業に働く労働者の賃金、労働条件等の実態調査を行うべきと考えるが、どうか。

 右質問する。





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