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平成元年六月二十一日提出
質問第三四号

 振動障害者の「適正給付管理対策」と社会復帰対策事業等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  平成元年六月二十一日

提出者  野間友一

          衆議院議長 田村 元 殿




振動障害者の「適正給付管理対策」と社会復帰対策事業等に関する質問主意書


 チェーンソー等の使用による振動障害は、いまなお多くの患者を苦しめている。昨年三月末現在の和歌山労働基準局管内の振動障害者労災補償認定者数は千三百人を越している。和歌山県での振動障害者はその多くが民有林労働者でしめられ、そのことが疾病の発見を遅らせ、治療の長引く要因ともなってきた。政府は近年、「適正給付管理対策」の名で、振動障害補償者の打切りをすすめており、そのために必要な治療が受けられずに症状が進行したり、二次災害にあうといった状況が生じている。補償打切りの際、主治医の判断が軽視される傾向にあり、このことが長年治療を担当してきた医師と患者との信頼関係を傷つける結果ともなっている。こうした事態は極めて重大といわざるをえない。
 また、治療の結果軽快し、社会復帰者も生まれているとはいえ、振動障害者の多く住む過疎地域にあって再就職は極めて困難な状況にあり、社会復帰対策の強化が切実にもとめられている。
 そこで、次のとおり質問する。

一 「局医協議会」方式による補償打切りについて
  政府は「適正給付管理対策」をすすめるにあたって適正給付管理対象者のうちから調査対象者を選び、疑義のある患者について、「地方労災医員協議会」(局医協議会)にはかって補償の打切りを決めながら、「局医協議会」の構成、判断結果を振動障害者に知らせていない。こうしたやり方は多くの関係者の強い不信を買っている。
  本来、労災補償にあたっては、担当医師の判断が重く採用されるのが当然である。政府も、我が党児玉健次委員の質問にたいし、「今後、症状固定の判定をする際に当たりましては、主治医の所見その他につきまして資料提出を求め、これを尊重してまいる方針でございます。」(昭和六十三年五月十日衆議院社会労働委員会労働省労働基準局長答弁)と答えている。この方針は、今後とも堅持すべき原則と考えるがどうか。
  また、少なくとも担当医師が治療の継続を必要と認める振動障害者については、医師、本人にたいして「局医協議会」の判断結果、理由を通知するべきであると考えるがどうか。
二 「アフターケアー」事業について
  補償を打ち切られた振動障害者にも治療の必要があることは、「アフターケアー」事業を実施していることから政府も認めているところである。しかし、現行の「アフターケアー」事業は、振動障害者にとってその効果が顕著な「物理療法」が認められていなかったり、通院回数に制限があるなど、治療の効果をあげながらも、実態にそぐわない点の多いことが振動障害者から指摘されている。
  振動障害が長期にわたる治療行為を必要とする特性等を考慮し、「アフターケアー」事業の拡充をはかる必要があると考えるがどうか。
三 振動障害者の社会復帰対策等について
  林業振動障害者の社会復帰対策として「援護制度」等が実施されているが、その成果は、和歌山労働基準局管内では昭和六十一年度三件といった低い利用に終わっている。振動障害者の多く住む山間過疎地にあっては、健常者であってもあらたな就職は難しく、振動障害者が再就職、社会復帰することはさらに困難である。
  労働省は昨年、「振動障害をめぐる問題点を踏まえまして、省内に労働基準局担当審議官を長とします横断的なプロジェクトチームを設けまして、林業の振動障害に係る予防から補償、社会復帰に至るまでの総合的な対策の検討に着手をいたしまして、極めて早い時期に結論を出すよう最大限の努力をいたす所存であります。」(前出社会労働委員会、中村太郎労働大臣答弁)と答えている。
  プロジェクトチームの構成、検討した内容と結論及びその具対策について詳細に明らかにされたい。
  さらに、林業労働者以外の建設振動障害者の社会復帰対策等についても検討すべきと考えるがどうか。

 右質問する。





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