答弁本文情報
昭和四十四年八月五日受領答弁第一五号
(質問の 一五)
内閣衆質六一第一五号
昭和四十四年八月五日
内閣総理大臣 佐藤榮作
衆議院議長 松田竹千代 殿
衆議院議員松本善明君提出中野区役所跡地処分問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員松本善明君提出中野区役所跡地処分問題に関する質問に対する答弁書
一1 地方公共団体が行なう契約の締結については、一般的には競争入札によつてこれを行なうのが、地方公共団体にとつて有利な結果をもたらすものと考えられ、地方自治法は、競争入札を原則としている。しかし、契約によつては、その性質又は目的から、随意契約によつてこれを行なつたほうが地方公共団体に有利であり、あるいは契約の目的を達成するためにはこれによらざるを得ない場合もあるので、この方法が認められているものである。
2 地方自治法施行令第一六七条の二は、随意契約により得る場合を列挙しているが、これは、これ以外には随意契約によつて契約を締結することはできないという趣旨の規定であり、したがつて、ご指摘の自治省通達もこの規定をはなれて地方公共団体が条例または規則によつて一般的に随意契約により得る場合を定めることはできない旨を述べたものである。
二1 監査において当該監査の対象となつた事項についての当否の判断に必要な限りにおいて、当該地方公共団体の条例、規則の効力について判断することは、監査委員の職務権限に当然含まれることである。また、地方自治法第一九九条第九項による監査委員の意見には、条例、規則の制定改廃についての意見も含まれる。
2 区長の事務処理の態度については、貴見のとおりである。
3 本件は、郵便局舎建設の敷地として売却するという目的を達するために、諸般の事情を考慮して随意契約によることとしたものと考えられ、これに関して違法不当な点はないものと考える。
三1 現段階においては、中野郵便局を同地に移転建設することを断念する考えはない。
2 中野郵便局の現局舎は、狭あいかつ、老朽化しており、よりよいサービスを提供するためには、局舎を早急に改善することが急務である。
中野区役所跡地は、位置、面積等から局舎用地としてきわめて適当な土地である。
3 区当局が敗訴となることはないと考えているが、そのような事態が生じた場合は、改めて検討する。
4 覚書交換の時点においては、中野区役所跡地以外に検討した土地はない。
5 過去数年間の努力の結果、最適の土地として決定したものであり、現下の土地事情から他に適地を求めることは困難であるから、計画の変更は、考えていない。
6 宿舎予算は、全国分をまとめて予算成立しているので、中野宿舎の分は、この成立額十億三千七百万円の中で措置することとしている。
7 宿舎の設置計画は決定しているが、具体的な設計積算がなされていないので、実行予算は決定していない。なお、実行予算は、用地買収が決つた時点で決定する。
8 買収することにしているが、まだ契約はしていない。
買収価格は、一平方メートルあたり十三万三千円である。
9 鑑定者は、安田信託銀行、東京建物株式会社、日本不動産研究所の三ケ所であり、その評価額は次のとおりである。
安田信託銀行 | 一平方メートルあたり | 一三二、〇〇〇円 |
東京建物株式会社 | 〃 | 一三三、〇〇〇円 |
日本不動産研究所 | 〃 | 一三一、〇〇〇円 |
11 評価機関三者の評価額は、一平方メートルあたり、四十四万五千円となつた。できるだけ有利な価格にすべく交渉した結果、五十三万二千四百円とした。
12 下谷郵便局の現在敷地は、極度に狭く、加えて周囲の道路事情も悪く、集配運送車の発着に支障があるため、昭和四十年春頃から他に適地を求めて新築することを検討していた。
なお、下谷郵便局局舎新築用敷地は、現在敷地と交換により取得することとしており、諸条件が整いしだい新敷地に局舎を建設するよう取り運んでいる。
右答弁する。