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答弁本文情報

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昭和五十四年七月十日受領
答弁第四七号
(質問の 四七)

  内閣衆質八七第四七号
    昭和五十四年七月十日
内閣総理大臣 大平正芳

         衆議院議長 (注)尾弘吉 殿

衆議院議員(注)長亀次郎君提出沖繩県の雇用及び失業問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員(注)長亀次郎君提出沖繩県の雇用及び失業問題に関する質問に対する答弁書



一について

 沖繩県における厳しい雇用失業情勢に対処するためには、基本的には産業の振興を図り、県内に雇用機会を確保することが必要であり、このため、公共事業の拡大による社会資本の充実等産業基盤の整備や産業の近代化を推進しているところであるが、これと併せて広域職業紹介の積極的な推進等に努めているところであつて、昭和五十四年度予算において、所要の措置を講じているところである。

二について

 政府としては、日米安全保障条約に基づく米軍施設・区域の存在は、我が国の安全並びに極東の平和及び安全に寄与していると考えているが、米軍による施設・区域の使用に当たつて、国民の生命の尊重と安全の確保に万全を期すべきことは言うまでもなく、施設・区域の運用面で生じ得る障害の防止軽減については、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律等により所要の措置を講じてきているところである。
 また、施設・区域の密度が高い沖繩の実情にかんがみ、沖繩振興開発の推進と日米安全保障条約の目的達成との調和を図りつつ、沖繩振興開発計画の趣旨に沿い、先に日米安全保障協議委員会において了承された施設・区域の整理統合計画の実施を図つているところであるが、今後とも、その推進に努めていく考えである。

三について

 沖繩県における産業の振興を図るため、沖繩振興開発計画に基づき、道路、空港、港湾等の交通基盤の整備、農業基盤の整備等の産業基盤の整備を強力に進めることにより産業振興のための基礎条件の整備に努めてきたほか、共同利用施設の整備、業種別近代化の推進、沖繩振興開発金融公庫からの出資及び融資等により産業の近代化を推進してきたところである。

四について

@ 沖繩県の地場産業は、県経済の中で重要な役割を担つているが、小規模零細企業が非常に多く、経営基盤はぜい弱かつ不安定である等種々の問題を有している。このため、沖繩振興開発金融公庫からの出資及び融資の充実、税制面での優遇措置等の特別の措置をも講じて、企業構造の高度化、設備の近代化等企業経営の改善合理化を促進してきたところである。
  また、織物、染物等伝統工芸産業の振興を図るため、共同利用施設の建設促進、伝統工芸品の需要拡大、後継者の育成等の事業を実施してきたところである。

A 農林水産業の振興については、沖繩振興開発計画に基づき、沖繩県の立地条件、自然条件に即応した農林水産業の発展を図るべく、諸般の施策の推進に努めているところである。
  すなわち、農業については、土地基盤の整備、機械化、病害虫防除対策等を推進し、基幹作物であるさとうきびをはじめ、肉用牛及び豚を主軸とした畜産、沖繩県の気候を有効に利用した野菜、パインアップル等の生産振興を図つてきたところである。
  また、林業については、沖繩林業振興特別対策事業のほか、治山、造林、林道事業等林業振興のための各種施策を実施しているところである。
  更に、水産業については、沖繩県水産業構造改善特別対策事業のほか、漁港の整備、漁場の整備、開発等を推進し、その振興に努めてきたところである。

B及びC 沖繩県の振興開発を推進していくためには、第一次産業から第三次産業までの全産業分野にわたり、沖繩県の特性を生かした産業振興を進めていく必要があり、沖繩振興開発計画においても、亜熱帯性気候、海洋性自然、地理的位置等の有利性を生かして、特色ある産業の振興を図ることとしている。
  このため、次のような施策を進めている。

 (1) 沖繩県の基幹作物であるさとうきびをはじめとして豊富な草資源を利用した肉用牛、本土の端境期に向けた野菜、パインアップルを中心とした果樹等の亜熱帯性農業の振興を目指して生産基盤の整備及び経営の近代化を推進する。

 (2) 海面、内水面における増養殖漁業を振興することとして、このために必要な漁場の改良造成及び養殖技術の開発を図る。

 (3) 沖繩県の自然と風土を生かした観光産業を育成するため、交通基盤の整備及び観光施設の整備を推進するとともに、各地域の特色を生かした伝統工芸を振興する。

五及び六について

 沖繩振興開発計画の実施によつて、就業者については、逐年その増加をみているものの、現在のところ新規工業の立地が必ずしも計画において期待したようには進んでいないこと等によつて県内の雇用機会が不足している一方、本土復帰に伴ういわゆる復帰失業者及び米軍基地の整理統合に伴う関係離職者の発生、県外就職者のいわゆる「Uターン」が多いこと、労働力人口の増加率が全国平均を上回つていること等の理由によつて依然として厳しい雇用失業情勢にある。
 沖繩県における失業者の雇用を促進するためには、基本的には沖繩県の産業を振興して県内に雇用機会を確保することが必要であるが、それとともに、広域職業紹介の積極的な推進を図るほか、中高年齢者雇用開発給付金、沖繩振興開発特別措置法による失業者吸収率制度等の積極的運用によつて雇用の促進に努めてまいりたい。
 また、沖繩振興開発計画については、今後とも昭和五十七年三月の計画期間終了時まで目標達成のための努力を続けていくこととしており、同計画を延長するか、又は新計画を策定するかどうかについては、計画目標の達成状況、沖繩県の経済社会情勢等を十分判断して行う必要があるので、今後そのための種々の調査を進めるとともに、沖繩振興開発審議会等における検討審議の結果をも踏まえて対処したいと考えている。

七について

@ 公共職業安定所の求職者のうち駐留軍関係離職者も含めて雇用保険や就職促進手当の受給期間が満了した者等約五千人(回答者千百十六人)を対象に沖繩県で昭和五十三年八月に行つた調査の結果の概要は、次のとおりである(()内の数字は、回答者に占める割合(パーセント)を示す。)。

 ○回答のあつた者の年齢別構成
  「四十五歳未満」  七百八十六人(七十・四)
  「四十五歳以上」  三百三十人(二十九・六)

 ○調査時の状況
  「失業中である」  四百二十七人(三十八・三)
  「就職している」  百九十五人(十七・五)
  「自営業又は家業を手伝つている」  八十六人(七・七)
  「臨時・日雇・アルバイト・内職をしている」  二百二十一人(十九・八)
  「家事をしている・その他」  百八十七人(十六・七)

 ○仕事を捜しているかどうか
  「捜している」  七百二十八人(六十五・二)
  「捜していない」  三百八十八人(三十四・八)

A 就職促進手当の受給期間が満了した後もなお再就職ができない者については、職業転換給付金制度や特定求職者雇用奨励金、特例就職資金貸付等の積極的運用によつて再就職の促進に努めてまいりたい。

七B及び八について

 失業対策として、特別の事業を起こして一時的に失業者を吸収する方式については、これまで必ずしも再就職の促進につながらなかつた経緯があるため、現在、沖繩県においては、沖繩振興開発計画に基づく産業振興の施策を積極的に実施して雇用機会の増大を図ることを基本としつつ、就職促進手当、中高年齢者雇用開発給付金等の積極的運用による一般常用雇用への再就職の促進、沖繩振興開発特別措置法に基づく失業者吸収率制度による公共事業における失業者の就労促進等に努めているところであり、今後とも民間における雇用の場の活用について更に努力を重ねることとしているので、御指摘のような事業を実施することは考えていない。

九について

 @及びA 沖繩県に「Uターン」してくる者は最近においては減少をみているが、なお一層の広域職業紹介の効果を上げるため、沖繩県に広域職業紹介相談員を、また県外就職者の受入県に就職援護相談員を配置して、県外就職者に対し、就職前における職業情報の提供、就職指導の徹底、就職後における職場定着指導の強化等に努めているところである。

 B 他県の事業所を離職し、沖繩県内の公共職業安定所で雇用保険の受給資格の決定を受けた者について昭和五十年度から沖繩県で行つた調査によれば、その概要は、次のとおりである(()内の数字は、調査総数に占める割合(パーセント)を示す。)。

 ○年度別の人数
  「昭和五十年度」  三千八百七十六人
  「昭和五十一年度」  二千八百八十八人
  「昭和五十二年度」  二千七百五十五人

 ○沖繩県に「Uターン」した理由(昭和五十二年度の場合)
  「県内で就職したい」  千八百九十人(六十八・六)
  「家庭の都合」  三百四十一人(十二・四)
  「その他」  五百二十四人(十九・〇)

 ○「Uターン」した者の雇用保険の受給資格決定時の年齢(昭和五十二年度の場合)
  「十九歳以下」  三百六十四人(十三・二)
  「二十歳以上二十四歳未満」  千四百六十八人(五十三・三)
  「二十五歳以上二十九歳未満」  五百九十六人(二十一・六)
  「三十歳以上」  三百二十七人(十一・八)

 ○「Uターン」した者の雇用保険の受給資格決定に係る離職日までの勤務年数(昭和五十二年度の場合)
  「一年未満」  三百八十六人(十四・〇)
  「一年以上二年未満」  七百三十三人(二十六・六)
  「二年以上三年未満」  五百九十人(二十一・四)
  「三年以上四年未満」  四百六十五人(十六・九)
  「四年以上」  五百八十一人(二十一・一)

 右答弁する。




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