答弁本文情報
昭和二十五年十二月二日受領答弁第一二号
(質問の 一二)
内閣衆質第一二号
昭和二十五年十二月二日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 ※(注)原喜重※(注) 殿
衆議院議員※(注)田甚太※(注)君提出長期欠席及び不就学兒童に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員※(注)田甚太※(注)君提出長期欠席及び不就学兒童に関する質問に対する答弁書
長期欠席及び不就学兒童について
長期欠席及び不就学兒童生徒の数は次のとおりである。
一 就学していないもの(昭和二十五年度文部省指定統計による)
小学校 四〇、三三九人 (全学齢兒童一一、一六四、六八四人に対する百分率 〇・三%)
( 就学猶予のもの | 二四、九五六人 | ||
内訳 | ( 就学免除のもの | 四、二〇六人 | |
( その他 | 一一、一七七人 | ||
その他内訳 | ( 教護院少年院にあるもの | 四九七人 | |
( 貧困によるもの | 三、三六三人 | ||
( 居所不明のもの | 二、一五三人 | ||
( その他 | 五、一六四人 | ||
計 | 一一、一七七人 |
中学校 四一、九一〇人 (全学齢生徒五、二八五、七七二人に対する百分率 〇・七%)
( 就学猶予のもの | 二、八八八人 | ||
内訳 | ( 就学免除のもの | 一、九二二人 | |
( その他 | 三七、一〇〇人 | ||
その他内訳 | ( 教護院、少年院にあるもの | 一、五六一人 | |
( 貧困によるもの | 一八、八三四人 | ||
( 居所不明のもの | 一、九四九人 | ||
( その他 | 一四、七五六人 | ||
計 | 三七、一〇〇人 |
(昭和二十五年五月五日−十八日に実施された第二回青少年保護育成運動週間を中心に行われた関係各省庁の共同調査の結果による。内閣審議室集計)
公立小学校 三〇九、八〇六人(全在籍者七、九六五、〇四〇人に対する百分率 三・八%)
公立中学校 二六四、七〇九人(全在籍者三、五七四、七三二人に対する百分率 七・四%)
これを理由別に全長期欠席者に対する百分率の大きいものから順に見ると次の通りである。
公立小学校
本人が病気のもの | 一一五、八四四人 | 全長期欠席者の | 三七・九% | ||
自宅で家事手伝をしなければならないもの | 七六、五七四人 | 〃 | 二五・四% | ||
家庭が教育に無関心のもの | 三五、一五七人 | 〃 | 一一・六% | ||
本人が教育に無関心のもの | 三一、二七三人 | 〃 | 八・七% | ||
学校がきらいなもの | 一七、八七〇人 | 〃 | 五・七% | ||
教育費がでないもの | 一四、二五七人 | 〃 | 四・七% | ||
外で働いて家計を助けなければならないもの | ) | 一八、三一六人 | 〃 | 六・〇% | |
友達にいじめられるもの | ) | ||||
災害にあつたもの | ) | ||||
その他 | ) |
公立中学校
自宅で家事手伝をしなければならないもの | 一三三、五七一人 | 全長期欠席者の | 五〇・五% | ||
本人が病気のもの | 三八、一九一人 | 〃 | 一四・四% | ||
本人が教育に無関心のもの | 二一、五九〇人 | 〃 | 八・二% | ||
家庭が教育に無関心のもの | 二〇、七八六人 | 〃 | 七・九% | ||
外で働いて家計を助けなければならないもの | 一八、三二六人 | 〃 | 六・九% | ||
学校がきらいなもの | 一八、〇六八人 | 〃 | 六・八% | ||
友達にいじめられるもの | ) | 一四、一七八人 | 〃 | 五・三% | |
教育費がでないもの | ) | ||||
災害にあつたもの | ) | ||||
その他 | ) |
以上のうち調査員が自宅訪問その他により救済措置ができるかどうかを調べた結果は次の通りである。
何等かの方法により救済措置が講ぜられる見込のあるもの
小 学 校 | 二一一、七七七人 | 全長期欠席者の | 六八・四% | |
中 学 校 | 一六二、八九八人 | 〃 | 六七・〇% |
処置不要のもの
小 学 校 | 八七、五六四人 | 〃 | 二八・五% | |
中 学 校 | 五九、四四〇人 | 〃 | 二四・四% |
処置の見込のたたないもの
小 学 校 | 九、六六五人 | 〃 | 三・一% | |
中 学 校 | 二〇、八七七人 | 〃 | 八・六% |
三 対策 二にあらわれた数字により概観すれば長期欠席者のうち経済的貧困によるもの、本人の病気によるもの、家庭又は本人の教育に対する無関心のものが著しく大きな数字をしめている。
これらに対する対策は次の通りである。
a 経済的貧困によるものについては、生活保護法による生活扶助、特に教育扶助にまたなければならないので、関係各省と協力してこれらの増額をはかり、救済につとめたい。
b 本人の病気によるものについては、学校保健衛生の改善充実をはかるとともに関係各省の協力により社会保障制度の確立を期することによりその数の減少をはかるよう努力する。
そのほか義務教育が無償で受けられるような措置をできるだけ早く講じたいと考えている。
c 家庭又は本人の教育に対する無関心については保護者の啓蒙によつて解決できるものもかなり多いと思われるので、学校と家庭の連絡を一層緊密にするとともに地方の教育委員、兒童福祉司、兒童委員その他の関係者の協力を得て活発に啓蒙活動を行いたい。更に学校にうるおいを與え、学校を兒童生徒に魅力あるものとするために、学習指導、生徒指導の改善充実と徹底を期するとともに、学校の教育環境を整備し、教師の資質の向上をはかるよう万全の努力を拂いたい。
右答弁する。