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答弁本文情報

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昭和五十八年五月十三日受領
答弁第二〇号
(質問の 二〇)

  内閣衆質九八第二〇号
    昭和五十八年五月十三日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 福田 一 殿

衆議院議員草川昭三君提出徴用によりサハリンに残留させられた朝鮮人の帰還問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員草川昭三君提出徴用によりサハリンに残留させられた朝鮮人の帰還問題に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の問題については、日本政府としても人道問題として真に同情を禁じ得ない。政府としてもこの問題に深い関心を有するものであり、これら樺太残留朝鮮人の帰国実現につき、できる限りのことはしたいと考えている。

二について

 政府は、かねてからソ連政府に対し帰還希望者の実情調査を依頼する等の働きかけを行つており、昭和四十四年に韓国政府から提出された「引揚希望者名簿」を同年八月にソ連政府に渡し、同名簿に基づき出国希望者の実態調査及び出国希望者の存在が確認された場合の出国許可の可能性について検討を要請した。
 その後、昭和四十八年十月に内閣総理大臣レベルで、昭和四十七年一月から昭和五十三年一月までの間に五回にわたり外務大臣レベルで、さらに事務当局レベルでは十数回にわたり、この問題を公式、非公式にソ連側に対し提起している。
 最近では、昭和五十八年四月の日ソ事務レベル協議において日本側からこの問題を提起したのに対し、ソ連側は日本と話し合うべき問題ではないとの従来の立場を繰り返した。

三について

 昭和五十七年二月に日本赤十字社を通じて赤十字国際委員会に本件についての協力を要請し、その後赤十字国際委員会からの照会に対し詳細な資料を提出している。

四について

(1) 昭和五十七年六月から、戦後処理問題をどのように考えるべきかを検討するため、民間有識者からなる戦後処理問題懇談会が開催されているが、検討の過程で懇談会が具体的にどのような問題を取り上げるかは、基本的には懇談会において決定されるべきであると考える。昭和五十七年三月九日の衆議院予算委員会における総理府総務長官答弁は、この旨を表明したものである。

(2) 同懇談会は、現在、いわゆる恩給欠格者問題、シベリア強制抑留者問題及び在外財産問題を中心に、関係各省から、これまでに講じてきた施策等についてヒアリングを進めているところである。

五について

 昭和五十年以降これまでに樺太に残留する朝鮮人中百三十七世帯四百三十八人(うち韓国に帰還するため我が国を通過しようとする者百二十三世帯三百九十二人、我が国に定住しようとする者十四世帯四十六人)から入国許可申請があり、このうち百二十四世帯四百十一人(我が国を通過しようとする者百十五世帯三百七十六人、我が国に定住しようとする者九世帯三十五人)につきその入国申請を許可したが、そのほとんどの者がソ連から出国を認められていないため、実際に我が国に入国した者はこれらの者のうち三人(我が国を通過しようとする者一人、我が国に定住しようとする者二人)にすぎない。

六について

 政府としては、現在、樺太が日本の管轄下にないため、我が国としてなし得ることにはおのずから限度があるが、政府は、外務省を主務官庁とし、従来からソ連政府に対し実態調査を行うよう申し入れていることは二についてにおいて述べたとおりであり、今後とも人道的見地からこうした努力を続けてまいりたい。

 右答弁する。




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