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昭和五十九年七月二十日提出
質問第三三号

 昭和電工株式会社の各工場におけるじん肺などの発生状況に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十九年七月二十日

提出者  菅 直人

          衆議院議長 (注)永健司 殿




昭和電工株式会社の各工場におけるじん肺などの発生状況に関する質問主意書


 じん肺は肺内への粉じんの蓄積による不可逆性の疾病であり、しかも肺結核、結核性胸膜炎、気管支炎、気管支拡張症を誘起し、特に粉じんが発がん物質である場合には肺がんさえ伴う重大な疾病である。そしてその防止には何よりも予防と早期発見、粉じん職場からの転換が大切である。
 しかるに近年においてもじん肺は、昭和電工株式会社大町工場において発生し、労働省の調査により同工場はじん肺法第八条の定期検診を怠り、また、労働安全衛生法第十三条に違反して同工場に専属の産業医を置くのを怠つていたことが判明し、その結果、昭和五十一年十二月十五日罰金刑に処せられた。また、昭和五十四年五月十五日には、大町工場で一挙に三百六十七名ものじん肺管理区分二以上の決定者を出し、さらに昭和五十五年二月二十三日には、同社塩尻工場で一年間に百人余がじん肺管理区分二以上に決定されていることが松本労働基準監督署により明らかにされるなど、ルーズな管理予防体制がさまざまに指摘されている。
 事業者が、じん肺法によるじん肺健康診断を懈怠していないかどうか、その健康診断でじん肺所見のある者はどの程度発見されたか、その者についていかなるじん肺管理区分の決定がなされたか、その後その者の病状はどう変化したかを知ることは、じん肺患者を発生させるような劣悪な職場環境を改善させ、もつて労働者の健康と福祉を増進させるうえでも大切である。
 そういう見地から以下の項について質問する。

一 昭和電工株式会社大町工場、塩尻工場、秩父工場におけるじん肺法施行後、今日に至るまでの同法第七条から第九条の二までによるじん肺健康診断の実施状況(日時、受診理由別の受診者数、有所見者数)を工場別にそれぞれ明らかにされたい。
二 昭和電工大町工場、塩尻工場、秩父工場におけるじん肺管理区分二以上(じん肺法改正前については管理区分一の二以上)の決定者数をじん肺法施行の年から各年毎に明らかにされたい。
三 昭和電工大町工場において、昭和五十四年五月十五日、三百六十七名もがじん肺管理区分二以上に一時に決定されているが、これらの者は、それ以前のじん肺健康診断では、どのような診断を受けていたか明らかにされたい。
四 昭和電工塩尻工場において、昭和五十五年二月二十三日までの一年間にじん肺管理区分二以上の決定を受けた百人余について、決定された管理区分別の人数、決定日、右決定に至るまでに受診したじん肺健康診断の日時、回数、その際の所見、診断内容、右決定以前に管理区分が決定されなかつた理由をそれぞれ明らかにされたい。
五 昭和電工秩父工場において、昭和五十一年のじん肺定期健康診断で昭和四十五年と昭和四十八年のじん肺定期健康診断の五・七倍にも上る五十七名の有所見者が出て、全員管理区分一の二以上に決定されているが、このように大量の有所見者が突然発見され、管理区分の決定を受けた理由を明らかにされたい。
六 昭和電工秩父工場で、昭和五十三年八十六名もの大量のじん肺法第十五条による随時申請がなされ、同年十月三十一日に旧法による管理区分が、同年十一月三十日には新法による管理区分が、それぞれ決定されているが、各管理区分別の決定人数、これらの者についてのその直前のじん肺定期健康診断における診断内容及びその際有所見者とされなかつた理由を明らかにされたい。
七 昭和電工秩父工場におけるクロム作業従事者につき昭和五十年十二月十七日、昭和五十一年二月六日、同年六月二十四日、同年七月十六日、同月二十八日、同月三十日、同年十月十五日に労働者災害補償保険法による第一二級の一二及び第一四級の九の障害等級認定がされているが、その認定された障害の内容及び人数を各級別に明らかにされたい。
八 右の昭和五十年十二月十七日の第一四級の認定者のうち、五名につき労災保険審査官は、昭和五十年六月十八日、審査請求を認容して原処分を取り消し、第一二級に決定しているが、原処分の基礎となつた昭和電工側の診断結果を採用せずこれを取り消した理由を明らかにされたい。
九 昭和電工秩父工場のクロム作業従事者(退職者を含む。)中に発見された鼻中隔せん孔者の数を明らかにされたい。
十 昭和電工秩父工場のクロム作業従事者(退職者を含む。)の中で肺がん等のがんに罹患し、若しくはこのために死亡して労災認定を受けている者について、その数を最初の認定の年以来本年まで各年別に明らかにされたい。

 右質問する。





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