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答弁本文情報

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昭和三十二年四月二十六日受領
答弁第三号
(質問の 三)

  内閣衆質二六第三号
    昭和三十二年四月二十六日
内閣総理大臣 岸 信介

         衆議院議長 (注)谷秀次 殿

衆議院議員春日一幸君提出損害保険株式会社の責任準備金の性質及び帰属に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員春日一幸君提出損害保険株式会社の責任準備金の性質及び帰属に関する質問に対する答弁書



一 責任準備金は、保険金支払のために積立てておくものであつて、勘定科目上も保険契約準備金として経理せられているが、立法的にこの趣旨を明確化すべき必要は特に認められない。

二イ、損害保険における責任準備金は、未経過保険料及び異常危険準備金より成つている。未経過保険料は、収入保険料中の未経過分を積み立てるものであり、異常危険準備金は、大火等の異常危険にそなえて、保険事業収支差額及びその他の利益の中から各期繰り入れるものである。

 ロ、責任準備金が一に述べたように保険契約準備金であるということは、保険関係のための準備金であることを意味するものであつて、責任準備金に見合う財産について被保険者に直接に権利があることを意味するものではない。なお、損害保険の場合は、生命保険と異なり、原則として契約期間は一箇年の短期であり、その保険料は貯蓄的性格を持たないので、保険業法第三十二条及び第三十三条による先取特権及び優先弁済権も生命保険に限られ、損害保険の被保険者には認められていない。

 ハ、損害保険会社が解散した場合の責任準備金の残額(責任準備金から保険業法及び保険約款の定めにより支払うべき保険金及び未経過保険料を差し引いた残額)は、長期的に想定された予定損害率とその実績として得られた損害率との差額のみならず、経費の節減、社外流出の抑制によつて異常危険準備金に繰り入れられた利益相当額、再保険による回収等経営努力によるものも少なくない。また、大火によつて異常危険準備金を上廻る保険金の支払いがあつたとすれば、逆に株主勘定はき損され、株主がその損失を負担しなければならないものである。これらの点を勘案すると、この残額は、被保険者に払い戻すというよりは、商法の一般原則通り一般債権者についで株主に帰属すべきものであると考える。

三 二に述べたように、責任準備金に見合う財産は直接的には被保険者のものとは言えないが、それが保険事業より発生した財産であることにかんがみ、この運用利益を保険料算定に加味することは考えられるところである。この点に関しては、責任準備金の累積度合を勘案しつつ、情勢に応じて弾力的に運用することとし、立法化によらず行政指導によることが適当であると思われる。

 右答弁する。




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