衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
昭和二十五年十二月五日受領
答弁第三八号
(質問の 三八)

  内閣衆質第三八号
     昭和二十五年十二月五日
内閣総理大臣 吉田 茂

         衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿

衆議院議員(注)田甚太(注)君提出電気事業の災害状況に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員(注)田甚太(注)君提出電気事業の災害状況に関する質問に対する答弁書



一 昭和二十五年度における電気事業の受けた災害中、殊に被害の大なるものは、七月十八日のグレース台風(中国、四国、九州)、八月三日の熱帶性低気圧(東北地方)、八月十三日及び十九日の熱帶性低気圧(九州地方)、九月三日のジエーン台風及び九月十三日のキジア台風(中国、四国、九州地方)によるもので、これら熱帶性低気圧及び台風により、火力発電所、水力発電所、変電所、送電線路、配電線路、通信線路に被害を受け、報告を受けているものだけでも、被害復旧費は、総計二十三億円を超えている。
 このうち特に被害の大きかつたのは、ジエーン台風及びキジア台風によるものであつて、災害状況は次の通りである。

ジエーン台風    被害復旧費    十五億九千四百五十万円

火力発電所 電気及び土木、建物関係 一三箇所
水力発電所 電気関係 三八箇所
土木関係 一〇四箇所
建物関係 一二八箇所
変電所 電気関係 三〇箇所
建物関係 五八六箇所
送電線路 支持物倒壞、折損、傾斜 三、九〇三基(本)
電線断線及び混線 二五二箇所
配電線路 支持物倒壊、折損、傾斜 六二、八八四本
電線断線及び混線 七三、五九八箇所
引込線、断線及び混線 五四二、八五六箇所

キジア台風    被害復旧費    五億二千四百万円

火力発電所 電気関係 三箇所
土木、建物関係 二四箇所
水力発電所 電気関係 三六箇所
土木、建物関係 二三二箇所
変電所 電気関係 四〇箇所
建物関係 一六八箇所
送電線路 支持物倒壞、折損、傾斜 二六六基(本)
電線断線及び混線 八二箇所
配電線路 支持物倒壊、折損、傾斜 三〇、三一三本
電線断線及び混線 一四、九一六箇所
引込線断線及び混線 八〇、八九〇箇所

 被害の復旧は、各事業者において、最大の努力をはらい、ジエーン台風の場合を除き、短時日のうちに復旧して、一般電灯、動力、工場動力を確保している。
 これらの災害に対する予防対策としては、事業者において電気工作物の改良と、補修を平常より充分行うことが必要であり又火力発電所に対しては、高潮の侵入を防ぐ防潮堤の建設、台風襲来時の補機関係の吊し上げ等が考えられている。
 又、台風の襲来を予想して、必要資材の適所配置も考慮される。

二 九月三日のジエーン台風による近畿地方の電力設備の被害は、送電線路、配電線路においてはなはだしく、火力発電所は大阪湾の高潮により大部分が侵水し相当の被害を受け、水力発電所は被害僅少である。
 被害状況は次の通りである。

水力発電所 電気関係 八箇所 九月十五日九四%復旧
土木関係 四七 〃
建物関係 四五 〃
火力発電所 電気、土木、建物関係十三箇所(殆んど侵水せるも九月廿五日九九%復旧)
変電所 電気関係 一〇箇所 運転不能五箇所、侵水二九箇所
建物関係 二四四 〃 九月七日九九%復旧
送電線路 支持物倒壞、折損、傾斜 三、三四九基(本) 九月十日大部分復旧
断線及び混線 二〇三箇所
配電線路 支持物倒壞、折損、傾斜 四三、九三八基(本) 九月九日大部分復旧
断線及び混線 五五、四五七箇所
引込線断線及び混線 四三七、七四〇箇所
被害復旧費約十三億五千六百万円

 前記被害に対する復旧状況は九月中旬より上旬にかけてほとんど復旧したのであるが、これを各設備についてみると送電線路については九月十日より九月末日までに、変電所及び配電線路は九月二十日までに、火力発電所は九月廿五日までに、水力発電所は九月十五日までに復旧し、動力需要家に対する送電は九月十七日までには復旧する外一般電灯需要家に対する電灯供給も九月十一日には大半復旧し、点灯の最も遅れた大阪市内の侵水地区も廿四日には復旧した。
 なお、電気工作物の被害復旧については、大阪通商産業局に対策本部を設置し、石油製品、労務者用物資その他の資材を確保し早急なる復旧に努力した次第である。

 右答弁する。




経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.