答弁本文情報
昭和二十六年一月十一日受領答弁第五一号
(質問の 五一)
内閣衆質第五一号
昭和二十六年一月十一日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 ※(注)原喜重※(注) 殿
衆議院議員※(注)田甚太※(注)君提出国税の滯納に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員※(注)田甚太※(注)君提出国税の滯納に関する質問に対する答弁書
昭和二十五年十一月末現在における国税の滯納額は、税額において過年度よりの繰越額六四七億円、本年度新規発生分四二〇億円計一、〇六七億円である。件数においては、過年度よりの繰越分五一六万件、本年度新規発生分二九九万件計八一五万件となつている。
滯納の原因については、災害病気等による無資力、金詰り、課税に対する不満、他税の圧迫、納税者の怠慢等が考えられる。
なお、最近の特需景気の影響もあつて納税資金を流用して手持商品の買だめ、設備の拡張等を行つておるものも相当多数に上つているものと認められる。
十一月末現在における滯納額のうちすでに差押えているものの税額は三一四億円で、滯納額の二九%、件数においては一一五万件で滯納件数の一四%を占めている。
差押は滯納者の名誉保持からも、又占有権を制約することにより苦痛を與える点からも、他の方法をもつて目的を達しない場合に、最後にとるべき手段であるが、最近の実情は納税注意書や督促状では自主的納税をするものが漸次少くなり、差押公売の手段によらねば徴税の公平を害する状態になつてきつつあることは遺憾である。但し、真に生活の困窮している者や納税に誠意のあるものについては実情調査の上、納付誓約をとり、これが確実に履行される限り差押を猶予することとしている。
右答弁する。