答弁本文情報
平成元年三月三十一日受領答弁第一二号
内閣衆質一一四第一二号
平成元年三月三十一日
衆議院議長 原 健三郎 殿
衆議院議員藤原房雄君提出地域環境保全対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員藤原房雄君提出地域環境保全対策に関する質問に対する答弁書
一について
地球環境問題への取組に当たっては、関係省庁間の密接な連携はもとより、地方公共団体、民間等の協力が不可欠であり、現在、関係十二省庁から構成される「地球環境問題関係省庁連絡会議」を通じ、情報交換・意見交換等を実施することにより連携を図りつつ各種施策を推進するとともに、地方公共団体及び民間団体に対しても情報の提供、協力の要請等を行っている。
我が国は、今後とも二国間協力や国連環境計画(UNEP)の活動等を通じて地球環境問題に対し積極的に取り組む所存であり、本年秋には国連環境計画との共催で地球環境保全に関する国際会議を東京において開催する予定である。
我が国では、昭和五十五年以来環境庁長官の委嘱により、学識経験者から成る「地球的規模の環境問題に関する懇談会」(座長:大来佐武郎元外相)が地球環境問題に対する取組の在り方につき検討を重ねてきており、これまでに四回報告書を取りまとめている。
同懇談会においては、地球環境問題についてその背景となる要因も含め大所高所に立った議論が行われてきており、今後ともその成果を地球環境問題への我が国の取組にいかしてまいりたいと考えている。
我が国としては、モントリオール議定書附属書Aに定める特定のフロンの究極的全廃という目標の実現に向けて、今後とも同議定書締約国会議の場等において、世界各国と協調しつつ、積極的に対応していく所存である。
地球温暖化への対応策については、世界気象機関(WMO)及び国連環境計画の下に設けられた「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」において具体的な検討作業が現在進められており、日本政府もこれに積極的に参画しているところである。
我が国としては、この検討結果等を踏まえ、地球温暖化防止のために国際的に連携して積極的に取り組んでまいる所存である。
地球環境問題への取組の重要性にかんがみ、平成元年度予算においては、「フロン代替物質の対流圏内における分解過程等に関する研究」(三千九百万円)、「フロン等の国際的規制問題関連対策」(四千八百万円)等フロン代替品の開発及び普及に関連する経費を含め、所要の地球環境問題に関する調査、研究その他の施策のための予算が計上されているところである。
政府としては、第四次中期目標において、先進援助国のODA総額に占める我が国の分担割合を、中期目標計画期間中に、先進援助国中の我が国の経済規模に見合った水準に引き上げることを念頭において、千九百九十二年までの向こう五年間のODA実績総額を五百億ドル以上とするよう努め、あわせて、ODAの対GNP比率の着実な改善を図ることとしている。
開発途上国の経済社会開発において、環境保全に十分配慮しつつ、これを進めることが重要であるとの認識が近年国際的に高まってきており、また地球環境問題への対応がますます重要になってきている。我が国としても、かかる認識を十分踏まえて、国連環境計画、国連食糧農業機関(FAO)、国際熱帯木材機関(ITTO)等の国際機関を通じた協力や、森林保全、公害防止、砂漠化防止、省エネルギー等に対する二国間協力、これら分野における途上国の人造り等、様々な分野での協力を積極的に行っており、今後とも、かかる協力を鋭意実施していく考えである。
政府としても、開発援助において環境保全に十分配慮しつつこれを進めることが重要であることは、これを十分認識している。
かかる考えの下、我が国は、従来から政府開発援助を実施する際、大気汚染、騒音、地下水汚染、動植物生態等、種々の角度から環境への配慮を怠らないよう努力している。
今後とも、援助の実施に際し環境に対する影響に十分配慮するよう努めるとともに、途上国自身の環境問題に対処する能力を高めるため、環境分野における途上国の人造りに協力してまいりたい。
政府としては、従来から、公害防止、廃棄物処理、省資源・省エネルギー等に関し、より効率の高い技術及びシステムの開発・普及に努めてきたところであるが、今後とも、その重要性にかんがみ、引き続き努力してまいりたい。
我が国の経済協力は、第一義的に相手国の要請に基づき実施しているところ、被援助国に適合した技術の移転についても相手国の実情ないし要請を把握した上で途上国のニーズに応じた協力を実施しているところである。
我が国は、公害防止等様々な環境関連分野での協力を積極的に行っており、今後とも可能な限りかかる協力を実施していく考えである。
国連環境計画には各国の任意拠出による環境基金が設けられており、その大半は地球環境保全のための各種プログラムに配分されている。
我が国は、同基金に対し昭和六十三年度で四百七十五万ドル(全拠出額の約十四パーセント)を拠出しており、これは米国に次いで世界第二位である。