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答弁本文情報

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昭和五十六年五月二十九日受領
答弁第三九号
(質問の 三九)

  内閣衆質九四第三九号
    昭和五十六年五月二十九日
内閣総理大臣 鈴木善幸

         衆議院議長 福田 一 殿

衆議院議員(注)崎弥之助君提出核積載艦船の我が国領海内通過に対するライシャワー発言に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員(注)崎弥之助君提出核積載艦船の我が国領海内通過に対するライシャワー発言に関する質問に対する答弁書



一について

1 核装備を有する米軍艦の我が国への寄港及び我が領海の通過が事前協議の対象となるということは、合衆国軍隊の装備における重要な変更を事前協議の対象とする交換公文の規定及びいわゆる藤山・マッカーサー口頭了解から十分に明らかであり、この点に関し日米間に了解の違いはないと考える。

2 御指摘の内閣官房長官の発言は、核装備を有する米軍艦の我が国への寄港が事前協議の対象となるということは、いわゆる安保国会当時既に政府として説明しているところであり、佐藤内閣の前後を通じ政府の考え方は一貫しているという趣旨を述べたものである。

3 核装備を有する米軍艦の我が領海の通過については、政府は、いわゆる安保国会当時からそのような通過が一般国際法上の無害通航に該当する場合には事前協議の対象とならないとの見解を明らかにしていたところである。その後、昭和四十三年の国会において領海及び接続水域に関する条約について審議が行われた際、国会における論議、当時政府が政策として打ち出した非核三原則等を踏まえて、一般国際法上の無害通航制度について改めて検討した結果、政府は、核装備を有する外国軍艦の我が領海の通過は無害通航とは認めないとの考え方を昭和四十三年四月十七日衆議院外務委員会において政府統一見解として明らかにした。この統一見解以後は、核装備を有する米軍艦の我が領海の通過は無害通航に該当せず、核の持込みという観点から事前協議の対象となるというのが、政府の見解である。この点については、昭和四十九年十二月二十五日参議院内閣委員会における政府統一見解においても明らかにしているところである。

4 御指摘の質問主意書に対する答弁書については、日米安保条約とは離れて一般国際法の問題として答弁したものである。

二について

 地位協定第五条は、「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によつて、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるもの」は、我が国の港又は飛行場等に出入することができる旨規定しているが、これは、一般国際法上軍艦又は軍用航空機の外国の港又は飛行場等への出入については、当該外国の許可を要することとされていることとの関連で、同条に規定する船舶又は航空機の出入自体についてその都度我が国の許可を要しない旨を定めた規定である。
 他方、装備における重要な変更に関する事前協議制度は、船舶又は航空機の出入自体を対象としているものではなく、装備という観点からその重要な変更を対象としているものであり、地位協定第五条とは別の観点から設けられているものである。
 したがつて、核装備を有する米軍艦の我が国への寄港及び我が領海の通過については、当該艦船の出入等とは別に、当該艦船に装備されている核の持込みという観点から、事前協議なくしてこれを行い得ないものである。
 以上から明らかなとおり、地位協定第五条と事前協議制度との間に何らの矛盾もない。

三について

 御指摘の昭和四十五年の米国上院外交委員会安全保障取極及び対外約束小委員会聴聞会議事録一四五二ページの削除部分に関しては、既に昭和四十九年十二月に米国政府に照会し、米国政府から削除部分は核兵器に言及したものではなく、核兵器とは関係のないものである旨の回答を得ており、また、このことは、既に国会において説明しているところである。したがつて、米国政府に再度照会する必要はないと考える。

四について

 ライシャワー氏の御指摘の発言に係る事実は存在せず、御質問の点については、一についての1において述べたとおり、日米間に了解の違いはないと考える。
 更に、去る五月二十日の園田外務大臣とマンスフィールド駐日米大使との会談において、マンスフィールド大使は昭和四十九年十月のいわゆるラロック発言との関連で当時のインガソル米国務長官代理によつて表明された米国政府の見解を自ら確認したが、この確認は、今回のライシャワー氏の発言という背景の中で行われたものであることは御承知のとおりである。

 右答弁する。




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