答弁本文情報
昭和二十六年一月十一日受領答弁第四三号
内閣衆質第四三号
昭和二十六年一月十一日
衆議院議長 ※(注)原喜重※(注) 殿
衆議院議員※(注)田甚太※(注)君提出日本農業の機械化政策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員※(注)田甚太※(注)君提出日本農業の機械化政策に関する質問に対する答弁書
一 農業機械化の障害
わが国農業機械化の促進のため障害となつているものは、経済的條件としては農家経営資本蓄積の貧困と融資上の困難、経営規模の零細性、農機具修理及びサービス施設の不足、耕地の分散と区画不整等、技術的要因としては水田稻作経営を主体とするわが国農業の特殊性、農業機械化技術の試験研究の遅れ、すなわち適切な農機具の創出、耕種方式の改革に未完の部分を残していること、且つ、機械化技術が農業生産全行程に対して一貫的でないことなどをあげることができるが、このような障害條件は必ずしも決定的なものではなく、右の條件の下においても漸進的に農業機械化は進んでおり、例えば灌排水、耕耘整地、中耕除草、脱穀調製等の農業生産行過における今日の労働技術水準を明治年代のそれと比較するときは、格段の差異と、これにもとずく生産力の上昇(反收増加、裏作拡大、経営多角化等)を認められ、今日この動向は益々発展高度化せんとしつつある。
右の状況にかんがみて、農業生産強化と農家経営改善のため機械化促進施策として次のごとき方針をもつている。
1 農機具購入資金の円滑化
2 農業機械化技術の改善に関する試験研究の促進
3 優良農機具の奬励助長
4 農業機械化の統計的及び実態的調査研究と地域別経営型態別機械化促進具体策の策定
5 農業機械化指定村による農業機械化実際化研究
6 農村に対する実演、指導及び技術講習会の開催
現在各地に普及をみているいわゆる日本型、小型トラクター(自動耕耘機)及びハンド・トラクターはわが国農業構造のもとにおいて、最適規格性能のものとして発生、改善され来つたものであるが、その大きさは三ないし五馬力前後であり耕耘能力は一時間約一反一日効程四ないし七反である。耕地面積規模は二ないし三町以上においては必要且つ採算的に成立し、機械能力からいえば五ないし一〇町程度で協同利用されることが適当であるが、実際はそれ以下の規模でも普及されている。
模範的経営事例としては左の箇所は一般的にも著名である。
北海道玉葱栽培地方
青森県黒石町
神奈川県川崎市稻田
新潟県西蒲原郡道上村
岐阜県本巣郡牛牧村
岡山県兒島郡興除村
鳥取県西伯郡大山村
福岡県三瀦郡木佐木村