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昭和六十年六月二十五日提出
質問第四二号

 彦根地方気象台、伊吹山測候所に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十年六月二十五日

提出者  瀬崎博義

          衆議院議長 坂田道太 殿




彦根地方気象台、伊吹山測候所に関する質問主意書


 気象業務は、防災上の重要性はもちろんのこと、国民の日常生活に密接なかかわりをもつている。特に、地域的な気象状況に対する的確な予報を求める社会的要請は一段と強まつている。今日の気象業務は、気象衛星の活用や数値予報の進歩により広域的な観測、予報は前進しつつあるが、地域的特性を踏まえたきめ細かい予報を求める住民の期待に十分こたえうるものとはなつていない。従つて、気象業務の中枢的な部門の技術、設備、体制の一層の向上をはかることとあわせて、地方気象台、測候所など、地域に密着した気象官署の強化、充実が極めて重要である。
 私は、五月二十五日、彦根地方気象台及び伊吹山測候所を訪ね、気象業務の現状や施設、装置をつぶさに視察するとともに、気象業務の第一線をになう職員から生々しい報告を聴取した。地域に密着した気象業務の強化、充実の緊急性、重要性と、私自身の実情調査の結果に基づき、次の事項について質問する。

一 地域的予報について
 1 近年、数値予報は大きく発展し、予報業務のなかで重要な位置を占めているが、より緻密な、精度の高い地域予報を出すためには、数値予報を基礎としつつ、なお、その地域の地形や地勢が気象に及ぼす影響について調査、研究を深め、それを十分踏まえた予報官の技術と経験に基づく判断が極めて重要な要素となつているのではないか。
 2 滋賀県は、周囲を山に囲まれ、その中に全面積の六分の一を占める琵琶湖が広がつている。しかも、若狭湾方面からの北西気流、大阪湾方面からの南西気流、伊勢湾方面からの南東気流の三叉路となつている。こうした状況が滋賀県の気象条件を複雑なものとしている。
   従つて、的確な予報を出すためには、このような地域特性を十分踏まえることがとりわけ重要と考えるが、どうか。
二 彦根地方気象台について
 1 彦根地方気象台には、気象衛星「ひまわり」からの雲画像受画装置がなく、大阪管区気象台から一日二枚の輝度分布図、気象衛星センターから一日四枚の雲解析図が送られている。このため、ファックス送信されたこれらの図面を色鉛筆で仕上げるなどの作業を要し、予報官はテレビ放映される雲画像を見ながら予測をたてるという状況さえ生まれている。また、百キロメートルエリア内の局地的に発生する小さな雲を観測するために必要なミニレーダーも設置されていない。
   より正確に、より早い予報を行うために、彦根地方気象台にも雲画像受画装置、ミニレーダーを設置する必要があると考えるが、どうか。
2 現在彦根地方気象台には三十一名の職員がいるが、その内、予報官は四名、技術専門官が四名で、予報業務と天気相談には四名が当番でたずさわつている。県民の気象情報に対する
  問い合わせは年々ふえており、現在の体制では十分これにこたえられないばかりか、本来の業務にも支障をきたしかねない状況である。
  従つて、彦根地方気象台にも独立した天気相談所を設ける必要があるのではないか。
3 彦根地方気象台は、県内全域一本の予報を出しているが、複雑な気象条件のもとで、地域によつて相当異なる気象状況を呈している。これがまた、県民のみならず、全国民の社会生活にも重大な影響を及ぼしている。
  例えば、冬期、米原以南がカラカラの好天気の時でも、米原以北は長期の降雪で数メートルの豪雪となつていることもしばしばあり、こうした地域的な気象の特異性が、東海道新幹線や名神高速自動車国道、国道八号線、二十四号線などの幹線交通の重大な事故や渋滞その他の交通混乱をもたらしている。また、県南部の丘陵地帯には、湖畔の彦根よりも最低気温が十度以上も低いこともあり、晩霜による茶畑の被害がくり返し発生している。
  こうした地域ごとの予報の必要性にこたえ、国民生活、県民生活に対応したきめ細かい予報を行うためには、県内の気象特性の調査、研究の積み重ねが極めて重要である。しかし現在では、こうした調査、研究は、観測、予報業務等の片手間に行われる職員の自主的努力にゆだねられているのが現状である。
  従つて、県内の気象特性の調査、研究に専任であたれる体制を整備する必要があるのではないか。
4 琵琶湖上は、地域気象観測システム「アメダス」の十七キロメートルメッシュにかからないことから、地域気象観測の空白部分となつている。
  琵琶湖は、広大な平面としてのみならず、広大な水面として県内の気象に少なからぬ影響を与えている。また、湖上の風の実況は彦根とは相当異なるものがある。現在、湖岸数ヶ所のデータをもとに、湖上予報を出しているが、京都大学の試験観測データとも異なつており、湖上の気象を的確に予報することは困難である。
  近年、ウィンドサーフィンなど湖上のレジャーは多様化しており、その水難事故もあとを断たない。よつて、琵琶湖上に気象観測施設を設ける必要があるのではないか。
三 伊吹山測候所について
 1 伊吹山測候所は、富士山、剣山とならび、全国三番目に高い山頂測候所である。同地域は、交通の要所であり、かつ有数の積雪地帯である関ヶ原をひかえ、また、本州の最狭部にかかり、日本海からの北西流や太平洋からの南東流が日本列島を吹きぬける通路にあたつている。
   このような重要な地点において、上空の気象を常時観測し、低地より早く、リアルタイムでデータを収集できる伊吹山測候所の役割は極めて大きいものがある。
   よつて、伊吹山測候所の観測体制は、今後ともさらに充実していく必要があるのではないか。
 2 伊吹山測候所の現庁舎は、一九七九年に建てかえられたものであるが、最大風速五十メートル、最低気温マイナス十六度、一メートルを越える積雪という厳しい条件のもとで、一部に雨水の浸透もみられる。厳しい気象条件に耐えられない欠陥建物の疑いもあり、早急に欠陥個所の点検と原因の究明を行い、適切な対策を講ずる必要があるのではないか。
 3 伊吹山測候所は、一週間交替で常時二人の職員が勤務し、五回の定時観測その他の困難な業務を行つている。特に冬期間は、強い風雪の中で、屋上の風速計等の凍結防止のために、着氷をゴムハンマーでたたき落す危険な作業を余儀なくされている。
   このため、着氷の防止対策、作業の安全対策、待遇の改善等の措置を講ずる必要があると考えるが、どうか。
 右の質問につき、各項目毎に具体的な答弁を求めるものである。

 右質問する。





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