答弁本文情報
昭和五十四年九月七日受領答弁第一号
内閣衆質八八第一号
昭和五十四年九月七日
衆議院議長 ※(注)尾弘吉 殿
衆議院議員加地和君提出一般消費税の実施による国、地方の経費増大に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員加地和君提出一般消費税の実施による国、地方の経費増大に関する質問に対する答弁書
一般消費税(仮称)については、昨年十二月税制調査会からその導入についての答申を受け、政府においては、現在、同答申の「一般消費税大綱」を踏まえて、その具体的仕組みを検討中であるが、それぞれの質問について現段階での考え方を述べれば、以下のとおりである。
一について
一般消費税の導入に伴う税収額については、一般消費税の税率、小規模零細事業者の納税義務者からの除外の水準及び現行個別消費税との間の具体的調整等について最終的な決定をみていないので、正確な数字をお示しすることはできないが、仮に税制調査会の答申を前提に、税率五パーセント、小規模零細事業者の納税義務者からの除外の水準を年間売上高二千万円等として試算すると、昭和五十四年度平年度ベースで地方消費税を含めおおむね三兆円弱程度になると見込まれる。
なお、税率及び小規模零細事業者の納税義務者からの除外の水準については、税制調査会からそれぞれ五パーセント(地方消費税を含む。)及び年間売上高二千万円とすることが適当である旨の答申を受けており、政府としてもその方向で、現在検討中である。
一般消費税の導入に伴う消費者物価指数の上昇の程度については、税制調査会の答申において食料品等を非課税とする措置や現行個別消費税との調整が予定されていること等を考慮して試算すると、おおむね税率の半分程度の率になるものと思われる。
一般消費税は、その負担を最終的に消費者に転嫁することを予定しているので、公務員も消費者として負担をすることとなるのは当然である。
公務員の給与水準は、民間の給与動向等を勘案の上、決定されるものであり、一般消費税導入と公務員の給与引上げとは直接の関係がないものと考える。
一般消費税は、その負担を最終的に消費者に転嫁することを予定している税であり、国及び地方公共団体も物品の購入等を通じ、消費者として負担をすることとなるのは確かである。
しかしながら、国及び地方公共団体の歳出水準は、その時々の社会・経済情勢、各歳出項目間のバランス等様々な要素を勘案の上、総合的に決定されているものであり、一般消費税の導入による負担の問題についても、このような歳出決定に際し勘案すべき一要素に過ぎないと考える。したがつて、一般消費税が導入されたとしても、直ちに経費増加をもたらすことになると考えるのは適当ではない。