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答弁本文情報

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昭和二十四年五月二十一日
答弁第二三号
(質問の 二三)

  内閣衆甲第四〇号
     昭和二十四年五月二十一日
内閣総理大臣 吉田 茂

         衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿

衆議院議員河口陽一君提出農地買收に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員河口陽一君提出農地買收に関する質問に対する答弁書



一 質問の土地は三反七畝六歩である。該地をめぐつての紛爭は、耕作者永崎喜三一が耕作権ありと主張するのに対して地主岩(注)豊一は貸した覚えなく無断耕作であると主張している点にある。
  この点については、現耕作者永崎は昭和十九年に該地(当時は台帳地目畑、現況山林)を耕作のため借りたい旨郵便で地主岩(注)に申入れをした。(この点は両者とも爭がない。)
  右の申入に対して地主岩(注)は承諾しなかつたと主張し、耕作者永崎は「承諾の回答があつた。又小作料は、最初三年間は無償でその後の小作料は協議決定することとなつている。」と主張している。(この点については確認し得る資料がない。)

二 耕作者永崎は台帳が農地であり、農地として借りているのであるから、農地買收をなすべきであると主張しているが、農地委員会は「開墾して耕作されている土地は農地と認めるが、未開墾地は農地でない。又農地の部分についてみると、それは新開墾地で收穫量少く自作農創設の目的に供するため買收することは不相当である。即ち自作農創設特別措置法第五條第八号該当地として買收しない。」としている。

三 該地の耕作権の問題は一で述べた如く賃貸借契約の有無についての判定は困難である。そこで農地委員会及び縣小作主事が調停して、農地調査の際農地委員会が農地として認めた一反八畝について耕作者永崎に耕作権を認めて、將來耕作を認めることとして一應解決した。しかるに永崎はその後右以外の土地について開墾耕作を開始した。そこで地主岩(注)は浦和簡易裁判所に調停で耕作を認めた一反八畝を除く士地について本年四月十二日立入禁止の仮処分を申請し、同月十四日同裁判所で仮処分が決定されたものである。この決定に対して永崎は異議を申し立てていない。

四 縣農地委員会に訴願は提出されていない。但し縣農地課又は係官宛陳情書が提出されている。縣においては、三で述べた如く本問題については努力して來たのである。

五 右に述べた如くであつて、農地委員会が不当に地主を擁護しているものとは認められない。

六 賃貸借関係ある農地については、農地調整法第九條第三項によつて返還をうけるには知事の許可が必要であるが、本件の土地については賃貸借関係の存在が客観的に立証されない状態にあつたので、裁判所においては、立入禁止の仮処分を決定したものと思われる。

七 裁判所の仮処分に対して異議があれば本人から裁判所に対して異議申立ができる。

 右答弁する。




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