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答弁本文情報

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昭和四十年三月十九日受領
答弁第七号
(質問の 七)

  内閣衆質四八第七号
    昭和四十年三月十九日
内閣総理大臣 佐藤榮作

         衆議院議長 (注)田 中 殿

衆議院議員春日一幸君提出会社更生法の適用等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員春日一幸君提出会社更生法の適用等に関する質問に対する答弁書



一、政府は、山陽特殊製鋼の倒産に伴い、健全な経営を行なつている関連中小企業が連鎖的に倒産することを極力防止するため、関係金融機関の協力を強く要請し、金融機関もこれに応ずる態勢をとつている。これを具体的に述べると次のとおりである。

1 財務局および通産局においては、金融懇談会等を開催し、全金融機関に対し、関連倒産防止のための金融につき、協力を要請した。各金融機関は、この要請にこたえ、山陽特殊製鋼振出手形で期限の到来したものにつき、買戻し延期等の措置をとるほか、当面の運転資金の融通にも充分配意している。

2 財務局および通産局は、その職員を姫路に駐在させ、関連中小企業の実態把握および取引金融機関との連絡に当らせている。

3 政府関係金融機関においては、関連中小企業の倒産防止につき特別の配慮を行なうこととし、必要に応じ資金の融通、既往貸付の条件緩和等、積極的な態度で臨んでいる。

4 兵庫県信用保証協会の債務保証を円滑に行なわせるため、県においては、公庫のてんぽ率をこえる分について、損失保証することを検討している。
  また、公正取引委員会は、山陽特殊製鋼株式会社本社工場に対し立入検査を行ない、下請代金の支払遅延の事実が認められたので、昭和三十九年八月下旬に同社に対しその改善を促すよう指導した。

二、会社更生法は、窮境にあるが再建の見込のある株式会社について、事業の維持更生を図ることを目的とするものであるが、その際債権者、株主その他の利害関係人の利害の調節を図るべきものとされているので、更生計画案の作成に当つては、関連中小企業者も更生会社に対する債権者として、その利益について配慮されることとなつている。

三、更生計画の条件は、同じ性質の権利の間では原則として平等でなければならないが、少額債権等については、別段の定をし、その他差等を設けることも、衡平を害しない限り、許される。したがつて、更生計画において、関連中小企業者の少額債権につき、全額一時払等他の更生債権者より有利な条件を定めることも、衡平を害しない限り、可能である。なお、このような有利な条件を更生計画において定め得るか否かは、債権額のほか、債権発生の態様、時期、弁済期等も考慮して衡平の見地から決められるべきものと考える。

四、中小企業の利益を保護すべきことはいうまでもないが、更生手続においては、すべての利害関係人の衡平を図ることが必要とされているから、関連中小企業者の債権についてのみ一定期間内のものを共益債権とし、その他のものを更生計画において有利に取り扱うことについては、他の債権者との衡平上慎重に研究を要する問題であると考える。
  また、関連中小企業者に対する緊急融資を法律上義務づけることは、民間金融機関については、その性格上、適当とはいえない。また、政府金融機関についても個別の融資についての判断は、それぞれの金融機関に委ねることを原則とすべきである。なお、実際上は、金融機関は政府の要請を受け、これを尊重して、関連中小企業者の救済に当つている。

 右答弁する。




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