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昭和五十九年十二月一日提出
質問第三号

 宍道湖・中海淡水化に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十九年十二月一日

提出者  吉原米治

          衆議院議長 (注)永健司 殿




宍道湖・中海淡水化に関する質問主意書


 農林水産省は、昭和五十九年三月宍道湖・中海淡水湖化に伴う水管理及び生態変化に関する研究委員会(以下「南委員会」と略す。)の「宍道湖・中海淡水湖化に関連する水理水質及び生態の挙動について」(以下「中間報告」と略す。)を公表し、全面淡水化の事業を進めているが、この中間報告について、以下質問する。

一 中間報告と同時に配布されたパンフレットによると必要な農業用水は一億トンとなつていたが、昭和五十九年十一月六日の参議院決算委員会で当初計画の八千万トンが正確であると訂正されている。
  必要な農業用水量(八千万トン)の算定は干拓、淡水化事業の根幹をなすものであるので、この算定基準及び算定方法を具体的に明らかにされたい。
二 中間報告公表後、中間報告の作成者の一人でもある伊達善夫島根大学教授からもアオコの大量発生が指摘されるほか、日本陸水学会の有力会員からもアオコの大量発生についての危惧が表明されている。
  昭和五十九年十月十九日の参議院決算委員会において目黒議員の質問に答えて農林水産省は南委員会を再度開催して、検討したいとしていたが、いつ頃同委員会を開催して検討する予定であるのか、明らかにされたい。
三 中間報告二五頁の一〜二行目に「大橋川からの塩分供給がなくなることから、宍道湖全体の塩分濃度差は低下し、現況においてみられる上下層の塩分濃度差は消失し、一様化される。」とあるが、霞ヶ浦や諏訪湖の例からも温度成層形成は十分予想される。
  とりわけ、島根大学陸水研究会主催のシンポジュームでもアオコの大発生が予想されているが、アオコが大発生し、成層が形成された場合には、底生動物や魚類の異常へい死が起こると考えるが、どういう見解であるのか、明らかにされたい。
四 中間報告二〇五頁では「以上の計算結果より中浦水門から流出する全リン(T ― P)の量の内、海水による搬出量は全体の内四九%(一一〇・一四/二二三・七〇)であるが、海水のみによるT ― Pの収支による搬出量は一七・七二t/八ヵ月(一一〇・一四 ― 九二・四二)であり、河川水による搬出量一一三・五六t/八ヵ月と比べてかなり少く、その約一六%である。従つて、中浦水門から流出するT ― Pの大部分が河川水により持ちだされているものと考えられる。」とあるが、境水道逆流量(七七m/s)を使つたこの計算式ではT ― Pの収支を正確に計算できないのではないか。
  正しくは、中浦水門での海水逆流量を使つて計算すべきだと思うが、どうか。
  なお、そうすれば海水によるT ― Pの収支による搬出量は六四・三t/八ヵ月となり、河川水による搬出量一一三・五六t/八ヵ月の五七%となり、中間報告の計算の一・七六倍となる。この結果から海水の影響は大きいと考えるが、どうか。
五 中間報告一〇七頁の平均的海水逆流量の算定式において、中海から宍道湖へ流出する海水の濃度は中海中央平均塩素イオン濃度(C2m)を使用し、中海から外海に出る海水濃度は中海中央上層平均塩素イオン濃度(C20)を使用している。なぜ、どちらもC2mを使用しないのか。
  なお、C2mを使つて計算し直すと、境水道逆流量はC20を使つた七六・七m/sの一・七六倍の一三五m/sとなり、海水によるチッソ・リン(N・P)の持ち出し量は大きく違つてくるが、この点どうか。
六 中間報告二二七頁において「これより大橋川から中海への流入流量は平均的に二一〇m/sとなり、通常の平均流入量が約七〇m/s前後であることを考えると、ここに示した解析は小洪水時のものであることが判る。しかし、低流入量時においても図 ― 3、1、二四六で示された中海全体の流れパターンや定性的な流況は維持されるものと推定される。」とあるが、このような小洪水時を想定したのでは、問題があるのではないか。
  宍道湖流入量(Q10)で三・七倍、中海流入量(Q20)で二・三倍も多くなる。シミュレーションをやり直すべきだと考えるが、どうか。
七 中間報告三三七頁のシミュレーションケースN0.3では、「本来の淡水化の過程では、このような操作が行われるものと考えられる。」として、除塩ポンプは毎秒一五mの除塩を行うとあるが、既設の除塩ポンプの能力は七m/sであり、現状では除塩ポンプは効力を発揮しないと理解してよいのか。
  更に、淡水化の過程ではもう一台ポンプを増設する予定があるのかどうか。
  あるとすれば、その時期はいつ頃か、明らかにされたい。

 右質問する。





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