答弁本文情報
昭和二十四年十一月二十九日答弁第五一号
(質問の 五一)
内閣衆甲第一〇九号
昭和二十四年十一月二十九日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 ※(注)原喜重※(注) 殿
衆議院議員田代文久君提出石炭鉱害に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員田代文久君提出石炭鉱害に関する質問に対する答弁書
一 石炭の掘採に伴う鉱害は、一般に石炭鉱業を行うところに発生する問題であつて、鉱業権者が、鉱業法の規定により「賠償」の責に任ずべきものである。この一般鉱害の復旧に要する費用を政府で嚴密に調査し、その実体を計数的に把握することは困難である。又、鉱業権者としても、鉱業法の規定によれば金銭賠償を行うことが原則であつて、原状回復の義務を当然に負うことはないから、その復旧費を推算してはいないと認められる。
現在問題となつている復旧費は、特別鉱害、即ち国の要請に基いて発生した特定の鉱害に関するものにすぎないが、その復旧費の総額は、昭和二十三年九月の調査によれば、別表(一)の如く九十八億円と見込まれている。
福岡、佐賀、長崎、熊本、各県下における実情は別表(二)に示す通りである。
二 鉱害復旧は、必ずしも鉱業権者の行わなければならぬ義務ではなく、鉱業権者は、鉱業法第七十四條の八の規定により、原則として金銭賠償の責に任ずるものである。そして金銭賠償の額は、個々に折衝して定められるが、慣行としては、離耕料、減收料、迷惑料等の形式がある。
農地(かんがい及び排水の施設を含む。)、飲料水等については、鉱業権者がみずから原状回復又は代替施設をなしている事例があり、これらの費用は、鉱業権者の自力による負担である。以上が一般の場合であるが、従来特別鉱害復旧の名の下に実施して来た復旧方法については、原則として、原状回復の方法をとつており、当該復旧費については、土木、耕地、上水道等にして公共的施設関係のあるものについては、別表(三)及び(四)に示す通り、一定の比率において、国、地方公共団体及び鉱業権者が負担し、家屋、鉄道、墓地、その他については、全額鉱業権者が負担している。
従来の復旧の進捗状況については金額的に一割程度復旧している。鉱業法第七十四條の四の規定による供託金については、法施行細則第六十三條の二の規定によつて、石炭一噸につき五十銭以内と定められている。
三 戰時中国家の要請に基いて堀採したために生じた鉱害の復旧方法は配炭公団廃止後は、今回提出した法案によることとなる。本特別措置が行われないときには、鉱業法の規定によるよりほかなく、従つて被害者は、原則として、復旧を期待することが困難となろう。
配炭公団廃止までに行政措置によつて認可して来た復旧工事であつて、復旧工事進行中であるものについて必要な費用は、本法案成立の上本法案の規定により、旧公団が本年九月十六日に遡つて徴收する金額の範囲内で工事施行者に支拂うこととしたい。
右答弁する。



