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答弁本文情報

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昭和五十四年六月十九日受領
答弁第三六号
(質問の 三六)

  内閣衆質八七第三六号
    昭和五十四年六月十九日
内閣総理大臣 大平正芳

         衆議院議長 (注)尾弘吉 殿

衆議院議員斎藤実君提出自閉症対策と療育に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員斎藤実君提出自閉症対策と療育に関する質問に対する答弁書



一について

 自閉症については、その原因、診断・治療方法等が学問的に解明されていない段階にある。
 このため、従来より厚生省の心身障害研究費による研究(以下「心身障害研究」という。)の主要項目の一つとして自閉症の研究を進め、その原因究明及び診断・治療方法の確立に努力しているところであり、今後ともこの研究の推進に努めてまいりたい。

二について

 自閉症は、精神発達障害に起因する特異な行動を特徴とする症候群とされ、理学症状を呈する疾病とは異なり、明確に診断基準を設けることには種々困難な面があるが、基準設定の重要性にかんがみ、昭和五十三年度から心身障害研究の中で特に一テーマを設け、「自閉症の診断基準に関する研究」を行つているところである。自閉症の診断基準を設けることについては、この成果を踏まえて対処してまいりたい。

三について

 心身障害の早期発見、早期治療等のため、三歳児健康診査のほか、乳幼児健康診査、一歳六か月児健康診査、新生児に対する先天性代謝異常等検査など、発育時期に応じた健康診査を制度化しているところである。
 また、昭和五十四年度から家庭保健基本問題検討委員会を開催し、心身障害の発生防止、早期療育対策等を確立すべく母子保健の基本問題の検討に着手することとしている。

四について

 乳幼児の健康診査は、精神、身体、行動及び言語の発達の状況、異常の有無等について総合的に行うこととしている。
 特に、一歳六か月児健康診査は、身体及び精神の発達の面で歩行、言語等発達の標識が容易に得られる一歳六か月の時点において健康診査を実施することにより、運動機能、視聴覚等の障害、精神発達の遅滞等のある児童を早期に発見し、心身障害の進行を未然に防止することに重点を置いているものである。
 また、乳児健康診査及び三歳児健康診査では、一般健康診査を行つた上で必要な者には精密健康診査を行つているところである。

五について

 昭和四十四年度から実施している自閉症児療育事業は、自閉症児を厚生大臣の指定した自閉症児の療育を行う施設(以下「自閉症児施設」という。)に受け入れ、医学的管理の下で必要な療育を行うことを目的とするものであり、自閉症児施設の運営費については、医療費、自閉症児指導費、日用品費等の自閉症児治療訓練費に関し、国庫補助を行つているところである。
 しかし、自閉症については、診断・治療方法等が必ずしも明確になつていない面があり、現在、心身障害研究によつて、その療育体系のあり方も含め研究を進めているところでもあるので、今後新たに自閉症児療育事業による自閉症児施設を整備していくことについては、この研究成果を踏まえて対処してまいりたい。

六について

 保育所においては、自閉症児を含む心身障害児であつても、保育所での保育になじむ児童であれば、保育に欠ける限り一般児童と同様に受け入れていくべきものと考えており、このため、昭和四十九年度以降、一定の障害のある児童を受け入れる保育所に対して特別の助成措置を講じ、障害児の受入れの円滑化を図つてきているところである。
 また、私立幼稚園においても自閉症児を入園させている場合には教育費の一部を補助することとしている。

七及び八について

 成人を対象とした自閉症児施設と同様な施設を設置するかどうかについては、年長化に伴う自閉症の症状の変化、成人向けの特別な療育方法等の問題を検討することが必要であると考えている。
 このため、心身障害研究によりこれらの問題も含めて研究を進めているところであり、その結果を踏まえて、療育施設の設置とその助成措置等成人のための特別対策の必要性の有無について検討してまいりたい。

九について

 自閉症患者の処遇については、障害の状況、療育のあり方等に種々の問題があり、現在、これらの問題について、心身障害研究の中で研究を進めているところであり、自閉症に関する総合的な施策については、法制化の必要の有無を含めその研究の成果をみながら慎重に検討してまいりたい。

 右答弁する。




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