質問本文情報
平成元年六月二十二日提出質問第三五号
消費者の安全と適正な商品選択を確保するための厚生行政施策に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
平成元年六月二十二日
提出者 上坂 昇
衆議院議長 田村 元 殿
消費者の安全と適正な商品選択を確保するための厚生行政施策に関する質問主意書
医薬品並びに食品から消費者の安全と商品の適正な選択を確保するための対策は、緊急を要すると考える。従って、次の事項について質問する。
1 消費者保護会議が示した消費者の安全及び表示の重要性について
昭和六三年一一月一日に開催された第二一回消費者保護会議は、首題の点について、「消費者の安全の徹底」「適正な消費者選択の確保」「消費者取引の適正化」「消費者支援の強化」を四つの柱として施策の推進を図るとその意見を取りまとめている。
消費者の安全と適正な消費者の商品選択を確保していくことは、昭和四三年に消費者保護基本法が制定され第一回消費者保護会議が開催されて以降、二〇年間に亘り厚生大臣を含む関係閣僚の統一意見として、毎年変更されることなく「消費者保護施策の柱」として継続されている。現行の厚生行政において、消費者保護会議の消費者保護の重点方針は、行政上の優先項目として省内各セクションにおいて受け入れられるよう、厚生大臣はどのような措置を執られているかお伺いする。
2 食品衛生調査会の「今後の食品保健施策のあり方について」の答申について
昭和六三年一〇月二〇日(食調第一七号)食品衛生調査会の答申「今後の食品保健施策のあり方について」は、次のとおり述べている。
即ち、食品の安全性を確保し、国民の健康づくりに資するには、@科学技術に立脚した施策の推進A消費者のニーズの重視B国際的な連携の推進C民間活力の活用を基本方針として、食品保健に係る諸制度の総点検、国、地方公共団体、営業者及び消費者の役割の明確化を図るとともに、食品の安全性確保は、食品保健行政の基盤であることから、食品等に係る既存の基準、規範等について体系的な整合性を図るとともに、今後重要性が増すと考えられるバイオテクノロジー等高度技術を応用した食品等新たなニーズに対応した制度の整備を図る必要があるとしている。
厚生大臣は、食品衛生調査会の意見具申内容を実現させるために、具体的にいかなる対処を講じられているか伺いたい。
二 厚生行政の安全表示、危害情報公開について
1 回収指示が決定した医薬品・健康食品の情報公開の義務づけ(リコール制度)について
市販の自動車の部品及び構造上の欠陥が判明し、回収を行う場合には、メーカーは運輸省に回収理由、欠陥の内容を届け出ることが義務づけられ、運輸省は届け出された回収理由、欠陥の内容を公開することを義務づけた「リコール制度」が確立されている。(昭和二六年九月一八日運輸省令第八五号・自動車型式規則)
医薬品等の薬害は、直ちに人間の身体、生命に危害を及ぼすことは論をまたない事実である。このため、厚生省は、薬事法の運用及び医薬品モニター制度の活性化方策、健康食品対策についての研究等に重点を置き、薬害から人間の身体、生命を守る努力を実施されていることを承知している。
しかしながらマスコミ報道をみても、医薬品及びにせ薬(主に健康食品)の回収は少なからず行われている実情である。しかるに、回収報道のスペースは平均して小さい。これは医薬品等の回収情報についての公開の制度がなく、告知広告等の義務づけ、スペースの指定などが行政当局並びに製造事業者に義務づけられていないためであると考える。
厚生省は、医薬品の回収を製造メーカーに指示した場合、その回収指示の理由を前記自動車の部品及び構造上の欠陥に基づく回収措置と同様の「リコール制度」を実現することによって、正しい情報を国民に公開し、購入ずみ医薬品等による薬害を広く告知することによって、消費者を危害から防止する措置を講ずべきであると考える。
厚生大臣は、「医薬品の回収(リコール)情報告知制度」をどのように考えているかお伺いする。、
2 弁当及び惣菜の衛生規範(環食第一六一号通知)適用について
カット野菜やカット果実の流通について、
@ 果実、野菜は切り刻まれることにより組織がこわれ、養分が流出し、鮮度の低下、栄養素の減少を生じることは、神戸市(カットフルーツ)、東京都(カット野菜)の衛生局試買テストの結果明白である。
A 養分の流出面に細菌の付着、増殖が起こり易く、神戸市のカットフルーツ、東京都のカット野菜の試買品のすべてから細菌が検出されている。(六三年二月)
B プラスチック容器入りのカットフルーツ、カット野菜は生果実、生野菜の扱いなので、表示は一切行われていない。対象品はデパート、スーパーの惣菜売場、野菜売場で増加の傾向にある。(東京都)
C 神戸市は六三年二月よりカットフルーツについては、くらしを守る生活条例にカット日時の表示を義務づける規定を設け実施した。(神戸市報)東京都は検討中である。
との状況にある。
現在、厚生省は、「弁当及び惣菜の衛生規範」(厚生省環食第一六一号通知)で惣菜類の営業許可対象品を定め実施しているが、首題の商品は食品衛生法の対象外にあり、従って細菌数の基準等も定められていないことは東京都事例の都知事回答に明示されているとおりである。しかしながら、この案件は単に東京都、神戸市だけ対策が進めば解決する問題ではなく、全国一律の規制措置が必要と考える。
カットして容器に入れて販売する野菜及びフルーツは、食品衛生調査会答申の示す通達内容の充実に該当すると考えるので、「弁当及び惣菜の衛生規範・厚生省環食第一六一号通知」に「サラダ用素材食品」として追加指定すべきものと考える。厚生大臣の見解を示されたい。
否とする場合は、その根拠を科学的知見と資料を明らかにして回答されたい。
右質問する。