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昭和六十年二月十二日提出
質問第一四号

 アフリカの飢餓に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十年二月十二日

提出者  田中美智子

          衆議院議長 坂田道太 殿




アフリカの飢餓に関する質問主意書


 アフリカ大陸は、今世紀最悪といわれる飢餓に見舞われている。アフリカの食糧不足国は、大陸の過半数に達し、飢餓人口は、全人口の約三分の一、一億五千万人に達し、二千万人が死線をさまよつている。事態は悪化しており先行きの不安も深まつている。アフリカの飢餓救済は、国際的な緊急課題である。
 一方で、核軍拡のために巨額の軍事費が投入されているとき、このような深刻な状態が続いていることは、絶対に放置できないものであり、以下、政府の見解を求める。

一 アフリカの飢餓は、深刻な事態が今後更に悪化するといわれている。今緊急に強めなければならないことは、一刻も猶予できない事態となつている飢餓域域への救援である。飢餓の救済に当たつて先進国の果たす役割りは極めて重大である。しかし、日本政府の飢餓地域への援助はやつと始つたにすぎない。
  政府は、飢餓救済のための援助予算を大幅に増額すべきであると考えるが、その考えはあるか。
二 世界銀行は、本年二月一日「サハラ以南のアフリカ基金拠出国会議」を開き、「アフリカの現状は、先進国が共同で対処しなければ解決できない」とアフリカ経済を援助するための特別基金の創設を決めた。これに対し、日本は米国が拠出拒否をしたのに続き、特別基金に拠出をしないとの態度をとつたと伝えられるが、その理由はなぜか。
三 一九八〇年代に入つて政府は、アメリカの世界戦略を全面的に補完する「世界の平和と安全の維持のため」の援助を強化してきた。
  しかし、今本当に援助を必要としている国々は、三十六力国の最貧国の中でも、国連が緊急援助を訴えているアフリカ十五力国を中心とする飢餓に見舞われた国々である。
  ところが、これらの国々に対する政府援助は、住民一人当たりでみると一九八二年〇・八三ドルから一九八三年〇・六四ドルに減つてきている。これを早急に是正し、本当に困つている国に対する援助の比率を高めるべきと考えるがどうか。
四 昨年六月、安倍外相も出席して開かれたアフリカ大使会議では、「従来、東寄りとされてきた国の中にも、経済困難克服のため西側寄りの姿勢をとり始めている国が散見されるところ、かかる動きを助長すべきである。また東寄りの国であつてもミニマムな援助は行う等関係はつないでいくべきである」旨の意見が出された。
  本来飢餓救済は、人道的見地から行われるべきではないか。政府は、飢餓救済を選別して西側寄りの国は優遇し、それ以外の国々は差別すべきだと考えているのか。
  それとも、西側寄りかどうとかで差別することなく援助すべきであると考えているのか。
五 現在アフリカ諸国は、膨張の一途をたどつている対外債務によつて経済的に破局状況に追い込まれている。この対外債務を軽減することが、まず求められるが政府としては、この問題にどのように取り組む考えか。
六 政府は、アフリカの危機を「単に突発的な自然現象にのみ起因するものではなく、各種の構造的要因に根ざしてもおり、根本的には深く絡み合つた構造的要因にまでメスを入れて取組むことが必要である」との認識を示しているが、構造的要因とは具体的にはどのようなことか。
  また、どのような取組みを現在考えているのか具体的に示されたい。
七 アフリカの農業において農業関連多国籍企業が生産から流通にわたる強力な支配を行い利潤追求をほしいままにしている。それがアフリカの食糧生産の構造をゆがめ、飢餓を更に深刻にしていると考える。
  そのためこれら農業関連多国籍企業に国際的な規制を加えることが必要であると考えるが、国連などの場で政府が規制強化のための実効ある措置をとる意思があるかどうか明らかにされたい。
八 アフリカの飢餓の根本的解決のためには、アフリカ諸国の経済的自立が不可欠であるにもかかわらず、政府は新国際経済秩序に関する一九七四年の国連決議に棄権してきた。今後、政府はこの態度を改め、新国際経済秩序樹立のため積極的な役割りを果たしていくべきではないか。
九 昨年十二月七日、安倍外相は、日本共産党・革新共同議員団が、アフリカ飢餓についての申入れを行つた際、「国際的には、軍縮をしてアフリカへの援助をの雰囲気は生まれるだろう。米・ソで軍縮をやつてもらわねばならない」と述べたが、国際的に軍縮を呼びかけて飢餓援助を増やすよう働きかける考えはないか。
十 政府は、昭和六十年度予算案で三兆千億円余にのぼる軍事費を計上している。このような莫大な軍事費を削つてアフリカの飢餓援助にまわす考えはないか。
十一 昨年の穀物生産量は、史上最高といわれるのにもかかわらず、アフリカ諸国の飢餓が更に深刻化するという事態になつている。このような事態の下で食糧生産能力のある先進国は食糧自給率を高めることが要求されている。
  主要先進国においては、一九七〇年から一九八〇年の間にアメリカ一八%、イギリス一一%、フランス二一%、西ドイツ九%と食糧自給率を増加させているのに対し、我が国のそれは逆に六%の減となつている。
  更に政府は、米の減反政策を続けており、我が国の食糧自給率は低下の一途をたどつている。
  このような状態を改め主要な農畜産物の自給率の回復を図り、大量かつ無原則的な農水産物の輸入をおさえ、世界的な規模での資源の公平な活用を図ることこそ我が国のなすべきアフリカ飢餓援助の重要な課題と考えるが政府の見解はどうか。

 右質問する。





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