答弁本文情報
昭和五十八年十月二十一日受領答弁第三号
内閣衆質一〇〇第三号
昭和五十八年十月二十一日
衆議院議長 福田 一 殿
衆議院議員河上民雄君提出神戸精糖株式会社の労使紛争に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員河上民雄君提出神戸精糖株式会社の労使紛争に関する質問に対する答弁書
一について
神戸精糖株式会社(以下「会社」という。)と名古屋精糖労働組合(以下「組合」という。)との間に昭和五十四年六月に発生した夏季一時金、労働協約の取扱い等を巡る労使紛争は、昭和五十五年十二月解決をみたが、その後、会社が昭和五十六年九月三十日、組合に対して、設備改善、人員削減等を骨子とする合理化案の提示を行つたことを契機として労使紛争が再燃し、労使の話合いが難航していたところ、会社は、昭和五十七年九月十日から休業に入り、同年十月二十日、工場閉鎖を行い、同年十一月十五日、従業員全員に対して、解雇の通知を行つたと聞いている。
こうした動きを巡り、昭和五十七年九月以降、会社及び丸紅株式会社(以下「丸紅」という。)に団体交渉拒否等があつたとして、組合から関係の地方労働委員会に対し不当労働行為救済申立てが行われたほか、従業員の解雇及び退職金の支払の問題に関して、関係の地方裁判所に対し仮処分申請等が行われ、また、退職金の支払の問題に関して、関係の労働基準監督署に対し申告が行われるなど、現在まで紛争が継続していると聞いている。
1 労働委員会については、組合から、兵庫県地方労働委員会に対し、昭和五十七年九月十日、会社を被申立人として休業に関して、また、同年九月二十二日、会社及び丸紅を被申立人として団体交渉の拒否に関して、さらに、同年十月二十七日、会社を被申立人として工場閉鎖、解雇に関して、それぞれ不当労働行為救済申立てが行われ、いずれの事件も、現在、同労働委員会に係属中であると聞いている。
なお、同労働委員会は、昭和五十八年一月二十八日、会社及び丸紅に対し、交渉により問題の解決に努力するよう要望する旨の要望書を出したと聞いている。
2 裁判所については、神戸地方裁判所に対し、昭和五十七年十一月十六日、組合から、会社を被申請人として(昭和五十八年五月四日、被申請人として丸紅が追加されている。)地位保全の仮処分申請が行われ、また、昭和五十七年十二月二十四日、会社に勤務していた従業員一名から、会社を被告として退職金全額の支払を求めて提訴が行われたが、両事件とも、現在、同裁判所に係属中であると聞いている。
3 労働基準監督署については、神戸東労働基準監督署に対し、昭和五十八年三月五日及び同年四月八日に、それぞれ、会社に勤務していた従業員一名から、退職金の支払の問題に関して申告が行われ、同年四月八日及び同年七月二十八日にいずれも処理済みとなつている。
御指摘の国有地は、神戸港港湾管理者である神戸市に対して、第三者に転貸することを目的として、貸し付けているものの一部である。
当該港湾管理者から会社に対し、転貸されている部分の概要は、次表のとおりである。
雇用の問題は基本的には労使間の問題であり、労使当事者が十分に話し合い、最善の策が採られるよう努力することが望ましいと考えており、従来から、その旨関係者に対し要請してきたところである。
1 砂糖精製業を特定産業構造改善臨時措置法の対象業種として指定した経過は、次のとおりである。
(一) 昭和五十八年九月二十日に砂糖精製業を同法第二条第一項第八号の業種として指定し(昭和五十八年政令第百九十九号)、同日、砂糖精製業を営む二十二社(会社を含む。)から同法第二条第二項に基づく申出を受理した。
(二) 昭和五十八年九月二十七日に砂糖精製業を同法第二条第一項の特定産業として指定した(昭和五十八年政令第二百七号)。
(三) 昭和五十八年十月一日に砂糖精製業の構造改善基本計画を告示した(昭和五十八年十月一日農林水産省告示第千七百八十六号)。
2 砂糖精製業に属する事業者は、今後、同法第四条の規定に基づき構造改善基本計画に定めるところに従つて自主的に構造改善を行うこととなるが、会社が当該計画に従つて設備処理等を行う場合には、同法の適切な運用に努めてまいりたい。
兵庫県は、本件労使紛争発生以来、累次にわたり、紛争の状況等について労使双方から事情聴取するとともに、労使間の話合いを促進するよう要望を行つていると聞いている。
また、神戸市市民局長及び経済局長は、昭和五十八年三月三十日、会社、組合及び丸紅に対し、紛争解決のために話合いを進めるよう要望する旨の要望書を出したと聞いている。
政府としては、これまで、関係者から紛争の状況等について事情を聴取するとともに、労使の話合いを促進する努力を行つてきたところであるが、今後においても、労使当事者の自主的解決への努力を期待しつつ、紛争の解決促進のために採り得る諸措置について更に検討を進め、紛争の早期かつ円満な解決のために努力してまいりたい。