衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
昭和三十六年三月十七日受領
答弁第九号
(質問の 九)

  内閣衆質三八第九号
    昭和三十六年三月十七日
内閣総理大臣 池田勇人

         衆議院議長 (注)(注)一(注) 殿

衆議院議員井堀(注)雄君提出公社、公団及び事業団の性格に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員井堀(注)雄君提出公社、公団及び事業団の性格に関する質問に対する答弁書



一 検討の対象とした公社、公団及び事業団

   この答弁書において検討の対象とした公社、公団及び事業団は、既設のものとしては、
(1) 公社 日本国有鉄道、日本専売公社及び日本電信電話公社並びに原子燃料公社

(2) 公団 日本住宅公団、日本道路公団、首都高速道路公団、国内旅客船公団、愛知用水公団、農地開発機械公団及び森林開発公団

(3) 事業団 労働福祉事業団、中小企業退職金共済事業団、鉱害復旧事業団、石炭鉱業合理化事業団及び日本蚕繭事業団

 新設予定のものとしては、
   年金福祉事業団、雇用促進事業団、新技術開発事業団及び畜産振興事業団
 である。

二 役職員の性格

 公社、公団及び事業団を通じて、その役職員は、いずれも国家公務員ではなく、国家公務員法の適用はないが、鉱害復旧事業団の役職員を除いては、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する者(又は職員)とみなされている。なお、鉱害復旧事業団の役職員については、収賄罪の特別規定が設けられている。
 企業体職員という法令上の用語はないが、公共企業体等労働関係法にいう公共企業体の職員という意味であれば、日本国有鉄道、日本専売公社及び日本電信電話公社(以下「三公社」という。)の職員がこれに該当する。

三 職員に対する労働法規の適用

 三公社以外の公社、公団及び事業団の職員については、一般民間労働者と同じように、労働基準法、労働組合法及び労働関係調整法のいわゆる労働三法がそのまま適用されるのであるが、三公社の職員には、労働基準法が適用されるほか、労働組合並びに労働関係及びその調整については公共企業体等労働関係法の規制を受け、同法に定めのない事項については労働組合法の定めるところによることになつている。
 なお、三公社の職員については、それぞれの公社法において任用の基準、給与、分限、懲戒及び服務の基準について特別の規定が設けられている。

四 機能、責任と権限

(1) 三公社は、鉄道事業、専売事業、公衆電気通信事業等公企業の経営を目的として、全額政府出資をもつて設立された特別法人で、前述したように労働関係で最も大きな特色を有するほか、公庫とともに予算が国の予算の議決の例により国会の審議を受け、決算も国会に提出される点で国会の直接のコントロールに服し、他の公社、公団及び事業団と大きな相違があり、また、日本国有鉄道においては、所定の役職員をして特別司法警察職員又は鉄道公安職員として鉄道犯罪の捜査にあたらせることができ、日本専売公社においては国の専売権の実施にあたり、専売法に基づく許可、指定等の権限を有し、また、国税犯則取締法が準用される場合があり、その場合には収税官吏の職務を公社の役職員中主務大臣の指定を受けた者が行なうものとされるほか、立入検査権、強制徴収権を与えられ、日本電信電話公社においては、公衆電気通信法に定められた土地等の使用、一時使用、土地の立入、植物の伐採、線路の移転請求の権限を有する等最も国に近い色彩をもつている。
    三公社は、いずれも総裁、副総裁又は理事が代表し、意思決定機関として国鉄には理事会、電々公社には経営委員会があるが、専売公社にはこれに該当する特別の機関はなく、また、国鉄には監査のため監査委員会が設けられている。なお、三公社は、主務大臣の監督に服し、この面において、行政権の系統に属し、主務大臣を通じて国会のコントロールに服するのは、他の公社、公団及び事業団の場合と同様である。
    次に、原子燃料公社は、核原料物質の開発等を目的として設立された全額政府出資の特別法人であるが、三公社と異なり、公共企業体等労働関係法の適用はなく、決算説明書及び財務諸表の国会報告が定められている点において三公社と類似性を有するにすぎず、その性格は、むしろ公団に近いものである。なお、主務大臣の監督に服する点は他の公社、公団及び事業団と同じであり、主務大臣を通じて国会のコントロールに服する。

(2) 公団は、住宅供給、道路建設、旅客船建造、水資源の総合開発、農地開発機械の効果的運用、林道開設、森林造成等を目的として設立された特別法人であるが、事業の内容に共通性はなく、また、日本道路公団及び国内旅客船公団は全額政府出資であるが、日本住宅公団及び首都高速道路公団は政府と地方公共団体の共同出資によるものである。日本道路公団及び首都高速道路公団については、料金、占用料、負担金等の徴収及び強制徴収がみとめられているほか、道路管理者の権限の一部の代行がみとめられている。愛知用水公団、農地開発機械公団及び森林開発公団は、事業遂行の機能に対して法人存立の基礎が与えられるいわゆる機能法人であつて、出資に依存せず、政府からの借入金、政府の債務保証を背景とする借入金又は政府の補助金(農地開発機械公団については、補助の規定を欠く。)を資金としてその業務が運営されるが、その資金的基盤は、国家的なものといえよう。なお、愛知用水公団及び森林開発公団については、受益者負担金の徴収及びその強制徴収、県の費用負担並びに職員の立入等の権限がみとめられている。
    公団は、総裁、理事長、理事等が代表するが日本住宅公団及び首都高速道路公団のように、一定の事項については議決機関として管理委員会の設けられているものがある。また、公団は、主務大臣の監督に服し、主務大臣を通じて国会のコントロールに服することは、公社及び事業団と同じである。

(3) 次に事業団は、社会保険施設の設置、運営、乾繭の売渡加工等による繭価水準の維持、鉱害復旧、特定鉱業の整備、合理化、中小企業退職金共済制度の運営、雇用の促進、新技術の開発、主要な畜産物価格の安定等を目的として設立された特別法人であつて、その事業の内容には確たる共通性がない。また、このうち、日本蚕繭事業団、石炭鉱業合理化事業団及び新技術開発事業団は、政府全額出資の法人であり、労働福祉事業団及び雇用促進事業団は政府及び地方公共団体の共同出資、畜産振興事業団は政府及び民間の共同出資であるが、その他の事業団は出資を有せず、いわゆる機能法人である。そのうち、中小企業退職金共済事業団は、経費が補助金でまかなわれ、原則として借入金は禁止されており、年金福祉事業団は、政府からの借入金及び交付金をもつて業務が運営される。なお、石炭鉱業合理化事業団には採掘権者等からの納付金の徴収及び強制徴収権がみとめられている。鉱害復旧事業団は、出資を有せずその経費が受益者その他の関係者の納付金等によつてまかなわれることとなつており、これについて強制徴収権がみとめられている。
    事業団は、理事長、理事等が代表するが、鉱害復旧事業団のように、一定の事項についての議決機関として評議員会を設けているものがある。
    事業団は、主務大臣の監督に服し、主務大臣を通じて国会のコントロールに服することは公社、公団と同じである。

五 所管大臣との関係

(1) 役員の任免 三公社は、役員の任免関係が複雑であるが、その他の公社、公団及び事業団は、総裁、理事長及び監事については、共通して、主務大臣が任免権をもつている。また、一部の公団、事業団のうちには、副理事長、専務理事、理事、管理委員会委員及び評議員について主務大臣が任免するものがある。三公社中、国鉄においては、総裁の任免権は内閣がもち、副総裁及び理事は総裁が主務大臣の認可を受けて任命し、監査委員会委員は主務大臣が任免し、専売公社においては、主務大臣が総裁及び監事を任命し、副総裁及び理事は総裁が主務大臣の認可を受けて任命し、これらの役員の解任権は主務大臣が有し、電々公社においては、総裁及び副総裁を内閣が任免し、監事は経営委員会が任免し、経営委員会の委員は両議院の同意を得て内閣が任命する点において特色を有する。

(2) 主務大臣の認可、承認等
    予算決算については、三公社は、国会のコントロールに直接服することは既に述べたところであるが、その他の公社、公団及び事業団においては予算、事業計画及び資金計画について主務大臣の認可を受けることを要し、また、財務諸表についても主務大臣の承認を要するものとされる。
    このほか、公社、公団及び事業団は各種の行為、計画等について主務大臣の認可等を受けることが必要とされる場合が多い。

(3) 監督
    公社、公団及び事業団は、すべて一般的に主務大臣の監督を受け、主務大臣は、必要な場合には業務に関し必要な監督命令を発しうることとされている。

六 国会との関係

(1) 三公社については、予算は、主務大臣が所要の調整を行ない、閣議の決定を経て内閣が国会に提出し、その議決を求めることになつており、また、その決算書類を内閣から国会に提出することになつている。なお、電々公社の経営委員会の委員の任命は、両議院の同意を要することは既に述べたとおりである。

(2) 原子燃料公社は、決算説明書及び財務諸表を国会に報告することになつている。

(3) そのほかには、直接に国会との関係を定めたものはないと考えられるが、公社、公団及び事業団はすべて主務大臣の監督に服するので、行政権の系統に属し、主務大臣を通じて国会のコントロールを受けることはいうまでもない。さらに、公社、公団及び事業団は、いずれも特別の法律に基づき設立されたものであり、その運営は法律に従つて行なわれるのであるから、その意味で立法機関たる国会のコントロールを受けることになる。

   右答弁する。




経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.