答弁本文情報
昭和五十六年五月八日受領答弁第三四号
(質問の 三四)
内閣衆質九四第三四号
昭和五十六年五月八日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 中※(注)根康弘
国務大臣 中※(注)根康弘
衆議院議長 福田 一 殿
衆議院議員小沢貞孝君提出五万円札の発行に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員小沢貞孝君提出五万円札の発行に関する質問に対する答弁書
一について
政府としては、現在のところ、五万円札を発行する考えはない。
政府としては、五万円札の発行準備に取り掛かるべきかどうかについては、なお今後の経済取引の動向、一万円札の流通状況等を見守り、慎重に対処してまいりたい。
政府の考え方は、次のとおりである。
1 五万円札の発行が、銀行その他多額の現金を扱つているところでは事務の合理化に資することとなるのは御指摘のとおりであるが、五万円札等の高額紙幣を発行するかどうかは、基本的には、国民の現金種類に対する需要の動向及び高額紙幣の発行による心理的影響等をも含めた総合的見地から慎重に検討すべきである。
2 補助貨幣発行残高に占める百円貨幣の金額構成比よりも、日本銀行券発行残高に占める一万円札の金額構成比の方が高いことも御指摘のとおりであるが、日本銀行券と補助貨幣では、おのずとその役割が異なつており、その比率を同列には論ずることはできない。
このところ、日本銀行券発行残高に占める一万円札の金額構成比は、八十三パーセント程度で比較的落ち着いた推移をしており、過去において高額紙幣を発行した際の同様の比率(八十七パーセントから八十八パーセント)を相当下回つている。
3 以上から、現在、五万円札がないために、国民生活全般にわたつて特に支障があるというような状況にはないと考える。