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答弁本文情報

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昭和五十一年六月十八日受領
答弁第一八号
(質問の 一八)

  内閣衆質七七第一八号
    昭和五十一年六月十八日
内閣総理大臣 三木武夫

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員村上弘君外一名君提出大阪国際空港周辺整備事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員村上弘君外一名君提出大阪国際空港周辺整備事業に関する質問に対する答弁書



一について

@ 移転補償及び民家防音工事については、「航空機騒音に係る環境基準」(昭和四十八年環境庁告示第百五十四号)の達成を目標としつつ、当面現行指定区域内の民家を対象として事業を実施しており、昭和五十年度までの実績は、移転補償三百八戸、民家防音工事四千二百八十七世帯である。

A 代替地造成事業については、移転補償と密接な関連があるので、それに対応し得るよう実施することとしており、昭和五十年度までの実績では五百九区画、十一万六千七百七十五平方メートルを取得している。

B 緑地帯整備については、昭和五十一年度より発足を予定しているもので実績がなく、また、再開発事業についても、再開発用地の処分計画の検討に日時を要すること等により特に実績といえるほどのものはない。また、これらの事業の達成予定年度については、事業の性格上、関係地方公共団体の協力の程度等によつてかなり影響されるものであるので、明確に定めることはできない。

C 現在、大阪国際空港周辺における環境対策事業をもその内容に含んでいる第三次空港整備五か年計画を閣議決定するよう検討中であるが、各年度の事業量等については、同計画による全体事業量の達成を目標としつつ、当該各年度の予算において決定することとなる。

二について

 共同住宅建設促進事業については、昭和五十年度既成住宅の買取りにより約四億円の予算を執行済みであり、四十世帯分を用意しているところであるが、今後とも事業の進ちよくを図ることとしたい。
 なお、昭和五十一年度については、約一億円の事業費を計上しているが、具体的内容については検討中である。

三について

@及びA 航空機騒音による障害の主体となつているものは、日常会話の中断、テレビ視聴及び電話聴取の妨害、家庭団らんの妨害等の生活妨害であつて、それらの生活活動は、通常、日常生活の中心である居間で行われるものであるから、現行制度である一室防音(五人以上の世帯については二室)によつて、障害の大部分は解消することができると考える。
  なお、新幹線沿線の防音工事については、新幹線の運行時間が通常人の生活時間帯からみた場合、睡眠時間帯と重複することもあり、主に昼間の生活妨害を主体とする航空機騒音防止のための防音工事とは工事内容にも相違を生ずるものである。

B 工事費以外の空調器の維持費などの関連費用は、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律(昭和四十二年法律第百十号)第八条の二による助成の措置の対象とはなつていない。

四について

 大阪国際空港周辺整備機構が実施する代替地造成事業においては、いわゆる公共部分の土地購入費及び造成費の二分の一を空港整備特別会計から補助することとしている。更に、補助を受けない部分についても、同特別会計及び地方公共団体からの無利子融資や財政投融資の導入の措置により、全体の資金コストはかなり低くなつており、現行の代替地造成事業に関する助成制度でも必ずしも不十分ではないと考えている。
 なお、代替地の分譲価格と移転補償額のかい離については、主として両者の一区画当たりの規模のかい離に原因があるものと考えられるが、用地が建築基準法に基づく建ぺい率の規制の厳しい地域内にあることもあつて、移転前と同規模の住宅を新たに建設する場合は、従来よりも広い敷地が必要となることから、ある程度やむを得ないものと考えている。

五について

@ 大阪国際空港の周辺地域における地価については、諸般の資料に基づき検討したところ、航空機騒音の影響による低下額を具体的に算出することは困難な実情である。

A 移転補償(宅地買取り)価格の算定に当たつては、近傍類地の取引価格を基準とし、土地の価格形成上の諸要素を総合的に考慮しており、現に行われている補償価格が実態に即さないものとは考えない。

六について

@ 原因者を航空企業と考えるか空港設置者と考えるかは別として、現在、再開発事業も含め大阪国際空港周辺整備機構の行う事業の資金構成は、総事業費から事業収入を除いたもののうち、約二割について大阪国際空港周辺整備機構が債券を発行して自ら調達することになつているが、その他の大部分は、空港整備特別会計の無利子融資や財政投融資であり、国の責任において供給されている。

A 御指摘の点については、関係地方公共団体とも協議、調整しつつ、空港周辺整備計画に従つて効率的に跡地利用を進めるよう検討することとしたい。

B 「再開発」区域内における自治体による公共事業に対する助成については、必ずしもそのすべてが航空機騒音対策と関連のあるものではないこと等問題点が多く、更に検討すべきものと考える。

七について

@ 現行の大阪国際空港周辺整備計画は、その策定主体が関係都道府県知事であるので、関係住民の意向は反映されることとなつており、基本的にはその判断にゆだねられるべきものと考えるが、関係都道府県と密接に協議、調整していきたいと考える。

A 移転は、あくまでも任意であるため、今後の地域社会の様相が必ずしも明らかではなく、したがつて、商店の転廃業やそれに伴う住民の生活上の不便といつた問題がどの程度具体化するのか、また、移転が進行中の過渡的な現象であるのか否かといつた点が現時点では明らかではない。

B 移転跡地の管理については、従来から防犯上、衛生上の問題が生ずることのないよう雑草駆除等を行つているところであるが、更に今後とも実情をは握の上、配慮してまいりたい。移転跡地の住民への開放については、当該跡地の利用を含め、関係地方公共団体の意向も徴しつつ、全体的な周辺整備事業の将来計画の一環として検討すべきものと考える。

C 代替地造成事業、再開発事業等については、大半の資金が国の責任において供給されており、特に事業遂行上住民に大きな負担を強いるといつた性格のものとは考えていない。

 右答弁する。




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