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答弁本文情報

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昭和四十九年三月二十二日受領
答弁第一〇号
(質問の 一〇)

  内閣衆質七二第一〇号
    昭和四十九年三月二十二日
内閣総理大臣 田中(注)榮

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員木原実君提出成田空港のアクセス(陸上交通)に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員木原実君提出成田空港のアクセス(陸上交通)に関する質問に対する答弁書



一について

 新東京国際空港(以下「新空港」という。)開港時の新空港・都心間の旅客等の輸送対策としては鉄道、道路の整備を行つており、当面の輸送需要に対処することができると考えている。

二について

 都心と新空港間の専用道路の建設状況は、次表に示すとおりである。

都心と新空港間の専用道路の建設状況

三について

(1) 東京・新空港間約六五キロのうち約三キロ、全体の約五%である。なお、このほかに一部道路下等の公共用地の利用を考えており、これらは全体の約二八%程度存在する。

(2) 地元の反対等により用地交渉まで至らない現状であり、今後は地元自治体等との話合いを進め、用地を取得しうるよう努力したい。

(3)及び(4) 沿線住民による反対がある地域は、江東区、江戸川区、浦安町、市川市、船橋市等であり、したがつて了解が得られていない沿線自治体はこれらの市、町等のほか東京都、千葉県がある。その反対理由は、公害、区画整理計画との関係、地元にメリットがない等である。

(5) 供用開始の時期は、昭和五一年度を予定しているが、着工がかなり遅れているので、今後地元自治体等との話合いを積極的に進めてできるだけ早く着工しうるよう努力したい。

(6) 一二両編成一日一〇〇往復、平均乗車効率七〇%とすれば、一日片道の輸送能力は七六、〇〇〇人となり、将来にわたつての輸送能力としては十分であると考えられる。なお、開業当初は六両編成を予定している。

(7) 建設は日本鉄道建設公団、完成後の営業は日本国有鉄道である。

(8) 昭和四九年度は用地確保のための協議等を積極的に進めたいと考えているので、建設に対する影響は少ないものと考えている。

(9) 約二、〇〇〇億円(車両費を除く。)

四について

 新空港の開港時における都心との輸送手段は、鉄道については国鉄総武、成田線及び京成電鉄、道路については首都高速七号線、京葉道路、東関東自動車道鹿島線、新東京国際空港線を予定している。高速輸送機関は、開港後における将来の交通量の増加に対処するため建設を進めるものである。

五について

(1)及び(2) 京葉道路は、区間により、現在一日当たり五〇、〇〇〇台〜一〇六、〇〇〇台の交通量がある。
 特に混雑の激しい区間は、原木インターチェンジから幕張インターチェンジ間約八・五キロメートルであり、この区間の交通量は、一日当たり八八、〇〇〇台である。
 また、新空港が開港された場合、予想される増加交通量は、一日当たり約一四、〇〇〇台であるが、これが、すべて京葉道路を通過するとすれば、京葉道路の原木〜幕張間の交通量は一日当たり約一〇二、〇〇〇台となり、混雑は一層激しくなる。
 一方、湾岸道路の原木〜幕張間が完成した場合には、特に千葉市内と東京都内を結ぶ交通を中心に一日当たり約二〇、〇〇〇台が京葉道路から湾岸道路へ転換するものと予想される。したがつて、京葉道路の原木〜幕張間の交通は、一日当たり約八二、〇〇〇台となり、現在よりやや混雑が緩和された状態となる。

(3) 湾岸道路の原木〜幕張間のうち、船橋地区片側二車線については、既に供用を開始しているが、残余の部分についても引き続き埋立計画、土地利用計画等につき関係地方公共団体との調整を図りつつ、昭和五〇年の供用を目途に用地買収、工事を促進することとしている。

六について

 新空港の開港によつて発生する自動車交通量として、首都高速道路では一日当たり約一四、〇〇〇台の増加が予想されるが、これによる交通状況は、下り線(都心から空港)については渋滞が発生することなく走行し、上り線(空港から都心)については、首都高速都心環状線の交通容量等から江戸橋インターチェンジ及び錦糸町料金所を中心に渋滞が発生することが予想される。
 この対策としては、利用者に的確な情報を提供するほか、必要に応じてランプの流入制限を行うなど、交通管制システムの適切な運用を図つてまいりたい。

七について

 新空港・都心間の道路輸送と鉄道輸送との割合は、最近の交通手段意向調査等から予測するとおおむね五対五となる。輸送機関別の輸送人員については、旅行目的、確実性、便利性、所要時間その他の理由によつて輸送機関の選択がなされ、これはアクセス条件により変動するものであるので、昭和五〇年度について一応の予測をすれば次のとおりである。なお、昭和五五年度の一日片道輸送人員は、約六〇、〇〇〇人と推計している。

昭和五〇年度(一日片道)
  鉄 道 バス(観光バスを含む。) 乗用車
  一九、〇〇〇人 八、〇〇〇人 一一、〇〇〇人 三八、〇〇〇人

八について

(1) 津田沼・千葉間線増工事完成までの段階では、東京・千葉・成田間の快速電車(東京・千葉間快速電車の延長運転として対処する。)の運転は約三〇往復が可能であるが、夏期輸送等季節変動が大きい房総方面への輸送及び千葉附近の沿線開発に伴うローカル列車増発余力を勘案した場合、当面成田快速電車の設定は一五〜二〇往復程度とするのが適当であると考えている。

(2) 快速電車利用の新空港行旅客は電車ごとに異なると考えられるが、国鉄の成田駅と新空港間のバス輸送としては、国鉄が一七往復(乗車定員七六人)、千葉交通株式会社が二一・五往復(乗車定員八三人)の免許申請を行つている。

(3) 申請者は、電車到着五分後に旅客の乗車もれ等のないように連絡バスを運行するよう計画中である。

(4) 現在申請中の経路は、国鉄の成田駅から成田山前を経て都市計画道路を経由し、一般国道五一号線、一般国道二九五号線、新空港内道路を経て旅客ターミナルビルに到着することとしている。また、国鉄バスは復路について経路を一部変更し、一般国道五一号線から成田市役所前、京成成田駅を経由して国鉄の成田駅に至ることとしている。なお、所要時間は、往路一八分から二五分、復路一五分から二五分を予定している。

(5) 関係公安委員会とも連絡のうえ、市民生活に悪影響を及ぼさないよう十分配慮してまいりたい。

九について

(1) 成田空港駅と旅客ターミナルビル間のバス輸送については、現在、成田空港交通株式会社から免許申請がなされているところでもあり、新空港の開港時期も勘案のうえ適切な措置をとつてまいりたい。

(2) 前記の申請では、成田空港駅から旅客ターミナルビルまでの所要時間を五分から七分と予定している。なお、バスの円滑な運行については、関係機関とも連絡のうえ、適切な措置をとつてまいりたい。

(3) 現在新空港開港時のダイヤは検討中であるが、ダイヤ設定の考え方としては、特急運行については、通勤通学輸送を阻害することのないように、また、急行運行については、現在の成田または佐倉発着のものを成田空港駅まで延長することにより現在の京成線利用者に影響の生じないように、それぞれ配慮していく所存である。

(4) 急行は、現在のダイヤによれば成田着六九本、佐倉着二六本となつており、このうち五〇ないし六〇本程度を成田空港駅まで延長運転する計画を検討しているところである。

(5) 特急運行については、ラッシュ時をできるだけ避けるとともに、急行運行については、現在以上の本数としない考え方で検討しており、過密ダイヤになるおそれはないと考える。

(6) 急行運行については、通勤通学輸送を阻害することのないよう現在の急行を成田空港駅まで延長する計画を検討しており、したがつて電車の増発には至らず、待避の関係については従来と変わらないものと思われる。特急運行については、追越箇所を五駅程度とし、同一電車が再度追い越されることはなく、また、特急に追い越される電車の待避時間は、ごく僅かとする考え方をとつて検討しており、沿線利用客、特に通勤通学者の平均的所要時間の増加はほとんど生じないものと思われる。

十について

 新空港は、首都圏の国際的な表玄関として計画されたものであり、御質問のごとき航空協定の問題は生じることはない。

 右答弁する。




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