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答弁本文情報

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昭和五十年六月六日受領
答弁第二〇号
(質問の 二〇)

  内閣衆質七五第二〇号
    昭和五十年六月六日
内閣総理大臣 三木武夫

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員嶋崎 譲君提出石川県下における北陸機械・オリエンタルチェーン・金産自工の労使紛争に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員嶋崎 譲君提出石川県下における北陸機械・オリエンタルチェーン・金産自工の労使紛争に関する質問に対する答弁書



一について

 北陸機械工業株式会社(以下「北陸機械」という。)、オリエンタルチェーン工業株式会社(以下「オリエンタルチェーン」という。)及び金産自動車工業株式会社(昭和五十年四月一日に帝国自動車工業株式会社と合併し、新たに日野車体工業株式会社として発足している。以下「金産自工」という。)における労使紛争の経過等の概要は、次の通りである。

1 北陸機械は、昭和五十年一月に倒産し、金沢地方裁判所(以下「金沢地裁」という。)に対し、会社更生法に基づく更生手続開始申立てを行つたが、金沢地裁は、同法の規定に基づき、その申立てを棄却した。その後、同年五月、北陸機械は、従業員全員に対して解雇予告を行つたと聞いている。

2 オリエンタルチェーンにあつては昭和四十九年八月に、金産自工にあつては昭和四十八年三月に、それぞれ労働組合が分裂したが、この前後にオリエンタルチェーン、金産自工等による組合活動に対する支配介入、組合からの脱退強要、団体交渉拒否等があつたとして、関係地方労働委員会に対し、不当労働行為救済申立てが行われていると聞いている。

二について

1 北陸機械については、所轄労働基準監督署が、総評全国金属労働組合石川地方本部北陸機械支部(以下「北機支部」という。)の役員からの申告に基づき監督を実施したところ、昭和五十年一月以降の賃金及び退職金が支払われていなかつたので、北陸機械に対し、これを是正するよう勧告を行つた。その結果、同年一月、二月及び三月分の賃金については、その全額が支払われたが、同年五月十九日現在、同年四月分賃金の一部及び退職金の全部が未払いとなつている。

2 政府としては、賃金の不払いが労働者及びその家族の生活に重大な影響を与えることにかんがみ、不払いの事態が解消されるよう今後とも監督指導に努めてまいりたい。
  なお、北陸機械の今後の問題については、現在、北陸機械からの破産申立てに関し、金沢地裁において審理が行われている等の段階であるので、政府としては、これを見守つてまいりたい。

三について

1 北機支部及び総評全国金属労働組合石川地方本部オリエンタルチェーン支部(以下「オリエンタル支部」という。)の役員から、北陸機械及びオリエンタルチェーンの事業場において、労働基準法等の違反の事実があるとして、それぞれ所轄労働基準監督署に対し、昭和四十九年九月以降七件の申告及び二件の告発が行われた。所轄労働基準監督署が申告又は告発に係る事業場に対して臨検監督又は捜査を実施したところ、労働基準法第二十四条、第三十九条等の違反の事実が認められたので、申告に係る法違反については、これを是正するよう勧告を行い、告発に係る法違反については、所轄地方検察庁へ送付し、同地方検察庁は、現在、捜査中である。

2 なお、総評全国金属労働組合石川地方本部日野車体支部(昭和五十年三月三十一日以前は、総評全国金属労働組合石川地方本部金産自動車工業支部と称していた。以下「金産支部」という。)の役員から、金産自工の事業場において、労働基準法違反の事実があるとして、昭和五十年五月一日に所轄労働基準監督署に対し行われた申告については、現在、調査中である。

四について

1 オリエンタルチェーンにおいては、オリエンタル支部等は、昭和四十九年八月から同年十二月までの間に、石川県地方労働委員会(以下「石川地労委」という。)に対し、オリエンタルチェーンが、支配介入、団体交渉拒否及び不利益取扱いを行つたとして二件の不当労働行為救済申立てを行い、これらの事件は、いずれも、現在、石川地労委に係属中であると聞いている。

2 金産自工においては、金産支部等は、昭和四十八年二月から昭和四十九年六月までの間に、石川地労委に対し、金産自工が、支配介入、団体交渉拒否及び不利益取扱いを行つたとして四件の不当労働行為救済申立てを行い、これらの事件のうち三件については、昭和四十八年十二月、申立ての一部を認める命令が出され、他の一件については、現在、石川地労委に係属中であると聞いている。
  金産自工は、この救済命令を不服として、これを履行せず、同月、中央労働委員会に再審査申立てを行い、この事件は、現在、中央労働委員会に係属中である。
  また、総評全国金属労働組合は、昭和四十八年八月、東京都地方労働委員会に対し、金産自工及び日野自動車工業株式会社を被申立人として、両社が団体交渉拒否を行つているとして、不当労働行為救済申立てを行い、この事件は、現在、東京都地方労働委員会に係属中であると聞いている。
  裁判所に対する仮処分申請等については、金産支部等は、昭和四十八年六月から昭和四十九年二月までの間に、金沢地裁に対し、組合活動妨害排除、団体交渉拒否禁止等を求めて二件の仮処分申請を行い、これらの事件のうち一件については、昭和四十八年七月裁判上の和解が成立し、他の一件については、金沢地裁は、昭和四十九年三月、「金産自工は総評全国金属労働組合石川地方本部と誠実に団体交渉せよ」との内容の仮処分決定を行つたが、金産自工は、この決定を不服として履行せず、この事件は、現在、本案訴訟として金沢地裁に係属中であると聞いている。
  このほか、昭和四十九年八月、金産支部組合員一名が金沢地裁に対し、地位保全等仮処分申請を行い、金沢地裁は、同年十月、申請認容の仮処分決定を行つたところ、金産自工はこの決定に従い賃金を支払つていると聞いている。なお、この事件は、現在、本案訴訟として金沢地裁に係属中であると聞いている。

五について

 株式会社協和銀行から事情を聴取したところ、同銀行は、昭和四十九年四月十五日に同銀行金沢支店長がオリエンタル支部の委員長の訪問を受け面会したのは事実であるが、その際、同支店長は協和銀行は労使関係の問題に介入するものではない旨を述べただけであると説明している。また、同銀行は、オリエンタルチェーンの経営状況にかんがみ、オリエンタルチェーンの取引銀行としての立場からオリエンタルチェーンに対し再建案の提出を求めたことはあるが、賃金引上げの停止を求める等労使問題に介入した事実はないと説明している。

六について

 石川県警察本部では、オリエンタルチェーンにおいて昭和四十九年九月二日、十六日及び十七日に発生した事件につき、同年九月二十四日、オリエンタルチェーン労働組合の役員三名を暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、威力業務妨害罪等で検挙し、同年九月二十五日金沢地方検察庁に送致し、同地方検察庁は、同年十二月二十八日不起訴処分とした。
 また、金産自工において同年八月十七日及び九月九日に発生した事件につき、金産自工幹部及び金産自動車工業新労働組合の役員ら十三名を、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、器物損壊罪等で検挙し、同年九月二十六日から十月二十八日までの間に金沢地方検察庁に送致し、同地方検察庁は、昭和五十年五月二十三日八名を起訴し、その余の五名を不起訴処分とした。

七について

 政府としては、これらの事案が地域社会に及ぼす影響等にかんがみ、これまで、関係機関を通じ情勢のは握等に努めてきたところであるが、今後、労使当事者の自主的解決への努力を期待しつつ、紛争の解決促進のために採り得る諸措置について更に検討を進めるとともに、労使の話合いを促進する等紛争の早期かつ円満な解決のために努力してまいりたい。

 右答弁する。




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