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答弁本文情報

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昭和二十五年三月二十二日受領
答弁第八四号
(質問の 八四)

  内閣衆質第七一号
     昭和二十五年三月二十二日
内閣総理大臣 吉田 茂

         衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿

衆議院議員並木芳雄君提出迷信打破対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員並木芳雄君提出迷信打破対策に関する質問に対する答弁書



 結婚に関する迷信が社会生活に害を與え不幸を作つていること少くないようである。健全な常識から考えればたいした根拠を認められない、ひのえうまとか相性とか年まわりとかとらの年の結婚が今日なお問題となり、そのために結婚を不可能としたり結婚後も暗いかげがつきまとつているように思つたりすることが多いのはまことに遺憾である。
 これらは、主として月日を記するためにつくられた干支と天文に対する不十分な知識から出た五行説等との結合から生じた吉凶判断の迷信であることはいうまでもない。ひのえうまは(注)川時代すでに迷信として排撃されたものであり、また相性は五行相性の相生が相性(合性)と変えられたもので、その理由がいかなるものであるか迷信の專門家以外には知る人が少いような意味を附加しており、年まわりとかとらの年の結婚にしてもあたかも先天的に決定されている宿命であるかのように考えねばならぬものとされているのである。
 このような迷信によつて結婚が左右される限り、両性の人格とか共同生活の内容は全く無視されることとなるわけである。従つて迷信のこのような社会に広まつている無意味な力を民衆自体がすみやかに問題としてとりあげないようになることはきわめて望ましいことである。このゆえに迷信打破は法規による取締とか禁止という方法による性質の問題ではなく、社会人が広く健全な常識をもつことによりおのずから打破されて行くようなあり方こそ最も拔本的な解決策であることは申すまでもない。
 今般孝宮は勇敢にこれらの迷信を打破御結婚なさる由で、これには大きな社会教育上の模範的意義を考えることができる。文部省においては二十二年以来迷信調査協議会を設けて実状調査を行つているが間もなく調査完了間近にあるのでこれに基き政府としては孝宮御結婚を契機とし、今後大いに社会人が健全な常識をもち、迷信を打破しうるよう各種社会教育団体を通じ、また国民科学講座を広める等合理的科学的な教養の向上を計るための充実した成人教育をますます実施して行く考えである。

 右答弁する。




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