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昭和四十九年四月二日受領
答弁第一三号
(質問の 一三)

  内閣衆質七二第一三号
    昭和四十九年四月二日
内閣総理大臣 田中(注)榮

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員金瀬俊雄君提出成田空港周辺地域の航空機騒音に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員金瀬俊雄君提出成田空港周辺地域の航空機騒音に関する質問に対する答弁書



一について

(1)(2)(5)及び(6) 新東京国際空港(以下「新空港」という。)の開港時の飛行コースについては、九十九里から利根川までの間直進上昇・直進降下すること及び千葉県内上空通過の高度は、離着陸以外の航行について六、〇〇〇フィートを保持することについて千葉県知事の要望があり運輸省はこの要望に沿うよう措置する旨回答している。
 なお、C滑走路は未完成であり、これに関する飛行コースは未検討である。

(3) 御質問のような状況の場合の飛行方式については、検討中である。

(4) C滑走路のアウターマーカーの位置は、目下候補地を選定中で、まだ決定するまでにはいたつていない。

(7)及び(8) 現在、A滑走路の飛行コースについて検討中であるが、基本的には騒音地域を減少するため直進上昇によつて、できるだけ早く高い高度をとる飛行方式を採用することとしている。

(9) 現在、飛行コースは決定されていないが、茨城県の一部市町村に騒音の影響があることも考えられるので、その場合には公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律(以下「航空機騒音防止法」という。)に基づく各種対策を実施していく考えである。

(10) 新空港について「前例にこだわらず」新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の制定により、周辺地域における道路・河川等の公共施設の計画的な整備を促進するために必要な国の財政上の特別措置を講ずる等周辺地域の整備に努めてきたところである。
 また、騒音対策についても航空機騒音防止法に基づき、学校防音工事等の助成等を行つているが、騒音対策についてのみ、特に御質問のような話合いがあつたとは承知していない。

二について

(1) 新東京国際空港公団(以下「公団」という。)が昭和四十七年に発表した騒音予測コンター図は、公団の作成した昭和五十一年度における需要予測に基づき公団が作成したものである。

(2)及び(3) 予測コンター図の作成に当たつては、まず離着陸ともに滑走路末端までは防音堤及び防音林の効果を考えず予測コンターを作成し、一方、防音堤及び防音林は場外に対して一〇WECPNLの減音効果があると計算し、滑走路の末端におけるコンターと防音堤とを曲線で結んだものであるが、公団としては、航空機の離陸滑走及び飛行状況等と防音堤及び防音林の関係については、更に詳細に検討することを考えている。

(4) 公団において作成したコンターは、空港の風向から考えて航空機の離発着が南側・北側ともほぼ同数であるため、コンターの作成に当たつて離発着それぞれの場合におけるコンターのうち大きい方のコンターを採用して合成している。したがつて、公団としては、逆推力が発表されたコンターの大きさに影響を与えることはないものと考えているが、なお詳細に検討し必要があればコンターを修正することを考えている。

(5)及び(6) コンターの作成に関し多方面の学識経験者の助言、指導を得てはいるが具体的なコンター作成は公団独自のものである。

三について

 工事の進捗状況との関連において環境基準を達成するために必要な騒音対策を講じていく考えである。

四について

 横風用滑走路は、成田における気象観測統計(昭和四十三年から四十五年までの三箇年平均)によれば、四、〇〇〇メートル滑走路に関する横風分力が一三ノット(毎秒六・七メートル)を超える回数は一・四パーセント、二〇ノット(毎秒一〇・三メートル)を超える回数は〇・一パーセントと非常に少ないことから、現時点においては移転補償地域の指定を行つていない。
 しかしながら、今後は、航空機騒音防止法の改正に伴い、新空港におけるすべての滑走路については、環境基準に示された騒音測定方法により同一の騒音基準で区域の指定を行う考えである。

五について

 民家の防音工事は、中央公害対策審議会答申に基づいて設定した環境基準に沿つて行うこととしているものであるが、航空機騒音防止法による民家の防音工事の助成基準の詳細は検討中である。
 民家の防音工事以外についても、航空機騒音防止法に基づき適切な対策を講ずることとしている。

六について

 民家の防音工事について昭和四十七年度から所要資金を投じ航空公害防止協会に委託し試験工事を行い、施工の方法、居住者に対する観察、防音室の環境測定等の調査研究を実施している。

七について

(1) 教育施設を防音工事することによつて、騒音による授業の中断等の障害は防止される。

(2) 校舎外で児童・生徒が騒音を受ける時間は一般に短時間であり、通常の離着陸ひん度からすれば、特に著しい被害を生ずるものとは考えられない。

(3) 防音校舎の利用が直ちに教育環境の破壊をもたらすことにはならないと考えている。

八について

(1)及び(2) 千葉県において新空港周辺の騒音対策の一環として騒音の著しい区域内の居住者を集団で移転させている。この集団移転計画には、航空機騒音防止法による第三種区域の指定を予定される区域に居住している者(野毛平地区、四八戸)を第一種区域の指定を予定される区域のうち八五WECPNL〜九〇WECPNL地域内に移転させるものがある。
 この野毛平地区の集団移転については、同地区の住民と数多くの会合を持ち、十分話合つた結果同地区の歴史的背景と通勤農業が行いやすいこと等の理由により県の提示した他の場所は採用されず、住民が強く望んだ現在の場所に決定されたという経緯がある。
 このように、この移転先は移転者が強く望んだものであり、県としては、移転先の騒音についてよく説明をした上で移転者の納得のもとにこの計画を進めていると聞いている。

(3) 新空港の位置決定以前から騒音対策について地元と協議を重ねており、位置決定時に騒音対策を含め新空港の位置決定に伴う諸施策を閣議において決定している。

九について

 新空港における航空機の早朝・夜間の離発着については、現在まだ決定していないが、国際空港としての性格をも考慮し、所要の規制を行いたいと考えている。

十について

(1)及び(2) 新空港の飛行コースについては、いまだ検討中であり、関係市町村等の地元の意見を十分考慮し決定する考えである。

(3) 御指摘のとおりの説明を行つている。

(4) 当初における銚子VORTACの設置目的は次のとおりであつた。
 (一) 北太平洋及び中部太平洋方面から新空港に進入する航空機並びに同方面へ出発する航空機に対する航行の指針とすること。
 (二) 百里飛行場の自衛隊機と新空港を利用する民間機の運行する空域とを明確に分離して、この周辺空域の航空交通の安全を確保すること。
 (三) 関東空域の基本的な飛行ルートに大きな変化を加えないで、この銚子VORTACと周辺の新設・既設の航行援助施設を併用することにより、現在も銚子市周辺部上空を通過している東京国際空港の国際線ルートに、新空港開港後における国際線の出発・進入機をのせて飛行させること。
    ところが、その後ルートに結びつける飛行コースについて高度及び通過地域等について諸制約が生じたため、航空機の航行の安全を確保しつつ既存のルートに新空港の飛行コースを結びつけることが困難となり、銚子VORTACを直接に利用して出発・進入する必要性が極めて強くなつてきたので、銚子市に対し事情を説明し、解決の途を見出すべく努力しているところである。

十一について

(1) 騒音対策委員会が開催された日時、場所は次のとおりである。

※表あり

(2)及び(3) 地元委員より出された主たる要望とその対応策を項目別にあげると次のとおりである。
  (一) 騒音地域関係
    (イ) 従来の指定区域(二キロメートル×六百メートル)の範囲について再検討の要望
        航空機騒音防止法の改正に伴い、より適正な基準により、同法の第一種区域、第二種区域及び第三種区域を指定することとする。
    (ロ) 民家防音工事の助成に関する要望
        航空機騒音防止法の改正に伴い、公団が同法の規定により実施することとする。
    (ハ) 横風滑走路の騒音対策の明示の要望
        他の滑走路と同様の基準に従つて騒音対策を行うこととする。
  (二) 補償関係
      テレビ、電話の難視聴対策の確立の要望
      航空機の飛行に伴いテレビ、電話等に障害が生じた場合には、その障害を除去するよう措置することとする。
  (三) 航空機の運用関係
    (イ) 夜間飛行の規制の要望
        国際空港としての性格をも考慮し、所要の規制を行うこととする。
    (ロ) 飛行コースの早期発表の要望
        現在、検討中である。

(4)及び(5) 地元委員より出された改善等の要求とその対応策は次のとおりである。
  (一) 騒音対策委員会の開催は、委員の四分の一の要望によつて開催すること。
      各地区部会の部会長の要求があれば開催することとする。
  (二) 委員会に学識経験者を増員すること。
      必要がある場合は問題ごとにその問題に関する学識経験者を出席させることとする。
  (三) 地区部会についても公団は出席すること。
      地区部会からの要請があれば出席することとする。
  (四) 成田、芝山地区以外においても住民代表をおくこと。
      開港後騒音の影響をみて、住民代表を参加させることとする。

(6) 騒音対策委員会は、運輸省・千葉県・地元市町村などの代表が騒音対策について、協議・検討を行う場である。昭和四十七年度は、航空機騒音防止法に基づく諸対策について検討協議してきたが、昭和四十八年度は、委員会の下部組織として市町村別に定められている地区部会を数多く開催し、地元住民と各地区別の問題について検討を行つてきており、有効に機能していると考えている。

 右答弁する。




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