答弁本文情報
昭和四十五年五月十九日受領答弁第六号
(質問の 六)
内閣衆質六三第六号
昭和四十五年五月十九日
内閣総理大臣 佐藤榮作
衆議院議長 ※(注)田 中 殿
衆議院議員春日一幸君提出宗教団体の政治的中立性の確保等に関する第三回質問主意書に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員春日一幸君提出宗教団体の政治的中立性の確保等に関する第三回質問主意書に関する質問に対する答弁書
一〜五について
憲法の定める政教分離の原則の趣旨については、これまでの答弁書に述べたとおりであつて、宗教団体が公職の候補者を推薦し、もしくは支持すること、またはこの結果、これらの者が公職に就任して国政を担当することを、この原則が禁止しているものとは、考えられない。
もとより、宗教団体から推薦され、または支持された者が国政を担当することとなつた場合においても、国政を担当する者が憲法の定める政教分離の原則を忠実に遵守する義務を負うことは、当然であつて(憲法第九十九条)、これらの者は、憲法第二十条第一項後段の規定により、当該宗教団体に対して特権を与えたり、または政治上の権力を行使させるような措置をとることは許されず、また、同条第三項の規定により、国権行使の場面において、その信奉する教義に係る宗教的活動をすることが許されないことはもとより、同項に定める宗教的活動に該当するような一切の行為をすることができないことはいうまでもないところであるから、宗教団体から推薦され、または支持された者が国政を担当するに至ることがあつたとしても、そのことから直ちに、今回の質問主意書の四の末文および五に述べられているような事態に至るおそれが生ずるとは考えられない。
これまでの答弁書でも述べているように、宗教法人の非収益事業の所得を特定の場合に法人税の課税対象とするか否かについては、公益法人全般に対する課税とも関連する問題であるので、十分慎重に検討を要するものと考える。