衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
昭和五十三年三月七日受領
答弁第一〇号
(質問の 一〇)

  内閣衆質八四第一〇号
    昭和五十三年三月七日
内閣総理大臣 福田赳夫

         衆議院議長 保利 茂 殿

衆議院議員土井たか子君提出特許協力条約に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員土井たか子君提出特許協力条約に関する質問に対する答弁書



一について

 特許協力条約(以下「条約」という。)作成に当たり、米国は、条約第二十七条(3)(国内的要件)及び第六十四条(4)(a)(留保)の規定を自国の特許法等との関連からそう入することを特に主張したと承知している。

二について

 米国は、自国の特許法に第四部として特許協力条約に関する規定(第三十五章(定義)、第三十六章(国際段階)及び第三十七章(国内段階)から成る。)を新設するとともに、同法の関連規定(第六条、第四十一条、第四十二条、第百二条、第百四条、第百十二条、第百十三条、第百二十条及び第二百八十二条)を改正したと承知している。

三及び六について

 条約作成に当たり、我が国が我が国の工業所有権法との関連から修正又はそう入を提案し条約に取り入れられた条項としては、条約第二条(@)及び(A)(定義)、第九条(2)(出願人)、第二十四条(1)(指定国における効果の喪失)並びに第二十七条(2)(@)(国内的要件)がある。

四について

 御質問の各国が条約第六十四条(留保)の規定に基づいて行つた宣言は、次のとおりであると承知している。なお、ドイツ連邦共和国は、この種の宣言を行つていない。

 米国  第六十四条(1)(a)、(3)(a)及び(4)(a)の規定に基づく宣言
 ソヴィエト連邦  第六十四条(5)の規定に基づく宣言
 スイス  第六十四条(1)(a)の規定に基づく宣言

 各国の留保理由は必ずしも明らかではないが、米国については、第六十四条(1)(a)に関しては国内の審査システムと国際予備審査システムとの相違があるため、同条(3)(a)及び(4)(a)に関しては国内法との整合性を維持するためであるといわれている。
 我が国としては、第六十四条(2)(a)の規定に基づく宣言を行うか否かについて、現在検討中である。

五について

イ 御質問の中間報告は、工業所有権審議会制度改正部会が行つたものであり、国際予備審査の実施により若干の事務負担が生ずると考えたものと承知している。

ロ 中間報告の判断は、当時、米国が第六十四条(1)(留保)の規定に基づき第二章(国際予備審査)の規定を留保していたほか、フランスも留保を検討中であつたためであると承知している。

七について

 御質問の措置は、我が国の工業所有権法との関係においては予定されていない。

八について

イ 条約作成過程において、原語の国際出願との関係における国際出願の翻訳文の位置付けを明確にするよう求めた。

ロ 第四十六条(国際出願の正確でない翻訳)は、正確でない翻訳により狭められた部分を回復する補正については規定しておらず、条約の作成経緯を勘案すれば、この補正を認めるかどうかの問題の取扱いについては、各国の国内法により措置することができるものと解される。

ハ 国内の審査過程における原語の国際出願を参照する義務の有無については、条約上明文の規定はなく、条約の作成経緯を勘案すれば、翻訳文のみに基礎を置いて審査を行うことができるものと解される。

ニ 第四十六条は、国際出願に基づいて与えられた特許の範囲が原語の国際出願の範囲と完全に異なるような場合とは関係がない。

九について

 第三十九条(1)(a)(選択官庁に対する国際出願の写し及び翻訳文の提出並びに手数料の支払)の規定において、国際予備審査が請求された場合における翻訳文の提出期間が、優先日から二十か月ではなく二十五か月とされているのは、出願人が国際予備審査報告を入手するための期間が考慮されたことによるものである。
 第六十四条(2)(a)(i)(留保)の規定が設けられているのは、国際出願の処理又は審査に当たつて翻訳文を要求する国が、その事情に応じ、翻訳文の提出期間を国際予備審査の有無にかかわらず、一律のものとすることができるようにするためである。

 右答弁する。




経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.