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答弁本文情報

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昭和二十四年十一月二十二日
答弁第二九号
(質問の 二九)

  内閣衆甲第八九号
     昭和二十四年十一月二十二日
内閣総理大臣 吉田 茂

         衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿

衆議院議員(注)田甚太(注)君提出脱税に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員(注)田甚太(注)君提出脱税に関する質問に対する答弁書



 昭和二十二年の税制改正により、所得税、法人税等直接国税については、概ね自主的申告納税制度に切り換えられたことは御承知の通りであるが、申告納税制度の成績は、遺憾ながら良好でなく、特に事業所得者において、はなはだ芳ばしからぬものがある。この点は、戰後における実質国民所得に比し租税負担が相当に重いこと、申告納税制度に対する納税者の理解が必ずしも充分でないこと、納税思想が一般的に低下していること等に起因するものと思われる。もとより国民所得額は必ずしも税法上の所得にならないものや、経費として控除すべきもの及び非課税所得、免税所得等を含んでいるので、これと課税上実際に捕捉された所得額との差額をもつて、直ちに脱税所得となすことはできないので、脱税額、脱税件数、一件当りの脱税額等数字をもつてお答えすることはできないが、戰後程度の差こそあれ所得の各階層にわたり、又各税種にわたり、終戰前に比し、租税負担を回避する者が相当増加したことは否めないと思う。
 租税のほ脱は、国家財政の運営に重大な惡影響を及ぼし、同時に日本経済の再建を阻害することになるので、昭和二十三年七月大蔵省及び財務局に国税査察官の制度を創設し、闇所得等の徹底的な捕捉、惡質脱税者の摘発を行うこととし、じ来鋭意脱税の摘発に努めて来たが、国税査察官の活動開始以来、本年九月までの不正摘発実績は人員において二、五三七人、増差税額において一三、一五八、三二三千円(一人当五、一八六千円)、外に追徴税及び加算税二、五八六、五四五千円、計一五、七四四、八六八千円(一人当六、二〇六千円)となつているのであるが、この国税査察官の活動が間接的に一般申告納税成績の向上に寄與した効果は相当に大きいものがあると信じられる。なお本年六月国税行政機構の改組を断行し、特に国税査察官の活動に呼応して、国税調査官の制度を設置し、大所得者、大法人の充分なる調査をなし、課税標準の実体の把握に努め、着々その成果を納めつつある次第である。

 右答弁する。




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