質問本文情報
平成元年一月二十六日提出質問第二号
救急医療体制と救急医学教育に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
平成元年一月二十六日
提出者 草川昭三
衆議院議長 原 健三郎 殿
救急医療体制と救急医学教育に関する質問主意書
厚生省は本年から、救急車に医師が乗り現場に駆けつけるシステム、ヘリコプターを利用した患者搬送、さらに重傷患者にも直ちに対応でき、臓器移植の普及をにらんだ「スーパー救命救急センター」の設置など、二十一世紀に向けて新たな救急体制づくりを十年計画で整備する方針といわれる。これは現在の救急医療を「量から質へ転換する」というべきものであるが、その考え方について次の質問をする。
二 昭和六十三年四月二十日の衆議院決算委員会で、私は救急医学教育に関する質問を行っているが、その中で政府は、東京大学医学部に救急医学講座がない点について「大学側の要求を待って検討することといたしたい」と答えている。しかし医学部及び大学附属病院の体質からして、大学側からの要望提出を待つという姿勢は現実的ではないといわざるを得ない。救急医療の質が問題にされ、救急医の養成が叫ばれている今日、大学側の要望を待つというような姿勢ではなく、とりあえず、我が国の医学教育をリードしている立場にある東京大学医学部に、救急医学講座を設けることが必要と考える。政府はまず東京大学医学部に救急医学講座を設けるよう指導すべきだと思うがどうか。
三 昭和六十二年五月十二日、私は、救急医療体制について質問主意書(質問第三六号)を提出し、その中で標榜科目としての「救急診療科」の設置について質した。それに対し政府は、「診療科名等の表示に関する検討会を設け、現在、診療科名の認定に関する基本的考え方等について検討が行われているところであり、その結果を待つて検討いたしたい」と答弁(内閣衆質一〇八第三六号)している。その後、検討会の検討の結果、昭和六十三年においても「救急診療科」の設置は見送られた。救急医療体制の質が問題とされ、その解決手段のひとつとして救急医学講座の設置があると思われるが、それは同時に「救急診療科」設置が求められることである。「救急診療科」の表示に関する今後の方針はどうか明らかにされたい。
四 救急医学講座の設置とあいまって、国立大学病院が現在行っている救急診療の活性化あるいは救急医学の教育と研究にのみならず、結果的には救急医の養成をもサポートすることになる「救急診療科」を、標榜科目としての「救急診療科」とは別に国立大学病院に設けるべきと思うが、政府の見解はどうか。
右質問する。