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答弁本文情報

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昭和四十八年九月十一日受領
答弁第一五号
(質問の 一五)

  内閣衆質七一第一五号
    昭和四十八年九月十一日
内閣総理大臣 田中(注)榮

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員土井たか子君提出石油パイプラインの安全対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員土井たか子君提出石油パイプラインの安全対策に関する質問に対する答弁書



一について

(1) 石油パイプライン事業法の適用を受けない自家用又は小規模事業用石油パイプラインは、消防法により危険物施設として規制されることとなつているので、石油パイプライン事業法の関連告示の制定後は、早急に同法の技術基準に準拠して消防法令の技術基準を整備することにより、石油パイプライン事業法の規制に基づいて設置される石油パイプライン施設と同様の安全性が確保できるものと考えている。

(2) 石油パイプライン事業の用に供する石油パイプラインについては、その事業の公共的性格に基づく事業規制とその事業の用に供する施設についての保安規制とを一体的に行うことにより、合理的かつ安全な輸送の実現を図るとともに、公共の安全を確保することが必要であるため、石油パイプライン事業法において規制している。

(3) 導管の延長が十五キロメートル以下の事業用石油パイプラインについては、規模が小さく、石油パイプライン事業法の予定している他の輸送手段に代替し得べき機能を有するものとは考えられず、従つて、これを事業許可等の規制に係らしめる必要性はないと考え適用除外としたものである。
    この小規模事業用石油パイプラインの保安については、石油パイプライン事業法に基づいて行う保安規制と同様の規制を消防法に基づき実施することとしている。

(4) 石油パイプラインの保安に関する石油パイプライン事業法による規制及び消防法による規制は、それぞれ対象となるパイプラインの態様に即応していずれもその危険性の排除を目的としているものであり、安全保持のうえで差はないものと考えている。

(5) 石油パイプライン事業法の適用を受けない石油パイプラインは、消防法により危険物施設として規制されるものであり、当該パイプライン施設の許認可等は、市町村長又は都道府県知事とされているので、消防法においては、パイプライン沿線の地方自治体の意見は反映されているものと考えている。

(6) 消防法においては、危険物施設の技術基準は、政省令に委任されているので、消防法の改正を必要としない。

二について

(1)及び(2) 石油パイプライン事業の事業用施設の技術上の基準を定める省令は、昭和四十七年十二月二十五日に制定されたが、この省令の規定により告示で定めることとされている事項については、関係四省と学識経験者十七名による「技術基準検討専門委員会」によつて昭和四十八年一月から三十回以上の会議を重ね検討を進めてきた結果成案が得られたので、近く告示する予定である。
 なお、石油パイプラインの安全性を確保するため、特に漏えい検知方式、漏えい拡散防止措置等について慎重な検討を行う必要があつたことから、成案を得るのに長期間を要したものである。

三について

(1) 利水上の水源である湖沼、貯水池等は、一般に国民生活に大きな役割を果たしているものであるので、石油パイプラインの設置をできるだけ避けるものとして原則として禁止したものである。

(2) 石油パイプライン事業の事業用施設の技術上の基準を定める省令第二条第一項第五号の「利水上の水源である湖沼、貯水池等」は、表流水に係るものを対象とし、地下水源はこれに該当しないが、同省令においては、石油パイプラインの安全性を確保するため、次の措置等を講ずべきこととしているので、これにより、石油パイプラインの設置により地下水の汚染は生じるおそれはないものと考える。

  (イ) 石油パイプラインの設置に当たつては、一定規格以上の材料を用い、設計上十分な安全率をとるとともに外面腐しよくを防止するための防しよく被覆及び電気防しよく措置を講じること。

  (ロ) 万一の漏えい事故の発生に備えて、漏えい検知装置、警報装置、緊急しや断弁等を設置するとともに、必要な箇所に漏えい拡散防止措置を講じること。
    なお、透水性地盤中に導管を設置する場合においては、漏えい拡散防止措置を講じるべきであるとの「技術基準検討専門委員会」の結論を得ている。

  (ハ) 導管は、耐圧試験及び全溶接部の非破壊試験に合格したものでなければ使用してはならないこと。

(3)及び(4) 建築物との保安距離は、導管の埋設深さ、漏えい拡散防止措置及び漏えい検知装置等の機能を総合的に勘案して定められるものであるとの観点から、万一の漏えい事故による建築物への影響を未然に防止するためには一・五メートルを確保すれば足りるとの「技術基準検討専門委員会」の結論を得ている。

(5)及び(6) 石油パイプラインの安全性は、導管等の材料・構造、敷設方法、保安設備等により担保されており、また、万一の漏えい事故の場合にも周辺地域に影響を与えないよう特別の配慮を払つており、このための措置として、保安距離は、漏えい拡散防止措置、漏えい検知装置等と共に重要な要素の一つとして考えている。

(7) 石油パイプラインの技術基準は、導管の敷設に当たつて当該事業者に対して遵守すべきことを定めたものであるから、設問に係る土地の権利者の土地利用権を制限するものではない。

四について

(1) 地震時には、地盤に変形が生じ、地下に埋設された石油パイプラインもこれとほぼ同じ変形を余儀なくされ、これに伴つて導管に応力が生じることになる。
    従つて、導管は、地震による地盤の弾性変形に対して十分耐え得るよう設計しておく必要がある。
    このため、導管の設計に当たつては、過去の地震の発生状況、土地利用の状況、地盤の性状等の条件を考慮して、導管に生じる応力度の計算を行うべきであるとの「技術基準検討専門委員会」の結論を得ている。

(2) 地盤の塑性変形に対しては、導管として伸びが大きく、破断し難い材質のものを用い、接合部には導管と同等以上の強度が確保される溶接方法を用いるほか、一定規模以上の地震が発生した場合には、感震装置が運転制御装置と連動し自動的に圧送機の運転を停止させるとともに緊急しや断弁を閉鎖させることにより、石油パイプラインの安全性を十分に確保すべきであるとの「技術基準検討専門委員会」の結論を得ている。

 右答弁する。




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