答弁本文情報
昭和二十五年十二月二日受領答弁第三四号
内閣衆質第三四号
昭和二十五年十二月二日
衆議院議長 ※(注)原喜重※(注) 殿
衆議院議員※(注)田甚太※(注)君提出鉱工品貿易公団の滯貨処理に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員※(注)田甚太※(注)君提出鉱工品貿易公団の滯貨処理に関する質問に対する答弁書
一 鉱工品貿易公団の滯貨は輸出品、輸出用資材並びに輸入保管品の滯貨であり、その内容及び処理状況は次の通りである。
1 輸出品及び輸出用資材在庫高
輸出用資材三月末在高五〇三、三三五千円に対し十月末現在は六二、七八九千円となり四四〇、五四六千円を処分し、輸出品在高は三月末現在一〇、三九三、二九五千円中鋼造船八、五八〇、八〇三千円は通商産業省へ引継ぎを完了し、残額中十月末までに一、三〇一、八一一千円の処分を終つた状況であり、残り五一〇、六八一千円は本年十二月末までに処分終了の見込みである。
輸入保管品三月末現在高一八、三一〇、八四〇千円のうち米国より援助にかかるもの六、三三二、一五一千円は援助物資特別会計に引継ぎ、更に五、八五五、六〇〇千円の処分を十月末日までに了し、十月末現在在庫六、一二三、〇八九千円である。
今後処分を必要とするこれらの物資の大部分はほとんど本年十二月末までに処分可能の見込であるが、錫及び鉛一、八二五、九〇六千円については現在の需給状況にかんがみその大部分を一月以降において処分の予定である。
二 滯貨となつた理由
1 輸出品
イ 総司令部の命令で政府貿易としての契約成立に基き、発註買上後その命令及び契約が取消されたこと
ロ 計画生産したものの中には戰後のめくら貿易のため海外市場が不明なることにより見込違いを生じたこと
ハ 公団において発註当時は流行品であつたものが発註後製作期間の経過により流行遅れとなり輸出不適品となつたこと
ニ レートの変更により輸出不能となつたこと
等の理由により当初の予定通り輸出が不能となり且つこの国内転用は規格、品質の差により極めて困難となり滯貨となつたものである。従つて今後これらの輸出品滯貨の処分については当初の買上価格に比し相当程度の値引が必要である。
輸出用原材料は旧原材料貿易公団よりの引継品であつて国内の生産回復に向い新製品の出廻り潤沢となり統制の撤廃、市況不振、価格の下落等により売行が止まつたものである。
イ 複数レートの時代に円高レートにより契約を締結し当該価格においては処分可能であつたものが、その後單一レート設定によつて、国内拂で価格が高くなつたため(円安)処分困難となつたこと。
ロ 輸入懇請の時期より遅れて輸入されたため実際の輸入されたときにおいて国内の生産が回復されて当該物資需給は緩和され、その処分が困難となつたこと。
ハ 輸入品の品質が粗惡であつたり、本邦の需用に適合しないものがあつたこと。
等のため滯貨を生じたのである。