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答弁本文情報

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昭和五十五年八月十九日受領
答弁第三号
(質問の 三)

  内閣衆質九二第三号
    昭和五十五年八月十九日
内閣総理大臣 鈴木善幸

         衆議院議長 福田 一 殿

衆議院議員榊利夫君提出大都市での経済地盤沈下地域の産業振興と中小企業対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員榊利夫君提出大都市での経済地盤沈下地域の産業振興と中小企業対策に関する質問に対する答弁書



一について

 大都市地域(東京都二十三区、名古屋市及び大阪市)における製造業の全国に占める出荷額、従業者数の割合は、近年一貫して減少する傾向にある。そのような中にあつて、中小製造業の割合は出荷額、従業者数のいずれにおいても高まる傾向にある。これは、環境立地問題等から大企業を中心とする工場分散が進展したこともあり、小規模企業を中心とした中小企業の比重が相対的に高まつたためと思われる。
 これを例えば東京都の中小企業についてみると、昭和五十年から昭和五十三年においては、電子機械器具製造業、一般機械器具製造業、金属製品製造業等の業種では、従業者数は漸減しているものの大企業に比べてその度合は緩やかであり、一方、出荷額は増大している。また、大都市の有する情報機能と密接な関係にある印刷業等の業種においては好調な伸びがみられる。
 中小企業は、大都市地域を含め地域経済において生産活動等の面で重要な役割を果たしており、今後とも安定的な発展が図られるべきであると考える。

二について

 大都市地域の中小企業に対しては、従来から、商工会議所、中小企業団体中央会等による指導、中小企業振興事業団による高度化事業に対する資金貸付け等の施策の充実に努めるとともに、地域経済振興の観点も踏まえ、産地中小企業対策臨時措置法に基づく産地振興対策を講じているところである。
 今後とも都市部における中小企業の発展のため、既存施策の活用を図るとともに、必要な措置があれば検討してまいりたい。

三について

 大都市地域の中小企業の実情については、統計の整備、実態調査の実施等により従来からそのは握に努めているところである。また、大都市地域の中小企業に対する施策については、その充実を図るため従来から見直しを行つてきているところである。

四について

1 工場共同利用事業制度は、昭和五十年度に創設されたものであり、昭和五十四年度末の全国の貸付け件数実績は二十五件である。
  本制度においては、事業の用に供する土地、工場等の取得、造成又は設置を中小企業者の依頼に応じ、中小企業振興事業団法施行令第二条に定める市等のうち都道府県知事が適当であると認めた者が代行する方法をとつている。
  東京都については、本制度の活用を図るため、昭和五十五年度において、工場等の設置等を中小企業者の依頼に応じ代行し得る者として、「特別区」を新たに加えたところである。

2 国は、都道府県(中小企業指導法施行令第二条に定める市を含む。3において同じ。)で計画され届出のあつた中小企業者に対する技術指導事業に要する経費について、予算の範囲内において、その経費の一部を補助しており、御指摘の件については、東京都から中小企業者に対する技術指導事業の実施に関する計画の届出を得た上で、検討することとしたい。

3 国は、都道府県で計画され届出のあつた中小企業者に対する技術指導事業に要する経費について、当該都道府県に対し、予算の範囲内において、その経費の一部を補助することができることとなつている。

4 電気料金等の値上げに伴い、不当な下請代金の切下げ等を行わないよう、昭和五十五年三月に、公正取引委員会事務局長及び中小企業庁長官の連名で親事業者に対し要請をしたところである。また、「不当返品」については、同年四月に、不当な値引き行為、不当な返品行為及び不当な買いたたき行為に関する下請代金支払遅延等防止法の運用基準を定め、その周知徹底を図つたところである。
  これらを踏まえ、今後、書面調査、立入検査等の強化により、不当な下請取引に対する取締りを一層強化してまいりたい。

5 下請代金の支払期日を給付を受領した日から起算して三十日の期間内において定めるべきものとすること並びに公正取引委員会及び中小企業庁が現在定めているいわゆる標準手形期間(繊維工業については九十日以内、その他の製造業については百二十日以内)を九十日以内にすることについては、下請事業者保護等の観点から慎重に検討してまいりたい。

6 労働災害の防止に関連する施設としては、

 (一) 産業災害及び職業性疾病を防止するための研究を行う施設(産業安全研究所、産業医学総合研究所)
 (二) 安全衛生教育に従事する指導員の養成及び資質の向上を図るための施設(安全衛生教育センター)
 (三) 化学物質等の有害性の検査を実施するための施設(日本バイオアッセイ研究センター(建設中)、労働衛生検査センター)
 (四) 労働者の健康診断等を行う施設(健康診断センター)

 等がある。

  労災医療を行う施設としては、都道府県労働基準局長が指定した医療機関(全国約二万箇所)のほかに、労災保険の療養施設として労災病院が全国に三十五箇所設置されており、更に現在茨城県鹿島郡に労災病院が建設されている。
  このほか、労災病院が設置されていない地域を中心に、労災病院の活動を補完し、労災患者に対する医療サービスの充実を図るため、既存の病院に病棟を併設し、その運営を委託する労災委託病棟が全国に十四箇所設置されている。
  リハビリテーション関係の施設としては、労災病院のリハビリテーション部門のほか、せき髄損傷者を対象とした治療から社会復帰までの一貫した施設として総合せき損センターが設置され、また、せき髄損傷者に対し、健康管理を行いながら適当な作業に従事させ自立更生を援助する労災リハビリテーション作業所が全国に八箇所設置されている。
  これらの施設については、逐年充実強化を図つているところであるが、今後とも労働災害の発生状況等を考慮して必要な整備拡充に努めてまいりたい。

7 中小企業に働く勤労者の福祉の増進と雇用の安定を目的とした宿泊、保養、スポーツ及び研修のための総合施設として中小企業レクリエーションセンターが全国六箇所に設置されているところである。現在、設置計画は終了しており、したがつて、東京城南地域についての設置は考えていない。

 右答弁する。




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