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答弁本文情報

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昭和六十年七月十二日受領
答弁第四五号

  内閣衆質一〇二第四五号
    昭和六十年七月十二日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 坂田道太 殿

衆議院議員柴田睦夫君外四名提出自動車販売業界の悪徳商法に対する関係当局の指導等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員柴田睦夫君外四名提出自動車販売業界の悪徳商法に対する関係当局の指導等に関する質問に対する答弁書



一の(1)について

 御指摘の事例については、自動車販売業者が、自動車検査証の有効期間の残存している自動車を購入する際にその相手方に対し納付済みの自動車重量税のうち当該残存期間に係る部分に相当する金額を購入価格の一部として支払つた上で当該自動車を売却する場合に、その相手方から、当該自動車重量税のうち当該自動車検査証の有効期間の残存している期間に係る部分に相当する金額を自動車重量税との名目で受領していたという事実があつたと聞いているが、これは、当該自動車は一般に商品価値が高いとされていることによるものと考えられる。
 したがつて、政府としては、このような取引自体が直ちに不合理であるとは考えていないが、当該受領が自動車重量税との名目で行われたことは、表示上問題があると考えている。

一の(2)、二の(2)、三の(3)、四の(2)及び五の(1)について

 御指摘のような推計は、行つていない。

一の(3)、二の(3)、三の(4)及び四の(3)について

 御指摘の事例に関する詐欺罪若しくは横領罪又は不法行為の成否については、具体的事実関係が必ずしも明らかでないので答弁は差し控えたいが、一般論として述べれば、購入者に対し、本来支払う必要のない自動車関係諸税や保険料等を支払う必要がある等とうそを言つてその旨購入者を誤信させた上諸税、保険料名下に金員をへん取した事実が認められれば詐欺罪の、還付金、払戻保険料等が自動車販売業者にとつて自己の占有する他人の財物でありこれを不法に領得する意思をもつて着服したとの事実が認められれば横領罪の、それぞれの成否が問題となると解される。また、右のような事実が認められる場合には、民事上の不法行為責任が生ずる場合が多いと考えられる。
 自動車業における表示に関する公正競争規約(昭和五十二年公正取引委員会告示第六号。以下「規約」という。)との関係については、規約第十条等によれば、販売価格として車両本体価格を表示し、かつ、これに保険料、税金、登録等に伴う費用は含まれていない旨を併記することとされている。ところが、規約等においては車両本体価格と保険料、税金、登録等に伴う費用との具体的関係が明らかにされていないので、公正取引委員会においてこれらの関係を明示するよう社団法人自動車公正取引協議会を指導した結果、昭和六十年五月七日付けで、同協議会は、「保険料、税金、登録等に伴う費用の表示基準」を取りまとめ、その内容を関係団体に周知したところである。同基準によれば、「保険料、税金、登録等に伴う費用は、実際に発生(要)する費用を表示すること」及び「自動車関係諸税を表示する場合には、実際に納付する税額を表示すること」とされているので、自動車重量税について自動車検査証の有効期間の残存している自動車の購入者に対し自動車重量税に相当する金額を税金として表示し、自動車取得税について税申告書に記載する税額と異なる額を自動車の購入者に税金として表示し、自動車税について実際に納付する必要のない税金を表示し、又は自動車損害賠償責任保険料について実際に発生していない保険料を表示している事実があれば、それぞれ問題となると解される。

一の(4)について

 政府としては、御指摘の取引について、表示上の問題があると判断し、御指摘の通達により所要の指導を行つているところであり、引き続き関係団体に対する指導を行つてまいりたい。

二の(1)について

 御指摘の事例について事情を聴取した結果、問題のあつたものについては、当該自動車販売業者に対し取引の改善を要請した。

二の(4)について

 関係団体において傘下の自動車販売業者に対し自動車取得税の領収証を自動車の取得者へ確実に交付するよう指導を行つているところである旨の報告を受けている。

二の(5)について

 自動車取得税の課税の方法については、自動車の取得価額を課税標準とする現行制度を存続させることが適当であると考えており、その場合における取得価額の在り方については、自動車取得税の流通税としての性格、税負担の公平の確保、課税事務の簡素化、善良な自動車の取得者の保護等の観点から幅広く検討しているところである。

二の(6)について

 政府としては、昭和六十年四月に、関係団体に対し、自動車の取得者が実際の納税額を確認することができるようにするため、自動車取得税の領収証を自動車販売業者から自動車の取得者に交付するよう指導を行つたところである。関係団体は、自動車販売業者に対しこの指導の周知徹底を図つており、政府としては、この指導に基づき自動車取引の一層の適正化が図られていくことを期待している。

二の(7)について

 問題のあつた事例については、当該自動車販売業者に対し取引の改善を要請した。

三の(1)について

 御指摘の事例については、自動車販売業者が、年度途中に自動車を購入する際にその相手方に対し納付済みの自動車税のうち当該年度の残存期間に係る部分に相当する金額を購入価格の一部として支払つた上で当該自動車を売却する場合において、その相手方が主たる定置場を他の都道府県に変更しないときは、当該相手方から、当該相手方が当該自動車を購入した年度において課されることのない自動車税の金額に相当する金額を自動車税との名目で受領していたという事実があつたと聞いているが、これは、このような場合における当該自動車は一般に商
 品価値が高いとされていることによるものと考えられる。
 したがつて、政府としては、このような取引自体が直ちに不合理であるとは考えていないが、当該受領が自動車税との名目で行われたことは、表示上問題があると考えている。

三の(2)について

 御指摘のような調査は、困難である。

三の(5)について

 賦課期日現在の所有者に係る自動車税については、普通徴収の方法により徴収することとされていることから、納税通知書は、当該所有者に対し確実に交付されているが、賦課期日後の所有権の移転等に係るものについては、徴収手続の簡素化の見地から、移転等の登録申請の際証紙徴収の方法により月割課税に係る自動車税を徴収することとされており、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)上、納税通知書は、交付しないこととされている。
 還付に関する書類については、還付を受けるべき者に送達すべきものであるので、従来からその趣旨の周知徹底を図つているところであり、今後ともこのような方針で対処してまいりたい。

三の(6)について

 政府としては、御指摘の取引自体は直ちに不合理であるとは考えていないが、表示上の問題があると考えており、今後、その改善を指導してまいりたい。

四の(1)について

 政府としては、自動車販売業者の購入した自動車の自動車損害賠償責任保険の保険期間の未経過部分に係る保険料相当額を当該自動車の購入価格に含めるとともに、その額を明示するよう関係団体を指導してきているところであり、今後ともその方向で指導してまいりたい。

四の(4)について

 政府としては、これまでと同様、一般消費者の保護を図る等の観点から、引き続き関係団体に対する指導を行つてまいりたい。

五の(2)について

 御指摘の事例については、具体的事実関係が明らかでないので答弁は差し控えたいが、一般論として述べれば、購入者に対し、請求する根拠がないのに根拠がある等とうそを言つてその旨購入者を誤信させた上諸費用名下に金員をへん取した事実が認められれば、詐欺罪の成否が問題となると解される。また、右のような事実が認められる場合には、民事上の不法行為責任が生ずる場合が多いと考えられる。
 割賦販売法(昭和三十六年法律第百五十九号)との関係については、同法の規定によれば、オートローンすなわちローン提携販売を行う場合には、ローン提携販売業者は、その相手方に対し借入金の利息その他の手数料の料率を示さなければならないこととなつており、これに違反した場合には、同法の罰則規定が適用されるものと解される。なお、クレジット手数料、クレジット文書作成費用を徴収してはならない旨の特段の定めはない。
 さらに、規約との関係については、先に述べた「保険料、税金、登録等に伴う費用の表示基準」が「保険料、税金、登録等に伴う費用は、実際に発生(要)する費用を表示すること」としているので、自動車の購入者が頼んでいないのに査定料を請求し、公正証書を作成しないのに作成費用を請求し、又は自動車の購入者が自分で取りに行つたのにもかかわらず納車費用を請求している事実があれば、それぞれ問題となると解される。

五の(3)及び五の(6)について

 政府としては、御指摘の問題についてこれまでも関係団体に対し所要の指導を行つてきたところであり、今後とも指導を行つていく所存である。
 さらに、関係団体においては、現在、政府の要請に基づき各種費用の徴収問題を総合的に調査検討中であり、政府としては、その結果を踏まえ、今後適切な対応を図つていく所存である。

五の(4)について

 国税当局においては、常日ごろからあらゆる資料情報を収集するとともに、申告内容を検討し、課税上問題があると認められる者を的確に選定して重点的に調査を実施し、課税の適正化に努めているところであり、今後ともこの方針に変わるところはない。

五の(5)について

 東京地方検察庁八王子支部においては、御指摘の事件につき鋭意捜査中である。


 右答弁する。




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