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答弁本文情報

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昭和二十五年二月十四日受領
答弁第二七号
(質問の 二七)

  内閣衆質第一四号
     昭和二十五年二月十四日
内閣総理大臣 吉田 茂

         衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿

衆議院議員床次(注)二君提出義務教育における不学者補導に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員床次(注)二君提出義務教育における不学者補導に関する質問に対する答弁書



一 義務教育における
 1 不就学者数(昭和二十四年四月三十日現在 文部省指定結計第一三号)
   イ 学令簿に記載されている兒童、生徒数

不就学者数
備 考 (1)と(3)は理由のある者であるから、結局(2)の四八、三五七人が不就学者数である。
       このほか、学令にあつて就学すべきにかかわらず、浮浪兒などで学令簿にない者の数即ち未就学者数は相当数ある見込みである。


 2 不就学の理由

 学校教育法第二三條の規定にあるとおり、病弱、発育不完全、その他やむを得ない理由で市町村教育委員会(教育委員会の設置されないところでは当該市町村長)が都道府県教育委員会の認可をうけて、就学の猶予又は免除した者以外は居所不明、貧困、その他の理由によるものである。

 3 不就学者の動向

 学令簿に記載されているが、居所不明、貧困その他によつて就学していない者の動向は、近く具体的な調査を行う予定である。また、それ以外の学令簿にない未就学者は浮浪兒などになつている者が多いと思われる。
 また通学はしているが学業を怠る兒童生徒の動向についても、近く全国的に調査を行う予定であるが、東京都公立小学校、中学校の兒童生徒の例について、その動向を述べると次のとおりである。
   (昭和二十四年七月二十二日現在、東京都教育委員会調査)

不就学者の動向

 以上のような原因で、学業を怠つている兒童、生徒は、経済的理由によるものは、家事の手伝い、又は職場において働いているものが多く、学校嫌い、家庭の無理解等による欠席兒童生徒は不良化の傾向が多いものと認められる。

4 不就学者に対する措置
  次の項目に分けて措置をのべたい。

イ 不就学について
  学令簿を整備し、その取扱方について趣旨の徹底をはかりたい。
  文部省では二十五年度において、異常兒かん別基準を作成し、精神薄弱兒、欠陥兒等のかん別に遺憾なきを期したい。

ロ 未就学について(学令簿に記載されていない不就学者)
  すみやかに学校および関係各省庁並びに関係諸団体の協力を得て、これらの兒童、生徒の実態をを調査し、就学措置を講じたい。

ハ 学業を怠る兒童、生徒について
  イ、ロ、とともに特に経済的理由によるものについては、関係各省と連絡を密にし、生活保護法の徹底及び扶助費の中に含まれる教育費の適正なる充当等について遺憾のないよう措置したい。
  又学令兒童、生徒の就学に当つては、労働基準法の徹底をはかり、惡質なる大人の少年に関する犯罪等のとりしまりについて、関係各省庁の協力を求め対策を樹てたい。

ニ 又六・三制学校建物の整備が充分でないため、二部授業、仮教室授業、過剩学級等の授業に変則を来し、このため青少年教育に欠くるところのあるは遺憾であるので、昭和二十四年度六・三制学校建物整備費として四十五億を計上し、もつてこれらの授業時間の変則(二部授業、仮教室での授業)を解消したいと思つている。

  以上の対策とならんで、内閣に設けられている青少年問題対策協議会においても、本年度にひきつづき二十五年度においては、関係各省庁と協力して、徹底的な社会に対する啓蒙、学令兒童、生徒の救済について効果ある実行方法を研究することになつている。

二 專任生徒監をおくことを要すると思うが如何。

 学校には兒童、生徒の指導に当る主任教師があつて、就学及び出席の督励その他生徒の指導に当つているが更にこれら教員のみに限らず教員全員の活動とあいまつてその指導を徹底したい。
 また昭和二十五年度においては、全国的に行う中等学校研究集会にも生徒補導問題をとりあげ、研究並びに活動の徹底をはかり、その他生徒補導に要する各種の手引書を刊行して全国教員の参考とする予定である。

三 広島県下において警察員を学校に配属したと聞くが、その動機、経過成績如何。
  昨年十一月十一日付の毎日新聞に本問題を「渦紋起す警官の学園配置」という見出しで取扱つているが、広島県教育委員会を通じて実情を調査した結果、事実は概略次の通りであることが判明した。

1 昨年十月広島市内の中学校では生徒の不良化防止のため「校外生活指導協議会」を組織した。
2 これには生徒の背後にある街の不良分子の取締りを徹底するなど警察の協力が必要であるので、学校側から警察に対して両者が連絡を緊密にすることを申入れた。
3 警察側においても、その必要を認め連絡員をつくり、必要に応じて学校と連絡し、校外における生徒の不良化防止に協力することになつた。
4 これは、学校配属警官又は学校常置警官というようなものではない。
5 広島県教育委員会、広島市警察局は、これがために学校教育の自主性が傷けられることのないよう充分注意を拂いつつ、同協議会がその本来の目的を達成するよう努力している。

 右答弁する。



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