答弁本文情報
昭和四十九年三月二十二日受領答弁第一五号
(質問の 一五)
内閣衆質七二第一五号
昭和四十九年三月二十二日
内閣総理大臣 田中※(注)榮
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
衆議院議員玉置一※(注)君提出行政指導による価格設定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員玉置一※(注)君提出行政指導による価格設定に関する質問に対する答弁書
一について
いわゆる「法治主義の原則」を行政運営の基本とすべきことは、当然であると考える。
いわゆる行政指導は、国民の権利を制限し、又は国民に対して義務を課するような法律上の強制力を有するものではなく、行政庁がそれぞれの設置法によつて与えられた任務を遂行するためにその範囲内で、相手方の任意の協力を得て行うものであるから、違法の問題は生じないと考える。
昭和四十九年三月十二日の衆議院予算委員会において発表した政府見解では、「価格に関する行政指導を行うことは必要やむを得ないものと考えられる」と述べているが、その趣旨は、貴質問主意書の三の第一段において述べておられるような意味の行政指導を価格に関して行うことが、物価抑制が現下の最大の国民的課題であることを考慮すれば、必要やむを得ないとしているのであつて、あくまでも相手方の任意の協力を前提とするものであるから、もとより違法でないばかりでなく、「法治主義の原則」にも反するものでないと考える。
なお、今回行われた石油製品の価格対策についていえば、原油価格、需要の動向等の価格決定要因が極めて流動的で今直ちに標準価格を定めることは困難なので、とりあえず行政指導によることとしたものであり、このうち国民生活に密接な関係を有する品目については、今後の情勢を見まもりつつ、適当な時期に標準価格に移行するよう努力することといたしたい。