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平成元年一月二十五日提出
質問第一号

 三宅島の観測気球打上げ等NLP基地化方針に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  平成元年一月二十五日

提出者  岡崎万寿秀

          衆議院議長 原 健三郎 殿




三宅島の観測気球打上げ等NLP基地化方針に関する質問主意書


 政府が米空母ミッドウェー艦載機の夜間離着陸訓練基地化を進めようとしている三宅島では、一昨夏の気象観測柱建設強行以来基地化反対がさらに強まり、昨年十一月の村長選挙では基地推進勢力が立候補者さえ立てられない状況になっている。にもかかわらず、防衛施設庁は十二月十四日から二十七日にかけて高層気象観測用気球の打上げを強行しようとした。この打上げそのものは、寺沢晴男村長、浅沼忠博村議会議長、桑原秀雄「官民共用空港の建設に反対する会」会長をはじめとした村、議会、住民こぞっての強い抗議によって中止を余儀なくされた。しかし、政府・防衛施設庁が本年以降の気球打上げを断念しないため、島民は緊張の連続で、生活がおびやかされている。政府・防衛施設庁はすでに五年に及ぶ三宅島民の圧倒的な反対世論を真剣に受け止め、観測気球の打上げはもとよりNLP基地化につながる一切の行為を完全に断念すべきである。
 よって以下質問する。

一 高層観測気球の打上げについて
 1 先の村長選挙で政府が期待する推進勢力は立候補さえできなかった。これはNLP基地化反対の島民の意思が圧倒的であるためである。政府は島民の反対の意思が極めて強固であり長期に持続しているという事実を認め、これを尊重することが必要だと思うがどうか。
   また、絶対反対の村長が無投票で選ばれたことは決定的な重みを持つ。憲法の地方自治の原則に照らせば、政府はこの事実を尊重する義務があると思うがどうか。
 2 観測気球の打上げについては、地上における気象観測データとは違って、航空法に基づいて飛行場が建設される場合の必要条件とはなっていないと承知している。防衛施設庁が強行しようとしている高層観測気球の打上げは航空法の、どの条項によるものか、具体的に示されたい。
 3 防衛施設庁は、こうした高層観測気球の打上げは他にもあることなどといって三宅島での気球打上げを合理化しようとしているが、気球打上げの他の事例はまさに特殊事情のためのものである。例えば神津島の場合は、計画されている滑走路の端が断崖となっており海面まで一三八メートルという高さにある。この地形から生じる気流と天上山から吹き下ろす風によって乱気流の発生が懸念され、このため一、〇〇〇メートルの高さまでの気流状況を調査するために東京都が独自に気球を打ち上げたのである。南紀白浜の場合も同様である。三宅島ではこうしたことは地形的にも必要ない。従って現在使用している飛行場建設の際でも気球打上げによる気象観測はなかったのである。どうしても気球打上げが必要だという真の理由は何なのか、明らかにされたい。
 4 三宅島で東京防衛施設局職員から説明を受けたところでは、高層気象観測は米軍機の夜間離着陸訓練のために必要だということだが、これは間違いか。
   また米軍から上層における気象観測が求められた事実はないのか。米軍のNLP訓練場設置に関する規定のなかでこの高層気象観測は必要だとされているのかどうか。
 5 今回、防衛施設庁が村長や島民の抗議を受け入れ、島民の暮らしにかかわる年末の多忙なかきいれ時に、かつ寒気のなかでの座り込みによる犠牲がでるようなことを避けたことは当然であった。いかなる場合であれ、政府が島民の暮らしと健康にかかわる犠牲を与えることがあってはならないと考えるがどうか。
 6 高層気象観測気球の打上げ計画は、年何回で、予算額はいくらか。また一九八九年度予算案では何回分、いくらを要求することになっているのか。
 7 航空法による通報義務が課されている気球打上げについて、運輸省に次はいつごろ通報する予定なのか。
二 硫黄島のNLP暫定使用問題について
 1 米側から駐機場、エプロン、隊舎、貯油タンクを日本の費用負担で建設するよう要求されていると伝えられたが、要求はこれだけなのか。米軍の要求に応えるためには二〇〇億円程度必要だとも伝えられるが、そう考えてよいか。
   また、一月十八日の防衛施設庁と在日米軍司令部との合意の実施にかかわる八九、九〇年度の予算額及び整備事業について説明されたい。
   隊舎、駐機場、エプロン等は九一年度以降に整備していくことになるのか。それに要する予算は一〇〇億円とも一二〇億円ともいわれるが、そうなのか。
 2 前述の施設提供はどういう形の提供となるのか。またどの機関で決定するのか。
 3 ジェット燃料の日本側負担の要求があると報道されているが、燃料の日本負担は米軍地位協定上できないことは明確だが、確認されたい。
   また、地位協定を改定して燃料の日本負担を実施するようなことは一切ないということも、あわせて確認されたい。
 4 周知のごとく、硫黄島はいまだ一万三千体の遺骨がそのままになっており、また旧島民が帰島要求を強く求めている島である。にもかかわらず政府はその硫黄島を自衛隊と米軍の軍事要塞化してきた。小笠原住民や旧島民が怒るのも当然ではないか。小笠原村の安藤村長や村議会が抗議している事実を政府はどう考えているのか。
 5 旧島民、小笠原住民のNLP基地化反対の意思を尊重して、NLP暫定使用をやめるべきと思うがどうか。
三 一九八九年度の三宅島NLP訓練場建設関連の予算について
 1 総額とその内訳(事業の詳細な内訳とその金額)
 2 八八年度NLP関連予算の残高はいくらか。今後に残されている事項にはどういうものがあるのか。
四 NLP問題は生活権、環境権という国民の基本的権利をおびやかすものでしかないことは厚木を見れば明らかである。従ってNLP騒音を拡散するようなことでは解決どころか事態をさらに重大化するだけである。解決の道は唯一つ米空母ミッドウェーの横須賀母港化を返上することである。このことを真剣に検討すべきであると思うがどうか。

 右質問する。





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