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答弁本文情報

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昭和五十六年五月二十九日受領
答弁第三二号
(質問の 三二)

  内閣衆質九四第三二号
    昭和五十六年五月二十九日
内閣総理大臣 鈴木善幸

         衆議院議長 福田 一 殿

衆議院議員稲葉誠一君提出「憲法、国際法と集団的自衛権」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員稲葉誠一君提出「憲法、国際法と集団的自衛権」に関する質問に対する答弁書



一から五までについて

 国際法上、国家は、集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもつて阻止する権利を有しているものとされている。
 我が国が、国際法上、このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然であるが、憲法第九条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであつて、憲法上許されないと考えている。
 なお、我が国は、自衛権の行使に当たつては我が国を防衛するため必要最小限度の実力を行使することを旨としているのであるから、集団的自衛権の行使が憲法上許されないことによつて不利益が生じるというようなものではない。

六について

 我が国は、国際法上、国際連合憲章第五十一条に規定する集団的自衛権を有しており、このことについて、日本国との平和条約第五条(C)は、「連合国としては、日本国が主権国として国際連合憲章第五十一条に掲げる個別的又は集団的自衛の固有の権利を有すること……を承認する。」と、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言第三項第二段は、「日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、それぞれ他方の国が国際連合憲章第五十一条に掲げる個別的又は集団的自衛の固有の権利を有することを確認する。」と、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約前文は、「両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し」と、それぞれ規定している。
 なお、我が国が集団的自衛権を行使することが憲法上許されないことについては、一から五までについてにおいて述べたとおりである。

七について

 御指摘の答弁は、その答弁に係る事態について、我が国の自衛権の行使が認められる余地があるという趣旨のものではない。このことは、同答弁の直前において、「わが国に対する武力攻撃があつた場合に日本の個別的自衛権は限定された態様で発動できるというだけのことでございますから」と述べていることからも明らかである。

八について

 御指摘の答弁は、我が国が、国際法上、主権国家として、集団的自衛権を有していることを説明したものである。

 右答弁する。




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